■支部勤め幹部の話
朝。村の共同井戸まで歩いていく途中に、若夫婦がハグしているのを目撃してしまった。
彼らはアジトから隠遁村へ引っ越してきたばかりの新参者。誰の目にも憚らない軒先でアツアツっぷりを披露するのは、まぁこちらとしては微笑ましい感じはするけれど。
「いきたくないなぁ、もっとずっと長く一緒にいられたら良いのに」
「私もよ。でも、これがお仕事だから」
「分かってる。じゃあ、行ってくるから。また近くを寄ったら顔を出すよ」
「うん、待ってるね」
二人して見つめ合い、最後にもう一度熱烈なハグアンドキス。それからゾナウ探索隊の格好をした旦那さんが、名残惜しそうに離れていく。お隣さんは、確かハテノ地方担当の諜報員だったはず。これからカカリコ村のワッカ遺跡にでも向かうんだろうか?
「おはようございます。帰ってきてたんですね、旦那さん」
井戸で鉢合わせた奥さんに挨拶すれば、彼女は「えっ」と肩を跳ねさせた。白々しくとぼけちゃって、とニヤついたけど、みるみるうちに奥さんの頬や首元が赤らんでいって、おやおやおや、と思った。それから観念した、というように「ええ、はい」とはにかむ。
まるで思春期を迎えた生娘みたい。そのウブっぽさが羨ましいくらいに眩しい。
「心配性みたいで、大丈夫だよって言うんですけどね。最近は物取りが増えてるってどこかで聞いたみたいで」
「良い旦那さんじゃないですか。うちの人にも見習ってほしいくらいです」
「幹部は忙しいですから、仕方ないんじゃないですか? 支部も遠いし……」
「ううん、彼の場合、ほんとに心配してないんですよっ。お前は平気だろ、とか平気で言ってくるから頭来ちゃって」
「奥さま、戦闘部隊に所属してらしたんですもんねぇ……」
「実は今帰ってきてるんですけど、そこでも喧嘩しちゃって」
「えっ、どうして?」なんて意外そうにしてくれるから、それまでに燻っていたモヤモヤにパチンと火がついてしまった。
「久しぶりに家に帰ってくるのに、馬宿でしこたまお酒を飲んできたんですよっ。日を跨いでフラフラしながら帰ってくるなんてありえます!?」
「あらあ……」
「今朝も二日酔いって言うから、自分で薬草採ってきなさいって追いだしました。ついでに猪の一匹でも狩ってきて!って」
「あ、あはは……」
それから、村の入り口に視線を遣った。
「たまに帰ってくる度にああなんだから、イヤになっちゃう」
彼が出て行ってからしばらくが経つ。傍の林に行きさえすれば、薬草なんてすぐ見つかるはずなのにどこまで行ってしまったのか。
まさか本気で猪を? はぁ、と自然に漏れてしまった溜息に、「お散歩にもちょうど良い日よりですから」と、慰めのような声が続く。確かに、洗濯物も早く乾きそうなくらい、今日は良い天気だ。
それから、今日は暑くなりそうだとか、アイスチュチュゼリーを準備した方が良いかもとか、他愛もない話を交わして早々に解散となった。家を守る妻たちの朝は、これから幕を開けるのだ。
水桶を抱えて扉を開けた先、部屋はしんと静まり返っていた。私が井戸へ向かう前と変わっておらず、彼の姿は見当たらない。
視線は自然と、壁に刺さった一本のクナイに引き寄せられた。
昨晩、へべれけの彼に向けて、私が投げたものだ。椅子にだらんと凭れた彼の髪の毛を掠り、すとんと綺麗に刺さった私の得物。彼の酔眼は音でぱっちりと見開かれ、その後、土下座の勢いで頭が下がった。あの瞬間に一旦は溜飲が下がったけれど、朝方ベッドでうーうー唸る彼によって、未だ腹の奥底で沸々してることを自覚した。
あの人は、久しぶりに二人きりで過ごせることとか、私が一緒にお酒を飲みたいと思ってることとか、どうでもいいと思ってるに違いない。この恨みを晴らさずにいられるだろうか。否!
