スタァと黒服

「旦那様」
「まだ、そう呼んでくれるんですね」
「他の呼び方、知らないから。嫌いだもん、ひろって音も、だいって漢字も。わたしの特別な神様の名前だから」
「大国主……」
「そう、大国主様。他の言い方は事代主様」
「怒られません? オレとデートして」
「誘拐だよ。わたし、健斗さんにBaby預けたまんまなんだけど」
「オレらの双子は、5歳ですか?」
「そうよ。元気よ。パパより良い男になったら良いけれど……」
「オレ、会わせてくれません?」
「わたしちゃんと三人育ててるわ」
「流石ですね。子ども欲しさにオレのこと利用して」
「そうよ。わたし、子種が欲しかっただけ」
「どんな男でもだめなんです」
「なんの話?」
「オレと、貴方の話ですよ」
「やりましょっか。久しぶりでしょう?」
「健斗さんとデート中にしてた」
「子ども置いて?」
「海外かぶれなのよ」
「浮かぶ仕草に我休まん」
「いとしい貴方に花添えて」
「懐かしいですね。貴方の趣味」
「ねえ、旦那様。行きたいところ、あるの」
「どこです」
「健斗さんのところ」
「なんて?」
「ララ、帰ってこい。そいつとヤッたら殺すぞ」
「あ、でんわ」
「ララ、今どこや?」
「御堂筋で今中之島すぎて、本町あたり」
「デートで満足しろよ」
「オレとシェアしません?」
「は?」
「健斗さん、ハニーは大丈夫?」
「ベビーカーで寝てるわ…ぐっすり」
「オレ、やっぱりwifeがよくて」
「オレの妻や。何別れた男が絡みついとんねん」
「ねえ、健斗さん。わたしこの人かわいいって思うけど、話し方だけ」
「あー、イライラするなぁ!! オレの妻返せや!」
「えー、じゃ、Uターンして梅田戻る前に一回ヤッてもいいです?」
「わたしの健斗さんになに言うの?」
「ララ、そいつストーカーでしょっぴけんか?」
「さあ…しらん」
「もっかい、やり直し、したいんです」
「マジでヤんなよ? ララ、帰ったらオレが飯作るし」
「わーい……ねえ、返してくれる?」
「昔に戻ってください」
「旦那様、わたし梅田に返して。だめ?」
「だめです」
「でもね……わたし、お洋服ほしい」
「どうして?」
「思い出がほしいだけ」
「キスは良いですか?」
「あー、すんな。お前、やりてぇなら他の女にしろ」
「好きよ、わたしの旦那様。好き。ねえ、どうして悲しそうにするの?」
「戻りましょっか」
「うん……あいしてた。好き」
「一回だけヤッても、お前収まらんやろ」
「殴りはせんやろ」
「いや、殴らせろ」
「ララさん、オレの顔、どうですか?」
「素敵だと思いますよ」
「ララ、寝んなよ」
「うん」

「お前、まじでふざけんなよ」
「はい、すみません」
「ハニー寝てる……」
「どうしたら、オレ、許されますか?」
「許すも何も、ララが病気なったんお前のせいやろ」
「ねえ、健斗さん。この人、許してるよ」
「ララ、あいしてた。今でも、愛してる。あいしてる」
「ララとヤッてもええけど…その代わり金出せよ」
「すみません。しません」
「お喋りくらいなら、いいよ」
「あかん。これは、お前とオレの夫婦やめることに繋がんねんぞ」
「それはいや」
「じゃあ、ララ、ハニー見とけ」
「うん」
「オレの妻に次近づいたら何してもらうか考えたけど…双子に会いたいならええぞ」
「は、はい」
「ちょっぴり好きって思っちゃう」
「それって!」
「オレらの家、知ってんねやったら帰せ」
「は?」
「双子に決めてもらう。お前の車、出せ」
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