2024/12月(7~37)
「そういえば、今日は他の方と一緒に外へ行く機会があったんですよ、久しぶりに坂を下りました」
「おお、そうなのか。暑かったろう、俺も鍛錬部屋ばかりにいるから・・・どうだった、危険はなかったか?」
恋人と時間を気にせず共に居られるのは、業務も夕餉も湯浴みも済ませた夜の間だけだ。共寝所には時折人の出入りがあったが、もはや慣れているのか誰も気に留めないのでありがたい。
共寝所のベッドに腰かけて談笑に耽る。膝に置かれた小さな掌に自らの掌を重ね、指先で彼女の存在を感じられる甘いひとときだ。
「ボコブリンに遭遇しました。私も弓を射ったんですよ!とどめは、他の方でしたけど」
「すごいな! 練習の成果が出たってことじゃないか! 毎日の頑張りがあってこそだ、さすがだ!」
褒めそやすと、素直にふわっと表情が緩んで「えへへ」と返ってくる。頬に桜色が散って、顎を引くのと同時に、睫毛の影が落ちた。
「でも、剣で直接向かうのは、勇気が出ません。遠目から攻撃するのも少し怖くて・・・。みんな、凄いですね」
「良いんだ、人には得手不得手がある。自分のできることをすれば、それで」
そういうものですかねぇ。小首を傾げた途端に髪の毛が零れて、白い額が無防備に目へ飛び込んでくる。
「でも今度からは、剣を中心にやろうと思っているんです。貴方に教えられれば上手くできる気がするし」
持ち上がった漆黒の瞳。潤んだその中に灯りがゆらゆらと漂う。まるで俺を手招きするみたいに。
それに、白い肌の中でひときわ目立つ赤い唇。食べ頃を迎えたイチゴみたいに瑞々しく、見るからに柔らかそうで、きっと甘くて。
く、と湧き立つ何かが、この時俺を動かしたのは確かだ。
「・・・なぁ」
する、と彼女の輪郭に指先を滑らせる。
触れた途端、彼女が小さく身じろぐ。見開かれた瞳を見つめながら、俺はそのイチゴに口元を寄せる。
最初は触れるだけだった。それから味わうように交差した。微かに舌を舐めてから離れると、さっきまで昼の顔を引き摺っていた彼女の瞳が、たったそれだけでとろりと蕩けている。唾液で濡れた唇は、本当に食べかけのイチゴみたいで。
なに、と文句を口に仕掛けた彼女を布団に押し倒し、片方の手に指を絡めて、布団に沈めた。
「きゅう、すぎます・・・」
「すまん、だって・・・ほんとに好きなんだ」
真上から覗き込むと、彼女はもう片方の手の甲で口元を隠した。視線を逸らすが、かといえ拒否する素振りはない。
桜の色は、バラの色に変わってる。
散らばった髪の毛を寄せて、その白い額に口付けた。
「していいか?」
耳元で囁やくと、絡めた指先にくっと力がこもって、小さく頷く。
また情動に任せてイチゴにかぶりつきながら、俺は薄掛けの室に彼女を閉じ込めた。
「おお、そうなのか。暑かったろう、俺も鍛錬部屋ばかりにいるから・・・どうだった、危険はなかったか?」
恋人と時間を気にせず共に居られるのは、業務も夕餉も湯浴みも済ませた夜の間だけだ。共寝所には時折人の出入りがあったが、もはや慣れているのか誰も気に留めないのでありがたい。
共寝所のベッドに腰かけて談笑に耽る。膝に置かれた小さな掌に自らの掌を重ね、指先で彼女の存在を感じられる甘いひとときだ。
「ボコブリンに遭遇しました。私も弓を射ったんですよ!とどめは、他の方でしたけど」
「すごいな! 練習の成果が出たってことじゃないか! 毎日の頑張りがあってこそだ、さすがだ!」
褒めそやすと、素直にふわっと表情が緩んで「えへへ」と返ってくる。頬に桜色が散って、顎を引くのと同時に、睫毛の影が落ちた。
「でも、剣で直接向かうのは、勇気が出ません。遠目から攻撃するのも少し怖くて・・・。みんな、凄いですね」
「良いんだ、人には得手不得手がある。自分のできることをすれば、それで」
そういうものですかねぇ。小首を傾げた途端に髪の毛が零れて、白い額が無防備に目へ飛び込んでくる。
「でも今度からは、剣を中心にやろうと思っているんです。貴方に教えられれば上手くできる気がするし」
持ち上がった漆黒の瞳。潤んだその中に灯りがゆらゆらと漂う。まるで俺を手招きするみたいに。
それに、白い肌の中でひときわ目立つ赤い唇。食べ頃を迎えたイチゴみたいに瑞々しく、見るからに柔らかそうで、きっと甘くて。
く、と湧き立つ何かが、この時俺を動かしたのは確かだ。
「・・・なぁ」
する、と彼女の輪郭に指先を滑らせる。
触れた途端、彼女が小さく身じろぐ。見開かれた瞳を見つめながら、俺はそのイチゴに口元を寄せる。
最初は触れるだけだった。それから味わうように交差した。微かに舌を舐めてから離れると、さっきまで昼の顔を引き摺っていた彼女の瞳が、たったそれだけでとろりと蕩けている。唾液で濡れた唇は、本当に食べかけのイチゴみたいで。
なに、と文句を口に仕掛けた彼女を布団に押し倒し、片方の手に指を絡めて、布団に沈めた。
「きゅう、すぎます・・・」
「すまん、だって・・・ほんとに好きなんだ」
真上から覗き込むと、彼女はもう片方の手の甲で口元を隠した。視線を逸らすが、かといえ拒否する素振りはない。
桜の色は、バラの色に変わってる。
散らばった髪の毛を寄せて、その白い額に口付けた。
「していいか?」
耳元で囁やくと、絡めた指先にくっと力がこもって、小さく頷く。
また情動に任せてイチゴにかぶりつきながら、俺は薄掛けの室に彼女を閉じ込めた。