じゃばあ。汲んできた井戸水を、もやつく感情ごと投げ入れるみたいに水甕へ移す。私の腰まである大きな甕は、今大体、半分くらいというところ。今日は二人なわけだから、もう一度汲みに行った方が良いかしら。それとも、先にご飯の支度をした方が良いかしら。
なんて悩んでいると、コンコン。ノックの音が響いた。
彼が帰ってきた? と一瞬思ったけれど、はて。夫はノックなんてしないはず。だとしたらさっきの奥さんかな。「はーい」と返事しながらドアノブを掴み、「どなた」と回した。
その瞬間、言葉を言い切らない内に無理に引かれ、前につんのめる。それから、世界がゆっくりに見えだした。扉を囲むのは影を背負った黒い人──知らない男だ。口元を布で覆ってる。その手には錆の回った片手剣が──まずい。身を翻す間もなく、黒ずんだ掌が伸びてくる。
ぐ、と腕を回され、喉が締まった。泥と垢の混ざった饐えたにおい。身動きがとれない。
「女が一人、他はいねえ。金はそこまで無さそうだが──まあ、ゆっくり探すとしようか」
こいつら、物取り──さっき奥さんと交わした会話を思い出す。二人、三人……なんとか首を回しても何人いるか、正確な数は分からない。
まさか夫の不在にかち合うなんて。いつ帰ってくるかは分からないし、狩りを頼んだことが悔やまれる。
「しかしこの村……男はいねえみたいだな。ちょうどいい。ちょいとお楽しみと行こうか」
壁に押し付けられ、耳元で吐息が掠めていった。へへへ……と下品な笑みが辺りに広がる。
一番近い得物は、壁に刺さった例のクナイ。腕抜け、目潰し、それから刀をとって──いつやる? 何人もいて、私にできる?
「は、離してっ、助けて」
「安心しろ、大人しくしとけば命は取らねえよ」
「縛った方がいいかあ? ひひ、声は出して欲しいもんだが」
「俺たちゃ金と、癒しが欲しいってだけだかんなあ」
「ほら、な、奥さん、俺らといいことしようや」
「誰となにをするって」
ぞ、とするほど低い声が聞こえた。
続けざま、硬い何かがぶつかり合うような鈍い衝撃音。「ガッ」という男の呻き声に、草の擦れる音。「なん」私を拘束していた手の平が縋る形に変わって、それから肌を掻きながら離れていく。なに。訳も分からず振り返った。
逆光を浴び、影になった大男が、小汚い格好をした見知らぬ男を、太い腕で締め上げている。
夫だ。
「ぐ……ッ、ごオ……」
「俺の妻だ」
イビキのような呼気を吐き、少しして男がかっくりと項垂れた。どさ、と地面に投げ出される。
酷く冷たい顔で見下ろしながら、夫が一度大きく肩で息をした。寝ぐせのついた髪の毛のまま、一仕事終えたときみたいに、首をごりごりと伸ばす仕草をする。
「あなた……」どうして、と続けようとして、声が詰まった。それは決して恐怖だとか震えだとかではなくって、単に驚きすぎたからだった。だって、こんなに良いタイミングで帰ってくるなんて、誰が思うだろうか?
