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 一枚布を巻きつけ、引き戸を引く。その途端に耳を打つのは、騒がしい蛙の声と鈴虫の声だった。
 湿気を含んだ風が肩口を撫でていき、板囲いの向こうから夜露の匂いを運んでくる。
 枡上に組み立てられたハイラル杉の湯槽。たっぷり湛えられた湯からはふわふわと湯気が漂い、冷え始めた身体を手招きする。
 目を瞠るイーガの幹部と、思わず「わぁ」と声を漏らす針子の団員。
 恋人の二人を出迎えたのは、シーカーの伝統装飾が辺りを囲む、露天風呂であった。

 我慢しきらずに湯へ駆け寄っていく針子は、湯槽のへりに手をかける。頬を湿らせる霞は、アジトの浴場のそれよりも随分熱い。行燈の光に揺らめく水面へ指先から手首、腕までを一気に沈ませると、「こら、洗う前に入るんじゃない」と叱責の声。
 振り返れば、備え付けの木椅子に座り、既に頭から湯を被った幹部が、枝垂れた黒髪の隙間から針子を睨んでいる。
 彼は規則やマナーに小うるさい。滔々と説教が続くのが常であるし、反論でもしようものならヒートアップして仕方ない。
 針子は素直にはーいと返事をし、彼の隣へちょこんと座った。


 二人が訪れているのは、ハイラルのどこかにひっそりと存在する、イーガの隠れ宿。主君から重要な任務を任されていた彼らは、旅の途中で宿の世話になっていた。
 その任務とは即ち、地方における伝統生地の調査兼調達だった。昨今の材料不足を鑑みて、各地方で取り扱われている生地を、装束用として既存の店舗から仕入れられるかを見極める。
 日数としては四、五日。新人の針子団員を中心に、守衛として歴の長い幹部が同行をすること。どの地方を訪れるかは二人で決め、視察を兼ねて、イーガの隠れ里が経営するお宿に必ず立ち寄ること、という内容だった。

 主君から直接通達された任務ではあるが、正直に言って全く不可解なお達しである。
 鬼と呼ばれる幹部がイーガに身を捧げて十数年、このような複雑怪奇な任務を遣わされることなど一度たりとも無かった。自身の取り巻く商業班員からも、さんざ「物見遊山じゃないか」と揶揄われたものだ。
 その度「コーガ様には何か深いお考えがあるのだ」という一点張りでここまでやってきた。実際にどうだかは、任務が始まってからも判断はついていないのだが。

 一方の針子はというと、これが任務と言われれば「そうですかぁ」と受け入れるだけである。
 イーガに入団してから縫製の仕事にしか携わっていない彼女は、諜報だとか隠密だとか、それらへの理解はてんで浅いままだ。上から言われた指示に従うことしか、彼女に選択肢はありはしない。
 ただ、イーガに入団してから初めて体験する外泊。しかも、普段はアジトに付きっ切りで、休みすらまともにない自身の恋人とだ。
 こんな日が来ようとはまるで思っていなかった針子は、任務だろうとなんだろうと、今この瞬間がわくわくして仕方ない。

「台座さん、背中洗いっこしましょ。温泉旅行といえばこれですよ!」

 頭を洗い終わった針子は髪の毛を頭上で結い上げ、にんまりと幹部に笑いかける。
 直後に返ってきたのは「温泉旅行ではないわ、ばかもの」という淡泊な声。彼はほんとに、細かな言い回しにも容赦ないのだ。

「せっかく一緒にお風呂入ってるんですから、いいでしょ?アジトじゃ絶対にできないし!」
「お前は・・・・・・ほんとに勘違いするんじゃないぞ。あくまで我々は任務できてるんだ」
「でも、イチャイチャできるチャンスです!お布団だって、大きいの敷いてくれてるし・・・・・・」
「ばかもの、これは任務だと言っとるだろうが!遊びじゃないとゆめゆめ忘れるな!」

 吊り上がった目が怖い。しかし、咄嗟にそんな言い方しなくても良いじゃないかと思った。思いっきり頬を膨らませて彼を睨むと、言い過ぎたと思ったのかばつの悪そうに彼が視線を背ける。
 
「・・・・・・まぁ、背中くらいだったら洗ってやる。ほら、向こう向いてくれ」
「はーい!」

 勝った。彼は意外と反骨に弱い。針子はぱっと表情を明るくさせ、クルリと背中を差し出した。
 あんな言い方をした癖に、擦り布で石鹸を泡立てる彼は真剣な面持ちを見せた。大きな身体の男の人が、一生懸命に手先で泡を作ってるかと思うとちょっと面白い。どうしてもにまにま緩む口元でそれを眺めていると、彼はその表情のまま背中へ布を宛がってくる。
 撫でるように洗っていくその指先は、随分力の加減を抑えているようだった。
 誰がどう見ても筋骨隆々とした彼は、その気になればリンゴだってヒンヤリメロンだって片手で玉砕してみせる握力の持ち主だ。その彼が、決して柔肌に傷を付けまいと慎重に背中を擦っている。
 愛おしくてありがたい一方、柔らかすぎてこそばゆかった。脇腹を掠めたとき、無意識に身体が疼いて「ふふ」と息が漏れてしまう。

