七殺八鬼-3
17.NPCロールプレイ手引き
◯このシナリオは本を読むか否かと各NPCによるミスリードが重要になる。RPや情報の渡し方を調整しつつシナリオを進めることを推奨する。
◯榊 光明
榊はごく普通の男子大学生である。
時間に都合がつけやすい八鬼寺でのアルバイトを重宝しており、そこで出会った法主・剛丞の人間性に惚れ込んでいる。
去年の10月に剛丞からもらったお守りを肌身離さず持ち歩いて大切にしているが、中身を見たことはない。
八岐大蛇の魂に取りつかれた剛丞に「この街に潜む八匹の鬼を殺せ、人に化けている可能性もある。夜行性だから深夜に出歩いている者を殺せ」
と命じられ戸惑いながらも人々の安全の為ならばと請け負ってしまった。
探索者と出会う以前にはお守りの中身や日記の内容には気が付いていない。勿論、八岐大蛇についても知らない。
基本的には剛丞=友人探索者>探索者であり、何の根拠もなく榊を止めようとした場合は友人であろうと刃を向けるが日記を見せれば受け入れる。
友人でない探索者の場合、日記を見せたうえで交渉技能等に成功しなければ信じない。
自身の殺人が常軌を逸した行動だと自覚している為、探索者が「鬼を探している」と言えば自身のことも「鬼」とカウントする。
心理学の結果には上記を反映させ、「榊は自分こそが鬼であると思っている」というミスリードを与えても良い。
八岐大蛇から力を与えられている為「蛇睨み」と「異常な筋力」を半永久的に有している。
この2つを探索者に体感させることで「榊=人外=鬼」というミスリードを与えるようにすること。
エクストラエンドの共犯者については、基本的に友人探索者を想定するが、セッション中に友人と呼べる仲になった探索者などにも適応してよい。
シナリオ中は常に異常な疲労感を感じており精神も摩耗している。
その為、激情的であったり、差し伸べられる救いに弱かったりと目まぐるしい一面もあるだろう。
精神分析やRPで落ち着けることは可能とする。
榊を逮捕しようとするなら高迫は反対する。また榊の逃亡の手助けをするかもしれない。
それを回避して榊を捕まえたとしても、榊は己の力を使い警察から逃げ延びるだろう。
行動不能にしてから警察や病院に送り込んだ場合は5時間後に行動を再開させること。
その際死傷者が何人でたか1D6のダイスロールで決定する。
◯剛丞 信
剛丞は過去に夜鬼の力を得た鬼人であり、現在は八岐大蛇の魂に体を支配されている。
八岐大蛇に体を支配される前に身近にいた榊に自身と街の命運を託しお守りを授け日記に希望を隠した。
収入はほぼないが、永瀬が過去の日記を多額で引き取って行った為それなりの貯えがあり榊に給料も渡せている。
そして剛丞の身体を支配することに成功した八岐大蛇は目覚めてすぐに八匹の夜鬼を殺すことを計画。
支配した体の持ち主が鬼人だとは知らず、近くにいた榊を利用するために力を明け渡し命令を下す。現在の知識などがないことから自身は庫院の寝室にこもりきりだが、榊に危険があれば外出したり共闘することもあるだろう。
今持つ全ての力を榊に譲渡しており、その為榊を大切にしている。
八匹の鬼によって幽界に閉じ込められた際に体を失っている為、力は完全なものではない。鬼を殺すことで完全に復活できると考えている。
大蛇に剛丞こそが最後の鬼であると伝えてしまった場合、バッドエンド。
剛丞の日記を小出しにすることによって「剛丞が鬼である」「榊は剛丞に命令され殺人をしている」という八岐大蛇の存在を隠すミスリードを与えること。
キャラクターイメージとしては蛇のように狡猾であるのが八岐大蛇in剛丞で、鬼のように剛毅であるのが素の剛丞。
榊はその違いから違和感を覚えているというヒントを与えてもよい。
◯高迫 はじめ
高迫は元探索者であり、神話事件を追う警察官である。
常に何かや誰かに隠れて事件の真実を追っている。
探索者の味方という訳ではなく今回の事件では探索者を隠れ蓑にして真実を追うことを考えている。
暴力団と関係があり、警察内部での情報操作能力に長けており証拠の隠滅や捏造を繰り返している。今回の事件に関してもそれを利用し、神話事象に他人を巻き込まないよう隠蔽・捏造をしている。
榊を単純に逮捕しても警察の手に負えないと思っている為、榊逮捕には反対する。
榊、剛丞のことは事件終了後「サウスラボ神子支援施設」という場所に任せようとしている。
探索者に対して事件の情報は与えるが自身の情報は一切与えない。
何かや誰かに肩入れすることを控えているが、他人に危険が迫るとなると身体を張って助けようとしてしまう。
最終的に他の犯罪者に今回の事件の容疑も擦り付け、表向きには解決したことにする。
鏑木がフードの男(榊)に襲われている場面に遭遇し、助けるも他の警察官が仕事をしていないことは知っているので資料には加えていない。この時鏑木と連絡先を交換している。
