2026/1月(38~67)

 ん、お疲れ。ああ分かってる。この前の、薬の治験について話を聞きたいんだろう? そうさな。今なら少し時間はあるが・・・ただ、団員が鍛練に来たらすぐさま切り上げなきゃならん、それでいいか? ・・・ああ、分かった。じゃ、ちょっと向こうの方に行こう。・・・あまり部下に聞かれたくないんでな。

 そうだな、まず何から話したらいいか。
 飲んだときにも言ったが、薬自体は水飴を溶かしたみたいで飲みやすかった。話を持ち掛けられたのは昼過ぎだったか? 正直、飲んでから数時間は何も起こらなくてな、通常通り部下に鍛練をつけてやって、俺自身も少し汗を流して・・・。身体の調子がおかしくなったのは、確か夕方に差し掛かる直前だ。もう人もまばらになった時刻だった。
 最初は、急に腹の奥底から熱が広がってくみたいに、ぐわっと身体が火照りだしたんだ。刀をたった一振りしただけで息が上がってな。そうそう、風邪を引いたときみたいに。次に、手足の先がビリビリ震えだした。物の境目とか色がいやにくっきり目について、酔いそうにもなった。焦ったぞ。次々に体調が変わるから、一瞬で身に起こったことについていけなくて死ぬんじゃないかと思ったほどだ。
 暫く座ることにしたんだが、そこで漸く、とあることにも気付いた。気付いたんだが・・・先に聞いておきたい。お前らはあの薬にどういう効果があるのか分かってたのか? 今言った以上の、身体の変化があるとかなんとか。
 ・・・はあ、そうか。そうだったか。それを先に聞いておくべきだった。いや、皆までいうな。聞かずに治験に協力するといった俺が浅はかだったんだ。いやしかし、分かってたんだったら一言くらい、仕事の後に飲んでくれとか、言っておいてくれさえすれば・・・。
 お前らが想定した通り、めちゃめちゃ勃起した。それだけじゃなく、異様にムラムラして。とてもじゃないが鍛練なんて出来っこないくらいで、非常に大変だった。
 ・・・あ?どうやって収めたのかって? そりゃ、出したが・・・。何発かなんて覚えてない。
 ・・・内訳? なんの。・・・なんでここで彼女が出てくる。
 おい、いい加減にしろよ、彼女に手伝ってもらったかどうかをお前に言うわけないだろ。お前らが知れるのは、『この薬がヤバかった』ってことだけだ。あまり使うもんじゃない。薬の話を聞きたいんじゃないんならもう行くからな。お前らも鍛練するんじゃなければさっさと出ていけ。この話はもう終いだ。
 ・・・なんだ、まだなにか・・・謝礼? 薬の完成品を?
 ・・・男にも女にも使える媚薬・・・?
 そ、そんなもので懐柔しようったってそうはいかん。俺たちは今回ほんとに迷惑をかけられて・・・ん、んん。まぁ・・・なんだ。諜報業務なら、確かに・・・敵方に盛ったりして、使えるかもしれんな。一応受け取っておこうか。・・・あーーー、まぁ、今後も手伝ってやらないこともない。ただその時はどんな薬なのかだけ先に伝えてくれ。本当に大変だったんだ。そろそろ、本当に行くぞ。お前らも新薬の研究頑張れよ。
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