「なにくねくねしとるんだ。洗えないだろ」
「だってくすぐったいんだもん・・・・・・もっと強く擦っても大丈夫ですっ」
「ん・・・・・・これくらい、か?」
「あー良いですね、ちょうど良い感じ・・・・・・気持ちいです」
「人の身体なんて洗わんから、どうしたらいいか分からんな」

 彼の骨ばった手の平に腕を伸ばすよう促され、肩から二の腕を通り、指先までを丁寧に撫でられた。脇から横腹を滑ったのがくすぐったくて、針子はまた「うひひ」と息を漏らす。
 こんなにしっかり洗ってくれるなんて思ってなかったのだ。なんだか自分がお姫様になって、彼が家来か何かになって、お世話されてるみたい。
 くすくす笑いながら身をよじっていると、最後に指先がするりとお腹を撫でて「これでいいか」と終了の合図。
 首だけで振り向けば、そそくさと反対方向を向く彼の姿があった。丸まった背中は、なんでそんなに縮こまってるんだろう。耳が少し赤い気がするのは気のせい?
 彼を見つめながら残りの部分も身体を洗い、汚れを一旦お湯で洗い流す。その間も幹部は、今度は小さな手の平が自身の背中を流す瞬間を、ただただじっと待っている。
 真面目だなぁ。なんて頭の中で呟きながら、今度は針子が彼の前に仁王立ちとなった。

「お待たせしました、じゃあ次は私が台座さんの背中を洗っていきますねっ」
「・・・・・・ああ、遠慮なしにやってくれ」

 泡だてた擦り布を幹部の背中に宛がい、ごしごしと摩っていく。上から下まで一巡すると、彼の背中がどれほど巨大か、身に染みて理解できるような気がした。
 彼の肌には、どこを見てもたくさんの傷がある。引き攣れみたいな傷。斑に変色した傷。指に引っ掛かるような凹凸の傷──。それだけたくさんの大変なことがあったんだろう。自分には想像もできないような。
 ここまでまじまじと見たことなんかない。大きくて広くて傷だらけの背中がなんだか愛しくて、湯気がぽわぽわ沸き立つみたいに、胸の深いところが暖かくなった。
 泡泡になった背中にぎゅっと抱き着く。だって、抱き着きたかったから。この背中がいつも自分を包んでくれてると思ったら、自分からその背中に抱き着きたくなった。

「終わったか?流すぞ」

 言うや否や、遠慮なしに幹部がじゃばじゃばとお湯をかけてくる。
 つやつやになった彼の地肌。私が洗ってあげたのだ。なんとなく誇らしくなって筋肉の筋や傷跡を指先でなぞると、「何をしてるんだ」と言いたげな彼の横眼が針子を嗜める。
 「ほら、身体が冷える」とぶっきらぼうな彼の声。でも、腰を引き寄せる逞しいその腕は、柔らかく身体を包む綿布のように優しかった。


 手を引かれていった先、まずは様子見と、彼が湯気立つ風呂に身体を沈めた。
 枡組の湯槽は、丁度幹部が足を伸ばしたくらいの大きさだった。じゃばあ、ともったいないぐらいの湯を地面に流すと、幹部は「あー・・・・・・」と天を仰いだ。
 針子もその後に続き、ぱしゃぱしゃと湯を身体にかけ、ちゃぽ、とつま先だけを入れる。
 やっぱりアジトの湯より熱い。近づくだけでも汗ばむような、しっとりとした熱気。
 ゆっくりと肩までお湯に浸かっていくと、脚や肩に溜まっていた疲労感が、どろどろとお湯に解けていくような気がする。気付けば、はぁーと大きなため息が口から漏れ出ていた。

 風呂の端に凭れかかる幹部と対面に座る。
 緩み切った瞳に、上気した頬。無遠慮に空を仰いだまま微動だにしない。彼がこれほどリラックスした様子は、お付き合いしてから初めて見るかもしれない。
 そしてきっと、自分自身も同じ顔になっている。

「気持ちいいですね、・・・・・・サイコーの気分です」
「ああ、こうまでゆっくり浸かることなんて早々ないしな。温度も俺好みで丁度良い」
「えー?ちょっと熱くないですか?アジトのお風呂よりよっぽど熱いから、逆上せちゃいそう」
「逆上せる前に出るんだぞ。無理することないんだから」