「大丈夫か? ケガは」
「だ……大丈夫、です。えっと、なんでここに。え? 本当になんで?」
「たまたまだ」
「たまたま、って」
「アオサギが捕れたから一旦帰ろうかと思って。そうしたら、こうなっていた」
夫が地面に伏した男を小突く。絞め殺したのかと思ったけど、背中が微かに上下しているのが見えた。気を失ってるだけみたい。
「良かった。なにもなくて」
夫が、それまでの強張った表情を、ほんの少し緩めてみせた。私には、笑みにすら見えた。安心して、思わず笑っちゃったときの笑み。彼のこんな顔は、初めて見たかも。
『俺の妻だ』
地の底から這い出て来たみたいな。それでいて、まるで何も知らない人間へ私たちの馴れ初めを丁寧に教え込むような声が、耳の底に蘇ってきて。
きゅう、と胸の奥が縮み上がる。彼に抱きしめられた時みたいな、柔らかな締め付け感があった。
「んーっ」
「おっ……!? ど、どうかしたか」
咄嗟に抱き着いた。厚くて柔らかな胸板に顔を押し付けた。すると、さっき男を落とした逞しい腕が、優しく背中に回ってくる。こうやってなんだかんだ、抱き留めてくれるんだもの。
「貴方ってほんとう、タイミングだけは逃さない!」
「お、おまえ」
「惚れ直しちゃうな、大好きっ。愛してる」
「ちょ……待てって」
「今日はもう、家から出さないからね」
「分かった。分かったからっ」
「あのお!」
はた。突然響いた声にバッと顔を上げる。
抱き合う私たちに対峙するのは、朝に会話した奥さんだった。真っ赤な顔をして、まるで直視してはいけないものを見るような目つきで。
突然のことに思わず「な、なんでしょう!?」と夫を突き放して、居住まいを正す。分かってる。意味のない取り繕いに違いないってことは。
「さ、先にこの強盗たち、どうにかしないと! イチャつくのはそれからにしてもらって……」
「あ、あ~! そうですね!? 確かに! ごめんなさい!」
それから縄を搔き集めて強盗の身体を縛ったり、夫が船に乗せて川に流しに行ったり、一日をかけてのてんやわんや。夫との時間は夜までお預けになってしまった。
やきもきしながらも、大人しく机で待つ。とはいえ、どれだけ帰りが遅くなったって、今度飛んでいくのはクナイじゃない。
彼が帰ってくるその時まで、私は扉が開くのを虎視眈々と見つめるのである。
彼らはアジトから隠遁村へ引っ越してきたばかりの新参者。誰の目にも憚らない軒先でアツアツっぷりを披露するのは、まぁこちらとしては微笑ましい感じはするけれど。
「いきたくないなぁ、もっとずっと長く一緒にいられたら良いのに」
「私もよ。でも、これがお仕事だから」
「分かってる。じゃあ、行ってくるから。また近くを寄ったら顔を出すよ」
「うん、待ってるね」
二人して見つめ合い、最後にもう一度熱烈なハグアンドキス。それからゾナウ探索隊の格好をした旦那さんが、名残惜しそうに離れていく。お隣さんは、確かハテノ地方担当の諜報員だったはず。これからカカリコ村のワッカ遺跡にでも向かうんだろうか?
