短編、中編集

キメツ学園軸です
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「父さん俺浴衣着て花火大会に行こうと思うんだけど」
藤目が遠慮がちに言ってきた。
「誰と行くだ?」
「う、宇髄さんと」
「そうか。だがこの家には浴衣はないぞ」
「え、意外。あるのかと思ってた」
お茶が入った湯呑みを乗せたお盆を置き藤目が座る。
「実家にあるかも微妙だから仕立てになるだろうな」
携帯電話を取り出し実家にかける。すぐに馴染みのお手伝いさんが出て家主に当たる長男の藤一郎へと取り次がれた。
浴衣が欲しいという要求を伝えると日が合う日に仕立てると言われ俺と藤目の共通の休みの日を伝え、その日の12時前には迎えをやると言われ電話は終わる。

数週間後の日曜日に迎えがきた。高級住宅街と呼ばれる地区へと入り日本屋敷が見え、門の前で止まる。
「相変わらずの豪邸ぶりですね」
門が開き中へと車が走る。車から降り玄関への扉を開けると数人のお手伝いさん、執事に迎えられ部屋へと通された。通された部屋には既に次男の藤二郎、三男の藤三郎がいた。
「お、久しぶりだな。藤四郎、藤目」
「久しぶり、藤二郎兄さん」
あぐらをかいている藤二郎に話けられ、藤二郎とは反対に正座し背筋をピンっと伸ばしている藤三郎に座布団に座るよう促される。
数年ぶりの再会に最近の話に花を咲かせていると藤一郎が入ってきた。
「待たせたな。仕立てる布の準備はできているぞ」
と言われ藤一郎が入ってきた襖を開けられる。部屋には色鮮やかな布地たちが目に入る。
「好きに選んでくれていいぞ」
と言われ藤目は早速見る。呉服屋の店主に勧められたりしている藤目を見ていると3人の兄に声をかけられる。
「なんだ藤四郎は見ないのか?」
「藤四郎が気に入るような色合いも取り寄せたんだ」
「藤四郎せっかくなんだから見ていきなさい」
3人に言われ少し仕方なさそうに藤四郎も藤目に近づき一緒に見る。

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