 眉尻を下げる幹部に針子はゆっくりと近づいて行って、胡坐の中に腰を落ち着けた。
 筋肉質で分厚い幹部の胸板に体重を預け、体の良い背もたれにする。

「ダメそうだったら出ますけど、まだまだ出ませんよぉ。だってアジトだったらこんなことできないもん」
「・・・・・・そうだな」
「とっても気持ち良いです。アジトのお風呂の方が大きいけど、ぱぱっと出なきゃいけないし」
「俺もアジトじゃ、ほとんど烏の行水みたいなもんだ。そもそも湯船に浸かってないな」
「ねー。だから、コーガ様に感謝ですね。温泉旅行・・・・・・じゃなかった、地方の業務がこんなに楽しいなんて思ってもみませんでした」

 ぱしゃ、と足先を湯船から出す。手持ち無沙汰に何度か水面を打って、水の飛沫を眺める。
 二度と同じ形にはならない、灯りの揺蕩い。耳を掠めていく夜の音と、頬を撫でていく微かな涼やかさ。
 何度目かの「きもちいー・・・・・・」という声には、腹の底から染み出してきただらしなさが染み入っていた。

「しあわせです、私。とってもしあわせ」

 空を仰ぐ。それと同時に視界に入ってきた恋人の顎に向けてぼやく。
 ふと落ちてきた彼の視線が、どうにも穏やかだった。口端が微かに上向いていた。いつもガミガミ言ってくる人とは思えないくらい、優しそうな顔をしていた。
 暫く何も言わずに見つめ合ってから、針子は身体を反転させる。
 きゅ、と胸板に頬を擦り寄せて、彼の大きな身体に抱きついた。

「台座さん、大好き。好き。好きですよ」

 波立つお湯が湯槽のへりにぶつかって、ちゃぱちゃぱと音を立てる。だけど針子の耳には届かない。彼の脈動の音が、直接彼女の鼓膜を揺らしていたのだから。
 太い腕が、緩く腰を捕まえてくる。水の中で筋の浮いた手の平と傷ひとつない手の平が重なって、絡め合うように握られる。針子が、きゅっと力を入れると、呼応するように握り返されて、思わず口元がゆるゆると持ち上がった。

「台座さんは、私のこと好きですか?大好きって、思ってくれてますか?」
「・・・・・・」
「ねえ、台座さん、ねえねえ」

 空いた片手で、彼の胸元の傷をついついと弄った。
 それでも彼は何にも答えない。小さく息を吐く音が聞こえて、まるで「仕方ない」と言われてるようで。
 ゆるりと彼が顔を近づけてきて、そうして、髪に、額に、頬に、そっと唇を押し当ててくる。剃ってない髭の感触。思わず目を伏せて、笑いながら身じろぐ。余計に強く抱きしめられて、その圧力が愛しかった。
 
 ふっと薄く瞳を開けると、ちょうど目の前に彼の瞳。
 自分にだけ向けられる、その穏やかな茶色が欲しい。いたるところに柔らかく口づけしてくる彼は、きっとこのまま大人のキスをする。
 口端に吸い付いてくる薄い唇を感じて、針子は咄嗟に「台座さん、私・・・・・・」と口を開いた。
 もっとと言おうか。それとも、違うものが欲しいって言おうか。
 彼女が口にできたのは。

「逆上せちゃいそう・・・・・・」




 普段は鬼だと言われている彼も、こと恋人相手には面倒見が良い。針子からの申告に一もにもなく彼女を抱きかかえると、幹部はすぐさま涼しい場所へ寝かせてやった。火照った頬にむけて団扇を仰ぎ、薄く開いた針子の瞳を見下ろす。

「だから言わんこっちゃない・・・・・・お前はもう少し体の状態について目を向けるべきだ。フラフラになるまで湯につかってるやつがどこにいる」
「ごめんなさい・・・・・・だって気持ち良かったし・・・・・・」
「俺が居たから良いものの、まさかアジトの湯船でも度々逆上せてるわけじゃあるまいな」

 随分呆れた声だ。彼は意外と心配症なのだ。
 滔々と説教が続くのが常であるし、反論でもしようものならヒートアップして仕方ない。
 でも今回はきっと許される。針子には確信があった。だから薄い瞳のままでへらぁと笑ってみせる。

「んーと、そうですね、台座さんが居たから逆上せちゃったんですよ、私」

 「だから、台座さんの所為なんですよ」と続けると、幹部は一瞬目を丸くさせて、団扇を仰ぐのをやめた。
 それからまた「何言っとるんだ、お前は」と、他に言いようがないみたいに表情を崩してみせた。