「おはようございます。帰ってきてたんですね、旦那さん」
井戸で鉢合わせた奥さんに挨拶すれば、彼女は「えっ」と肩を跳ねさせた。白々しくとぼけちゃって、とニヤついたけど、みるみるうちに奥さんの頬や首元が赤らんでいって、おやおやおや、と思った。それから観念した、というように「ええ、はい」とはにかむ。
まるで思春期を迎えた生娘みたい。そのウブっぽさが羨ましいくらいに眩しい。
「心配性みたいで、大丈夫だよって言うんですけどね。最近は物取りが増えてるってどこかで聞いたみたいで」
「良い旦那さんじゃないですか。うちの人にも見習ってほしいくらいです」
「幹部は忙しいですから、仕方ないんじゃないですか? 支部も遠いし……」
「ううん、彼の場合、ほんとに心配してないんですよっ。お前は平気だろ、とか平気で言ってくるから頭来ちゃって」
「奥さま、戦闘部隊に所属してらしたんですもんねぇ……」
「実は今帰ってきてるんですけど、そこでも喧嘩しちゃって」
「えっ、どうして?」なんて意外そうにしてくれるから、それまでに燻っていたモヤモヤにパチンと火がついてしまった。
「久しぶりに家に帰ってくるのに、馬宿でしこたまお酒を飲んできたんですよっ。日を跨いでフラフラしながら帰ってくるなんてありえます!?」
「あらあ……」
「今朝も二日酔いって言うから、自分で薬草採ってきなさいって追いだしました。ついでに猪の一匹でも狩ってきて!って」
「あ、あはは……」
それから、村の入り口に視線を遣った。
「たまに帰ってくる度にああなんだから、イヤになっちゃう」
彼が出て行ってからしばらくが経つ。傍の林に行きさえすれば、薬草なんてすぐ見つかるはずなのにどこまで行ってしまったのか。
まさか本気で猪を? はぁ、と自然に漏れてしまった溜息に、「お散歩にもちょうど良い日よりですから」と、慰めのような声が続く。確かに、洗濯物も早く乾きそうなくらい、今日は良い天気だ。
それから、今日は暑くなりそうだとか、アイスチュチュゼリーを準備した方が良いかもとか、他愛もない話を交わして早々に解散となった。家を守る妻たちの朝は、これから幕を開けるのだ。
水桶を抱えて扉を開けた先、部屋はしんと静まり返っていた。私が井戸へ向かう前と変わっておらず、彼の姿は見当たらない。
視線は自然と、壁に刺さった一本のクナイに引き寄せられた。
昨晩、へべれけの彼に向けて、私が投げたものだ。椅子にだらんと凭れた彼の髪の毛を掠り、すとんと綺麗に刺さった私の得物。彼の酔眼は音でぱっちりと見開かれ、その後、土下座の勢いで頭が下がった。あの瞬間に一旦は溜飲が下がったけれど、朝方ベッドでうーうー唸る彼によって、未だ腹の奥底で沸々してることを自覚した。
あの人は、久しぶりに二人きりで過ごせることとか、私が一緒にお酒を飲みたいと思ってることとか、どうでもいいと思ってるに違いない。この恨みを晴らさずにいられるだろうか。否!
じゃばあ。汲んできた井戸水を、もやつく感情ごと投げ入れるみたいに水甕へ移す。私の腰まである大きな甕は、今大体、半分くらいというところ。今日は二人なわけだから、もう一度汲みに行った方が良いかしら。それとも、先にご飯の支度をした方が良いかしら。
なんて悩んでいると、コンコン。ノックの音が響いた。
彼が帰ってきた? と一瞬思ったけれど、はて。夫はノックなんてしないはず。だとしたらさっきの奥さんかな。「はーい」と返事しながらドアノブを掴み、「どなた」と回した。
その瞬間、言葉を言い切らない内に無理に引かれ、前につんのめる。それから、世界がゆっくりに見えだした。扉を囲むのは影を背負った黒い人──知らない男だ。口元を布で覆ってる。その手には錆の回った片手剣が──まずい。身を翻す間もなく、黒ずんだ掌が伸びてくる。
ぐ、と腕を回され、喉が締まった。泥と垢の混ざった饐えたにおい。身動きがとれない。
「女が一人、他はいねえ。金はそこまで無さそうだが──まあ、ゆっくり探すとしようか」
こいつら、物取り──さっき奥さんと交わした会話を思い出す。二人、三人……なんとか首を回しても何人いるか、正確な数は分からない。
まさか夫の不在にかち合うなんて。いつ帰ってくるかは分からないし、狩りを頼んだことが悔やまれる。
「しかしこの村……男はいねえみたいだな。ちょうどいい。ちょいとお楽しみと行こうか」
壁に押し付けられ、耳元で吐息が掠めていった。へへへ……と下品な笑みが辺りに広がる。
一番近い得物は、壁に刺さった例のクナイ。腕抜け、目潰し、それから刀をとって──いつやる? 何人もいて、私にできる?
