2024/12月(7~37)

 オレ、あの人苦手なんだよ。嫌味っぽくて、いつまでもねちねち言ってきて。
 この前だって、カカリコの偵察から帰ってきたあの人に、溜まってた業務報告をしようと声をかけたんだ。そしたら読んでる本をパタン、とわざとらしく閉じて、バカでかいため息吐くんだぜ? むすっとした顔してさ。いや仮面はつけてたんだけど。
 『貴方ね、今私が休息の最中だと、見て分かりませんか?』って。
 でも休息が終わるタイミングと、オレが報告できるタイミングが被るかは分からないわけじゃん。
 日頃の鬱憤をさ、ああいうところでチクチク言って晴らしてるんだわ。『まだその程度しか進められてないのですか?』とか『諜報はイーガの花形ですよ。そんな体たらくで恥ずかしい』とか、俺が上手くいってないのをあげつらってきてさ。

 ま、優秀な人ではあるよ。この前時間があるからって、俺の聞き込み業務に着いてきたことがあったんだ。
 ・・・あの人、凄いのな。輪になってる村人に話しかけたと思ったら、物の数分で肩組み合いながら笑い合うくらい仲良くなっちまって。欲しい情報ペラペラ喋らせて、『今度は酒盛りでもしよう!』とか誘われててさ。
 しかも、道中で襲ってきたモリブリンなんか、脳天にクナイ突き刺して一発KO。マジかよって思ったよ。『貴方、諜報を辞めて洗濯番にでもなった方がよろしいのでは?』とか余計なこと言わなきゃいいのに。
 あーあー、諜報以外の部署が羨ましいよ。鍛錬班なんて、業務自体はキツそうだけど幹部さん良い人そうだし。流通班とかもさ。
 なんでうちの上司だけあんなに性格がねじ曲がってるのかねぇ。
「・・・貴方、今誰のことを喋っておいでですか」
 か・・・、幹部さんッ!?帰ってきてたんですか!?いつの間にそこに!?
「つい今しがたですよ。まあそれは良いとして、貴方から上がった報告書を読ませていただきましてねぇ、一言お伝えしたく、お邪魔しました。暫し良いですか」
 は、はい・・・だいじょぶ、です。
「貴方に任せていたこの案件、なかなか難しい内容でしたのに、やればできるんじゃないですか」
 へっ!?
「もっとも、貴方ならできると踏んで、任せていたところはありましたが、こうまで上手くやり切ってくれるとは。見直しました。貴方のような団員がいるのなら、イーガも安泰ですねぇ」
 ・・・。
「私が言いたかったのはこれだけです。では、これから発ちますので。失礼しますね」
 あ、はい。お疲れ様でした。いってらっしゃいませ。
 ・・・。
 ・・・へへ、なんか・・・まじか、信じらんねえな、あの人、他人を褒めることもあるんだな。
 え?あ、いや、まだ苦手だよ。嫌味っぽいのは変わんねえし。・・・いや、でもまぁ、根は悪い人じゃないのかも?不器用なだけなのかもしれねえな、へへへ。
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