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 また、いいね、貰えた。通知が来るたびに、彼、だといいな、と期待していた。かっこいいひと。会ったことはないけれど、たまに載せている誰かと一緒でいてたことがわかる横顔に恋している。嫉妬。醜い感情だから持ち続けたくなくて、わたしはすぐに雪いでいる。さーっと冷めるように。けれど、楽しいのが、彼の為人を知られる文章と絵文字。可愛いなぁ、って思う。

「なあ、お姉ちゃん。最近、なにしてんの?」
少し怖い。わたしが楽しそうにしていると、わたしも出してしまう低く燻ぶった声で、聞かれる。
「グラム、してるだけだよ。なんにもあらへん」
「お姉ちゃんって、女に嫌われるよな」
「うん。なんでなんやろ。わたし、お友達やと思ってたんやけどなぁ…」
「男好きのする顔って言葉、あたし知ってるけど、お姉ちゃんのことよな」
「そうやなぁ。男のひとが好きっていうより…男のひとが好きになる顔って意味やと思うけどなぁ」
返事がない。いつものこと。妹の興味が失われたら、わたしはいつも、思っていることを話せない。けれど、確かなことは、今、わたしの好きなひとは、察しがよすぎる。初めて、コメントされた。通知が来て、嬉しくて、どうしよう、なんて返信しよう?
『君の写真、何で編集してるの? いつもかわいいね』
お兄さん、わたしのお兄さん、十個上の大学生さん。横顔しか知らないから、けれど、きっと、素敵なひと。わたしの、お兄さん。
『いつもありがとうございます。アプリです。わたし、デジカメじゃなくて、スマホで撮ってます』
あ、どうしよう? 余計だったかな? どうしよう?
大学生ってどんなんだろう? 勉強とかバイトとかで忙しいんだろうなぁ。充実した生活、充分に実りある生活、あとは…嫌だなぁ。わたし、もっと年上に生まれたかった。わたしのほうが、きっとかわいい…たぶん、きっと、そう。どうだろ?
『本名?』
あ、消えちゃった。あー、もう! 残しててよ! 返事したのに!!
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