2024/12月(7~37)
イーガ団総長・コーガは、深穴の暗闇で考えあぐねていた。
悩みの種は、なかなか自分好みの食べごろバナナを口にできないことじゃない。また、長期の地底生活で、魅力的な腹の肉が萎んできたことでもない。
彼の頭を悩ませていたのは、4日後へ迫る女神ハイリアの生誕祭──クリスマスに関することである。
敵方のルーツでもある女神の慶事なので、もちろんイーガが祝すいわれはない。しかし彼らは祭りという機会に乗じて騒ぎたい輩の集まりだ。この日の「贈り物をする」という慣習に倣い、総長から各団員へ、労いを込めた贈り物を渡すのは毎年の決まり事になっている。
今年も、と思ってはいるのだが、悩ましいのはその内容だ。
毎年彼らに送る一房のツルギバナナ。芸もなく、これ一本で今までやってきた。しかし近頃は業務内容も多岐にわたり、彼らに心労を強いている。プレゼント内容を見直した方が良くないか?とふと思ってしまったのだ。
例えば、地底の珍しいものとか。爆弾花に、ケムリダケ、あとはコンラン花なんかも、奇を衒って良いかもしれない。いや、どうだろう。そんなもん貰って、団員はほんとに喜ぶか? 却下。
喜ぶ、という視点で考えると、イーガはどうしても互助組織の側面が強く、金に困ってるやつが多いとも聞いている。寸志を渡したい気持ちは常々あるし、ここは紫ルピーくらい枕元に・・・いや、なんだか品がない。クリスマスといえば、子供やカップルが夢や希望をもってワクワクして過ごすもんだと相場が決まっている。なにもそんな一日を利用して金を渡すことはねえよな。却下。
じゃあ、鉱石はどうだ。ルピーほど直接的じゃないし、見て綺麗、集めてコレクション、売って金になるとなれば、よく頑張ってくれている若い衆への贈り物に最適な気がする、が。残念なことに、団員の数と同じだけの鉱石を今から集めるのは不可能に近い。ゾナニウムなら可能だが、地上の商売人にとっちゃ単なる石ころみたいなもんで大した金にはならんはず。却下。
「あの、コーガ様・・・大丈夫ですか?」
うんうんと頭を悩ませていると、背後から声。深穴探索で付き添いをさせている二人の構成員だ。休憩がてら立ち寄った廃鉱で、主君が一向に立ち上がらないとなれば心配するのも当然かもしれない。
「おお、そろそろ行くか」と弾かれたようにコーガは立ち上がる。
そこで、ふと「あ、そうだ」と妙案が頭に浮かんだ。
「ちょっとお前らに聞きたいことがある。いいか?」
「え? はい、なんでしょう」
「俺様から何か貰えるとしたら、何が欲しい?」
分からないなら、直接聞いちまえば良い。気紛れみたいな質問だったが、二人の構成員は「えーっ」と上ずった声をあげた。
「コーガ様からですか? な、なんだろう・・・何を貰ったら嬉しいかな」
「あ、褒め言葉とか? よくやってんなって言われたら、へへへ、嬉しいですね」
「そういうのじゃなく、物でなにかないか」と、多少照れ臭いのを誤魔化しながらコーガが付け足す。
「そうですねぇ。・・・でもやっぱり、ツルギバナナですかね。褒美!って感じがしますし」
「ん?」
「あー、そうですねツルギバナナ。コーガ様から貰えるんだったらそれが良いかも。褒美の代名詞。褒美といえばこれ」
腕を組んで頷く二人を交互に見やって、コーガは「んー・・・」と唸る。
でも本人たちがこう言ってるんだし。「そうか、ありがとな!」と、イーガのサンタは晴れ晴れと笑った。
悩みの種は、なかなか自分好みの食べごろバナナを口にできないことじゃない。また、長期の地底生活で、魅力的な腹の肉が萎んできたことでもない。
彼の頭を悩ませていたのは、4日後へ迫る女神ハイリアの生誕祭──クリスマスに関することである。
敵方のルーツでもある女神の慶事なので、もちろんイーガが祝すいわれはない。しかし彼らは祭りという機会に乗じて騒ぎたい輩の集まりだ。この日の「贈り物をする」という慣習に倣い、総長から各団員へ、労いを込めた贈り物を渡すのは毎年の決まり事になっている。
今年も、と思ってはいるのだが、悩ましいのはその内容だ。
毎年彼らに送る一房のツルギバナナ。芸もなく、これ一本で今までやってきた。しかし近頃は業務内容も多岐にわたり、彼らに心労を強いている。プレゼント内容を見直した方が良くないか?とふと思ってしまったのだ。
例えば、地底の珍しいものとか。爆弾花に、ケムリダケ、あとはコンラン花なんかも、奇を衒って良いかもしれない。いや、どうだろう。そんなもん貰って、団員はほんとに喜ぶか? 却下。
喜ぶ、という視点で考えると、イーガはどうしても互助組織の側面が強く、金に困ってるやつが多いとも聞いている。寸志を渡したい気持ちは常々あるし、ここは紫ルピーくらい枕元に・・・いや、なんだか品がない。クリスマスといえば、子供やカップルが夢や希望をもってワクワクして過ごすもんだと相場が決まっている。なにもそんな一日を利用して金を渡すことはねえよな。却下。
じゃあ、鉱石はどうだ。ルピーほど直接的じゃないし、見て綺麗、集めてコレクション、売って金になるとなれば、よく頑張ってくれている若い衆への贈り物に最適な気がする、が。残念なことに、団員の数と同じだけの鉱石を今から集めるのは不可能に近い。ゾナニウムなら可能だが、地上の商売人にとっちゃ単なる石ころみたいなもんで大した金にはならんはず。却下。
「あの、コーガ様・・・大丈夫ですか?」
うんうんと頭を悩ませていると、背後から声。深穴探索で付き添いをさせている二人の構成員だ。休憩がてら立ち寄った廃鉱で、主君が一向に立ち上がらないとなれば心配するのも当然かもしれない。
「おお、そろそろ行くか」と弾かれたようにコーガは立ち上がる。
そこで、ふと「あ、そうだ」と妙案が頭に浮かんだ。
「ちょっとお前らに聞きたいことがある。いいか?」
「え? はい、なんでしょう」
「俺様から何か貰えるとしたら、何が欲しい?」
分からないなら、直接聞いちまえば良い。気紛れみたいな質問だったが、二人の構成員は「えーっ」と上ずった声をあげた。
「コーガ様からですか? な、なんだろう・・・何を貰ったら嬉しいかな」
「あ、褒め言葉とか? よくやってんなって言われたら、へへへ、嬉しいですね」
「そういうのじゃなく、物でなにかないか」と、多少照れ臭いのを誤魔化しながらコーガが付け足す。
「そうですねぇ。・・・でもやっぱり、ツルギバナナですかね。褒美!って感じがしますし」
「ん?」
「あー、そうですねツルギバナナ。コーガ様から貰えるんだったらそれが良いかも。褒美の代名詞。褒美といえばこれ」
腕を組んで頷く二人を交互に見やって、コーガは「んー・・・」と唸る。
でも本人たちがこう言ってるんだし。「そうか、ありがとな!」と、イーガのサンタは晴れ晴れと笑った。