短編、中編集

俺はある色の布に目についた。
「あの、これにします」
手に取り店主に渡す。店主は優しい笑顔を見せ近くの青年に声をかける。青年からメジャーを受け取り俺を測り数字を読み上げていく。
「すぐお仕立てさせていただきます」
布を受け取り離れた。父さんの方を見ると3人の叔父たちにあれやこれやと布を当てられて少し疲れている様子がうかがわれた。


花火大会当日父さんに着せてもらい宇髄さんが迎えに来るのを待つ。少し待っていると呼び鈴が鳴り玄関の近くにいた父さんが出る。
何やら話し声が聞こえる。少しすると名前を呼ばれた。少し急足で向かうと濃紺色の浴衣を着た宇髄さんが立っていた。
「お前の浴衣よく似合ってるぜ」
「ありがとうございます」
俺が選んだのは橙色の絹紅梅と呼ばれる生地で仕立てられた浴衣だ。
「気をつけてな」
父さんに言われスマホと財布を持ったのを確認し草履を履き家を出る。
少し歩いていると宇髄と手が触れ、恋人繋ぎのように手を握り合う。

人が多くなれば離さなくてはいけなくなるが少しでも繋いでいられるように歩幅を小さくして歩くと宇髄さんも俺の意図がわかったのか同じように変えた。
俺はさらにギュっと力をこめて握ると宇髄さんがもギュっと握り返してくれる。
幸せな気持ちになりながら歩く。
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