「は、離してっ、助けて」
「安心しろ、大人しくしとけば命は取らねえよ」
「縛った方がいいかあ? ひひ、声は出して欲しいもんだが」
「俺たちゃ金と、癒しが欲しいってだけだかんなあ」
「ほら、な、奥さん、俺らといいことしようや」
「誰となにをするって」
ぞ、とするほど低い声が聞こえた。
続けざま、硬い何かがぶつかり合うような鈍い衝撃音。「ガッ」という男の呻き声に、草の擦れる音。「なん」私を拘束していた手の平が縋る形に変わって、それから肌を掻きながら離れていく。なに。訳も分からず振り返った。
逆光を浴び、影になった大男が、小汚い格好をした見知らぬ男を、太い腕で締め上げている。
夫だ。
「ぐ……ッ、ごオ……」
「俺の妻だ」
イビキのような呼気を吐き、少しして男がかっくりと項垂れた。どさ、と地面に投げ出される。
酷く冷たい顔で見下ろしながら、夫が一度大きく肩で息をした。寝ぐせのついた髪の毛のまま、一仕事終えたときみたいに、首をごりごりと伸ばす仕草をする。
「あなた……」どうして、と続けようとして、声が詰まった。それは決して恐怖だとか震えだとかではなくって、単に驚きすぎたからだった。だって、こんなに良いタイミングで帰ってくるなんて、誰が思うだろうか?
「大丈夫か? ケガは」
「だ……大丈夫、です。えっと、なんでここに。え? 本当になんで?」
「たまたまだ」
「たまたま、って」
「アオサギが捕れたから一旦帰ろうかと思って。そうしたら、こうなっていた」
夫が地面に伏した男を小突く。絞め殺したのかと思ったけど、背中が微かに上下しているのが見えた。気を失ってるだけみたい。
「良かった。なにもなくて」
夫が、それまでの強張った表情を、ほんの少し緩めてみせた。私には、笑みにすら見えた。安心して、思わず笑っちゃったときの笑み。彼のこんな顔は、初めて見たかも。
『俺の妻だ』
地の底から這い出て来たみたいな。それでいて、まるで何も知らない人間へ私たちの馴れ初めを丁寧に教え込むような声が、耳の底に蘇ってきて。
きゅう、と胸の奥が縮み上がる。彼に抱きしめられた時みたいな、柔らかな締め付け感があった。
「んーっ」
「おっ……!? ど、どうかしたか」
咄嗟に抱き着いた。厚くて柔らかな胸板に顔を押し付けた。すると、さっき男を落とした逞しい腕が、優しく背中に回ってくる。こうやってなんだかんだ、抱き留めてくれるんだもの。
「貴方ってほんとう、タイミングだけは逃さない!」
「お、おまえ」
「惚れ直しちゃうな、大好きっ。愛してる」
「ちょ……待てって」
「今日はもう、家から出さないからね」
「分かった。分かったからっ」
「あのお!」
はた。突然響いた声にバッと顔を上げる。
抱き合う私たちに対峙するのは、朝に会話した奥さんだった。真っ赤な顔をして、まるで直視してはいけないものを見るような目つきで。
突然のことに思わず「な、なんでしょう!?」と夫を突き放して、居住まいを正す。分かってる。意味のない取り繕いに違いないってことは。
「さ、先にこの強盗たち、どうにかしないと! イチャつくのはそれからにしてもらって……」
「あ、あ~! そうですね!? 確かに! ごめんなさい!」
それから縄を搔き集めて強盗の身体を縛ったり、夫が船に乗せて川に流しに行ったり、一日をかけてのてんやわんや。夫との時間は夜までお預けになってしまった。
やきもきしながらも、大人しく机で待つ。とはいえ、どれだけ帰りが遅くなったって、今度飛んでいくのはクナイじゃない。
彼が帰ってくるその時まで、私は扉が開くのを虎視眈々と見つめるのである。