 ゆるゆると着替えてからは、戸を開けたまま広縁の椅子に座る。まだポーッと火照った身体に、夜風が心地良い。
 外から入ってくる蛙や鈴虫の声に耳を傾けながら、針子は行燈の元で帳簿をつける目の前の彼氏を眺めた。
 宿に来ても、彼は律儀に日課へ向かっている。背をぴっとたてて、眉間に皺を寄せながら、筆をさらさらと走らせる。とっても綺麗な字。でも、針子には少々読みづらい達筆だ。
 アジトにある彼の自室で過ごすときは、狭いこともあって布団に寝転がりながら彼の日課が終わるのを待つ。でも今日は少し違って、彼のことを、真正面から覗き込んで待っている。それも、アイスチュチュの冷蔵庫でキンキンに冷たくなった牛乳を飲みながら。

 にぃ。と勝手に吊り上がる口端のまま頬杖をつく。朧げな行燈の光に揺れる彼の鼻筋や眉間の皺、口元を見ていると、どうしても心がふわふわと浮ついてきてどうしようもない。温泉旅行、楽しかったな。あ、違った、地方の業務、楽しかったな。こんな時間がずっともっと、続いてくれたら良いのに。
 だけどどうしようもないこともある。なんてったって、今日は歩き詰めで、普段は外に出ることも無くて、体力もない柔女なのだ。どうにもボーッとして、目の前の達筆が、それよりももっとグニャグニャ曲がって見える気がする。

「・・・・・・眠いのか?瞼が落ちてる」

 ふっ、と持ち上がった彼の視線と交わった瞬間、その大きな手の平が伸びてきて頭に置かれた。

「眠くないですよ。いつまでするんだろーって思ってただけで」
「・・・・・・すまん、つい没頭してしまった。そろそろ寝るか、明日も早い」
「いいんですか?まだ終わってないなら待ちますよ。全然・・・・・・眠くないです」
「いや、今日は疲れたろ。早めに休んだ方がいい」

 ぱたん、と帳簿を閉じると、幹部は立ち上がり、扉を閉めに行った。それまで響いていた蛙や鈴虫の声が遠のいて、風で揺らついていた行燈の光がぽわ、と穏やかに丸くなる。
 気持ち良い夜風だったのに。少し残念に思ったことは彼に内緒だ。

 「ほら、寝るぞ」という声に促され、針子は渋々敷かれた布団に潜り込む。
 せっかくの温泉旅行なのだから、もう少し夜更かしをしたかった。でもきっと彼は、アジトに居る時と同じか、それよりもっと早くに起きるのだろう。毎日のスケジュールを崩したくない人だから、早くに寝ると言ったら寝るのだろう。

 「消すぞ」という声にはーいと返すと、次の瞬間には、ふっと暖色の灯りがなくなって、今度は濃い闇色に包まれる。
 ・・・・・・いや、少し違った。戸のすりガラスから月明かりが差し込んでいる。
 暗いけど、暗くない。柔らかく発光する外を瞳に映しながら、針子はほぉ、と息を吐いた。

「台座さん、外、綺麗。光ってるみたい。月ってこんなに明るいんですね」
「・・・・・・」
「・・・・・・台座さん?」

 答えは返ってこない。その代わりに、針子の身体に影が落ちる。
 淡い月明かりからも隠すように彼女を囲ったのは、恋人の大男。針子は目を見開きながら口を噤んだ。
 真上から見下ろしてくる瞳は、熱に浮かされたよう。真一文字に結ばれた唇は、次に発する言葉を選んでいる。
 それが意を決したように、薄く、開かれた。

「・・・・・・いいんだよな」

 真剣な、低い声。急に冷たいものを背中に押し付けられたみたいに、ひゃっと心臓が縮む。
 何も言わないでいると、彼の薄い唇がそのまま落ちてくる。微動だにしない針子の首筋に押し当てられ、その後に唇に触れる。一度角度を変えて、下唇を柔らかく食む。
 ふ、と漏れた熱い吐息。それを合図に、一度彼が離れていく。
 影の落ちた瞳に瞬くのは、彼女を見つめる時だけに灯る欲情の火だ。

 針子は、まどろみの失せた瞳で彼を見返した。

「私・・・・・・今日はしないんだって、思ってました」
「・・・・・・なぜ」
「だって・・・・・・台座さん、任務中だって。イチャイチャしないって」
「・・・・・・俺だってな、建前を言うことくらいある」

 露骨に逸れた瞳に、針子はふふ、と笑みが漏れるのを我慢できなかった。

「温泉旅行、いっぱい楽しいことしましょ」
「・・・・・・ん」

 彼の頬を捕まえて、緩く引き寄せる。二人の間だけで交わされた小さな約束は、このまま湯気に隠していくべきだろう。
 磨りガラス越し。ふんわりとした月明かりだけが、彼らの旅の道末を柔らかく見守っているのであった。


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