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名無しside
列車のコンパートメントは騒がしい。
それもそのはず。
お休み中ずっと会えなかった友人達と盛り上がってるんだもん!
「そうだ!忘れるとこだった!ねぇ!名無し、これつけてみて!」
私の横に座る友人が、シルバーリングをポケットから取り出した。
「わぁ!かっこいい!これどうしたの?」
「へへへ!私が作ったんだ♡」
凄い!!!とみんなで覗き込んだら、人数分あるよぉって、いろんなデザインのリングを出してきた。
「名無しは絶対シンプルなのが好きだと思って、何もないリングにしたよ。」
そう言って友人は笑う。
「うん!ありがとう!すっごく気に入った!」
目の前の友人がリングをつけながら、私に言う。
「名無しのは飾りが無くて、エンゲージリングみたいだね。」
それを聞いた友人達がキャーキャー騒ぎした!始まった!女子の好きなやつ!!
「ねぇ。ちょっと左手の薬指につけてみなよ。」
みんなにそう言われて、私は素直に従った。
抵抗してもどのみちつけるハメになるのだから…
「いいじゃん!ペアリング!付き合ってる人がいますって感じ。
本人は全く男っ気&色気ないけどね。」
ヒドーイ!と言ってみたら、間違ってなーいと返ってきて苦笑いする。
「もう外すよ。学校に着いちゃう!」
グッと力を入れてリングを抜こうとしたら、なぜかスルっと入ったリングが抜けない!
「ヤバ…抜けない…」
焦る私を見て友人達が笑う。
「笑い事じゃないよぉ!抜けないぃ~!!!!」
「別にアクセサリー禁止じゃないからそのままでいいじゃん。
今日お風呂入った時に石鹸で取りなよ。」
列車はゆっくりと駅に到着して、友人達は私を置いて立ち上がった。
まぁ、そうだよね。
困るもんでもないか。かっこいいし…。
私も立ち上がってみんなの後に続く。
「名無し髪また切ったの?」
「少しだけね!どう?ピアスが目立つでしょ?」
友人は髪の毛伸ばさないの?って聞いてきたけど、手入れはめんどくさいし、みんなみたいにキレイに結べないし、私にはこのショートカットがぴったりだと思う。
列車を降りてモタモタしてたら、友人達はもう随分先を歩いている。
ふと見ると、私の可愛い後輩達と一番会いたかった人がいて胸が高鳴った。
こっそり忍び寄ってみたら、三人は女子の水着話で盛り上がってるみたい。
「何々?君たちは女の子のどこが好きだって?!」
突然私が話しかけたものだから、三人は焦って言葉に詰まっている。
可愛い!面白い!
私の大好きなセブルス!
会いたかった!
夏中ずっと君のこと考えて過ごしてたんだよ。
セブルスの顔を見たら、何だかぼんやり私を見つめている。
どうしたんだろ?
この暑さで具合でも悪いのかしら?
「セブルスはどこが好きなの?
まさか、僕は興味ありませんなんて言わないわよねぇ?」
からかったらセブルスは元気になるかな?
セブルスが困るだろう質問をぶつけた時だった。
「…先輩が好きだ…」
……?!
えっ?!
今何て言ったの?
私の聞き違い?
何度も妄想した、私が一番欲しい言葉がセブルスの口から放たれた。
「……ふふ。あはははは!」
突然セブルスが笑い出す。
私はハッと我に帰った。
「先輩、今年はからかわれる前にからかってみましたけど、びっくりしました?」
!!!
やられた!!!!
もう、本当にびっくりしちゃったじゃない!!!
冗談が…本当にキツすぎる!!!
でもエイブリーとマルシベールが面白そうに笑うから私もつられて可笑しくなってきちゃった!
「早速からかってやろうと思ったのに先越された!」
左手を口に当てた瞬間、セブルスが急に真面目な顔をした。
何だろうと思ったら、セブルスの視線は私のシルバーリングに釘ずけになっている。
(…もしかして、これ気になっちゃってる?!)
私はセブルスをそっと観察した。
見てる見てる。
めっちゃ見てる!!!!
私の視線に気がついたセブルスと目が合う。
私の乙女心を弄んだ罰よ。
さて、新学期もからかいたおしてあげるわ。
私はふふふと意味深に笑ってセブルスを挑発する。
これから面白くなりそう…
私は心の中でほくそ笑んだ。