高迫に戦闘をしかける場合、高迫は回避に専念し探索者を説得させようとするだろう。
それでも聞かないようであればノックアウト宣言で応戦すること。
もし説得が明らかに効かなさそうだと感じた場合は最初からノックアウト宣言での応戦でもよい。
◯永瀬 柊二
神話事件を見守る魔術師。
探索者がどのように立ち向かうかを見ている不審者。
事件をよく見ようと深夜徘徊をしていたら本当に不審者認定され容疑者となってしまった。
もし探索者が永瀬を鬼と疑うような言動をしたら肯定する。自身も力を持つものという意味では人というよりは鬼と呼べると思っている。
探索者に必要以上の協力はしない。今回の事件を見届けたら探索者たちの前から姿をくらませる。
事件の真実については全てを把握している。
ミスリード要員にはあまりならないかもしれないが、好き勝手に動かしてニャルラトホテプだと思わせ警戒させることはできるかもしれない。
永瀬を殺そうとすれば殺すことは可能、永瀬から探索者を傷つけることはなくなされるがままだろう。
もし殺された場合は何も言わず息を引き取る。
◯鏑木 悠仁
鏑木は元探索者であり、過去に間接的にだが人を殺してしまったことがある。
心理学には「人を殺したことがある」と反映させミスリードさせてもよい。
人を救うことを第一に考えており過去の体験から今回の連続殺人も神話事象が絡んでいると考え1人調査をしている。
元々はただの冴えない本好きな司書だった。
探索者には協力的で支援を惜しまない。が、鏑木は容疑者のうちの1人でもある。
前述のとおり間接的にだが人を殺してしまった過去があるため警察探索者による質問&心理学に対しては
「犯罪を犯したことがある」「人をころしたことがある」などと反映させることが可能であり、ミスリードを与えても良い。
様々なジャンルの本に精通しており、崩し字や変体仮名もある程度読むことが出来る。
鏑木の協力なしに全ての本を読み終えることは困難である、鏑木にはなるべく無実を証明するようなRPで探索者に協力させること。
フードの男(榊)に襲われそうになったところを高迫に助けられた際、突き飛ばされ転倒した為、顔の右側と右肩から拳にかけて擦り傷と打撲の跡がある。
この時高迫と連絡先を交換している。
このことから探索者は「鏑木が犯人で被害者に抵抗された際についた傷なのでは?」とおもうかもしれない。
鏑木に対して戦闘を仕掛けるなら、高迫に連絡して応援を頼むだろう。
高迫が戦闘に参加するまでは1D4+1ターン目とするが、その場にいる場合は鏑木は無実であることを話し説得する。探索者が納得しなければ鏑木+高迫との戦闘。
高迫はノックアウト攻撃をしかけること。
◯榊+剛丞の戦闘について
剛丞より榊の方がDEXが早い為
「榊の蛇睨みで探索者を行動不能にさせ、剛丞が無抵抗の探索者を殴る」
というコンボを推奨する。
◯各HOのアドバンテージ
自由選択性の為、明確な格差をつけることは避けた設定になっているがKPが適宜有利性を付与してよい。
あくまでフレーバー、別視点を楽しむためのものとするが、必ずしも従わなければいけないということはない。
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18.タイムリミット
◯2月7日朝10時がタイムリミットとなる
それまでにエンド分岐行動を取れていない場合はタイムオーバーの為、バッドエンドへ。
理由としては、大蛇が鬼の脅威はもうほぼないと判断して、暗闇に身を潜め行動範囲を八鬼市以外に広げるため。
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19.情報一覧と流れ
◯情報を小分けにして出すことで探索を完遂しなければ「鬼」と「蛇」が何であるか、すべきことが何であるか分かりにくくさせ、各NPCへのミスリードと各エンディングへの誘導をする。
その加減は卓にあわせてKPが判断すること。
①お守りの中身「本を読んで過去を知れ」→図書館への誘導
②図書館「剛丞信は鬼の力を持つ」→信が鬼であることのミスリード
③探偵事務所エルク「剛丞信と七匹の鬼は八岐大蛇からこの土地を守っている、魂を幽界へ還す力のある遺骨を本堂にしまう」
→以上の点から目的が「魂を幽界へ還す力のある遺骨でもう一度八岐大蛇を退治する」ことだと示し、本堂へと誘導
④本堂にある手紙と遺骨「この時点で解決する手立ては揃っている」
⑤ベッドの下の最後の日記「すべての真相、解決手段の明確化、タイムリミット」
以上が基本的な流れであり、③の時点で事件を解決することは可能になっているが、
②の時点でミスリードを与えNPCの言動でかき回すことで③にたどり着かない、又は
