【ss/not夢】イーガ団員の日常話
イーガで同じ研究班に所属し、何かと俺様を敵視してくる同僚がいる。いつもはお互いに触れ合わないようにしているんだが、今日のそいつの姿を俺様は思わず凝視した。スベルDEATH3とかいうダサいソリ型の研究物。それがやっと乗るほどの小さな台に向かい、腰を下ろして作業するのはいつものこと。何に目を疑ったって、彼奴の背中にちんまりとした赤ん坊が背負われていたのだ。
「お前、それ、誰の赤ん坊だ」
「挨拶も無く、まずそれか。全く君ってやつは」
はぁ、とため息を吐きながらも、やつはどうして赤ん坊を背負うことになったのか詳細を語り始めた。なんでも、研究班を取りまとめている幹部役が、どうしても今日一日子供を見なければいけなくなったとか。しかし近場で魔物が暴れているとの連絡があり、始末をする短い間、彼が帰ってくるまで子供を背負うことになったらしい。
「私の仕事ぶりが丁寧だから、お前ならできるだろうとお墨付きをもらってね」
彼奴は得意げに語ったが、俺には分かる。こいつが一番暇そうだったからに違いない。じゃなけりゃ、気難し屋で子供の扱いなんて絶対分かりそうにもないこいつに、大事な赤子を託すわけがない。
「そうか、頑張れよ」と相槌を打って、俺は自分の仕事に取り掛かることにした。
といっても、手を動かしながらも気にかかるのは同僚と、彼奴に背負われた赤子のことだ。俺様は兄弟が居たから余計にだ。人の機微に疎く、いつも偉そうなあいつが、まともに赤子を見られるとは思えない。
俺と彼奴を隔てた柵越しに視線をやると、目が覚めたらしい赤子に、彼奴が何かを手渡しているのが見えた。
「私の作ったものの素晴らしさが分かるのか。君は大物になるな」
即興でおもちゃを作って渡したらしい。意外と優しいところあるじゃねえか、と思ったが、お前仕事しろよ。
存外、あいつは赤ん坊の世話が全くできないわけじゃないらしい。幾ばくか安心できたので、俺様は修理に集中することにした。
―――
「いやぁ、助かった。こればっかりはどうしようかと思っていた。感謝する」
無事に帰宅した幹部へ赤子を引き渡した同僚は、「では仕事に戻りますから」と、素っ気なかった。
まぁ、意外と甲斐甲斐しく気にかけてやってたのは悪くない印象だ。赤子にやった玩具もそのままプレゼントしたらしい。というか、幹部が取ろうとしたらギュッと手を離さなかったので、「あげますよ、それくらい」と呟いていたのが耳に入った。
彼らが去っていって、いつもの静寂が部屋に広がる。どかっと音をたてながら作業台に座り込んだ彼奴は、慣れない仕事に疲れたに違いない。心の中では労ってやるか、お疲れさん。
「見たか、私の作った玩具をあんなに気に入って。彼はきっと将来、トゲックスじゃなくてスベルDEATH3を気に入ってくれるようになるだろうな。ふふふ」
やっぱりこいつムカつくぜ。
「お前、それ、誰の赤ん坊だ」
「挨拶も無く、まずそれか。全く君ってやつは」
はぁ、とため息を吐きながらも、やつはどうして赤ん坊を背負うことになったのか詳細を語り始めた。なんでも、研究班を取りまとめている幹部役が、どうしても今日一日子供を見なければいけなくなったとか。しかし近場で魔物が暴れているとの連絡があり、始末をする短い間、彼が帰ってくるまで子供を背負うことになったらしい。
「私の仕事ぶりが丁寧だから、お前ならできるだろうとお墨付きをもらってね」
彼奴は得意げに語ったが、俺には分かる。こいつが一番暇そうだったからに違いない。じゃなけりゃ、気難し屋で子供の扱いなんて絶対分かりそうにもないこいつに、大事な赤子を託すわけがない。
「そうか、頑張れよ」と相槌を打って、俺は自分の仕事に取り掛かることにした。
といっても、手を動かしながらも気にかかるのは同僚と、彼奴に背負われた赤子のことだ。俺様は兄弟が居たから余計にだ。人の機微に疎く、いつも偉そうなあいつが、まともに赤子を見られるとは思えない。
俺と彼奴を隔てた柵越しに視線をやると、目が覚めたらしい赤子に、彼奴が何かを手渡しているのが見えた。
「私の作ったものの素晴らしさが分かるのか。君は大物になるな」
即興でおもちゃを作って渡したらしい。意外と優しいところあるじゃねえか、と思ったが、お前仕事しろよ。
存外、あいつは赤ん坊の世話が全くできないわけじゃないらしい。幾ばくか安心できたので、俺様は修理に集中することにした。
―――
「いやぁ、助かった。こればっかりはどうしようかと思っていた。感謝する」
無事に帰宅した幹部へ赤子を引き渡した同僚は、「では仕事に戻りますから」と、素っ気なかった。
まぁ、意外と甲斐甲斐しく気にかけてやってたのは悪くない印象だ。赤子にやった玩具もそのままプレゼントしたらしい。というか、幹部が取ろうとしたらギュッと手を離さなかったので、「あげますよ、それくらい」と呟いていたのが耳に入った。
彼らが去っていって、いつもの静寂が部屋に広がる。どかっと音をたてながら作業台に座り込んだ彼奴は、慣れない仕事に疲れたに違いない。心の中では労ってやるか、お疲れさん。
「見たか、私の作った玩具をあんなに気に入って。彼はきっと将来、トゲックスじゃなくてスベルDEATH3を気に入ってくれるようになるだろうな。ふふふ」
やっぱりこいつムカつくぜ。