時間経過が多い、榊が殺人鬼だと気が付き殺害・対立などしている場合はグッドエンドにたどり着かないシナリオになる。
各NPCに対して懐疑心、敵対心を抱かせることで難易度が上がる為、難易度の調整は情報の出し渋りではなくNPCの言動で行うことを推奨する。
また、管理が複雑化し調整は困難になるが各NPCから探索者への不信感から敵対するなどという好感度調整をした結果、各NPCが友好から敵対へと変わるという処理をしてもよい。
このシナリオのNPCは必ずしも探索者の味方ではなく、必ずしも敵であるわけでもない。
卓参加者の好みやセッションの流れによってKPは情報等の取り扱い方を決めること。
KPはPLの敵になってはいけない。
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20.解決法
◯『春日の遺骨』を剛丞に触れさせる方法としていくつか例を記載する。
PLのアイデアを積極的に反映し、結果を描写すること。
①
・榊の蛇睨みを活用し剛丞の動きを止める
・戦闘技能等による意識不明状態、組み付きで動きを止める
・何かに隠し取り出させることにより触れさせる
・衣服、靴などに隠し着用時に触れさせる
②
・飲食物に混ぜ体内に摂取させる
→なんらかの方法で体内に摂取させた場合、大蛇の魂を幽界へ還したあとも剛丞の身体に接触していることになるので剛丞の魂も幽界へと送られてしまう。
大蛇の魂が還されたあとに吐き出させれば回避できる。
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21.結果
◯『春日の遺骨』を剛丞に触れさせた結果としていくつか例を記載する。
①
春日の遺骨は確かに剛丞の肌に触れた。
途端、剛丞は顔を歪め苦しみだす。その口からは苦しげな、まるで蛇が舌を器用に鳴らすか細い音が恨ましげに吐かれる。
(適当なセリフを挟んでもよい)
貴方をきつく睨みつける蛇のような双眸が一際大きく開かれると、体を丸めるように一瞬力を込めて、かと思うと力尽きたようにその場に倒れこむ。
暫くして苦しげに唸り声を上げながら剛丞がゆっくりと体を起こす。
(適当なセリフを挟んでもよい)
剛丞は安心させるように豪快な笑みを見せる。大蛇の魂を幽界に還すことに成功した、貴方はそう実感する。
②‐①
春日の遺骨は剛丞の口に含まれ喉元を通り過ぎ体の内に入り込んだ。
途端、剛丞は顔を歪め苦しみだす。その口からは苦しげな、まるで蛇が舌を器用に鳴らすか細い音が恨ましげに吐かれる。
(適当なセリフを挟んでもよい)
貴方をきつく睨みつける蛇のような双眸が一際大きく開かれると、体を丸めるように一瞬力を込めて、かと思うと力尽きたようにその場に倒れこむ。
次の瞬間、飛び起きた剛丞は自身の口に勢い良く手を突っ込む。
〈アイデア〉→体内に残った遺骨を自身の体内から吐き出そうとしていることに気が付く。
大蛇の魂を幽界に還すことには成功したが、このままでは剛丞の魂まで幽界に送られるだろう。
②‐②
吐き出させるためになんらかの行動をした場合、適宜ダイスロールを振らせる。思い付かなければ〈幸運〉ロールで判定。
成功で、剛丞は口にしたものを全て吐き出す。
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22.守護八鬼人伝説
◯いくつかの条件でエンディングへ移行する
≪グッドエンド条件≫
①NPC全員が生存した状態で八岐大蛇の魂を幽界へ還した
(榊、剛丞を除くNPCで、探索者が鬼と疑った訳ではなくNPCがロストした場合はグッドエンドでよい)
≪ノーマルエンド条件≫
①八岐大蛇の魂を幽界へ還したが剛丞も死亡した
②真相にたどり着けず鬼とおもわしきNPCを逮捕したor死亡させた
≪バッドエンド条件≫
①PCの全滅
②タイムリミットを迎えた
③大蛇に剛丞こそが最後の鬼であると伝えてしまった。
(伝えた時点で榊がいれば大蛇は榊に探索者の殺害を命じる。榊が大蛇の命令に従う状態であれば戦闘、どのような結果であれその間に大蛇は姿を消す。
榊がいない、命令に従わない場合は大蛇自身が探索者を殺害しようとする)
≪エクストラエンド条件≫
①八岐大蛇を退治しないまま榊を匿う、逃亡させるなどした
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23.エンディング
【グッドエンド 最後の鬼人】
①NPC全員が生存した状態で八岐大蛇の魂を幽界へ還した
貴方の活躍により八鬼市は守られた。一人残された最後の鬼人はその役目を再び果たし始める。
そして彼はこれからも人々から忘れ去られる永劫の中で営みを見守り続けるだろう。
最後の鬼人はまだ、この街にいる。
報酬
シナリオクリア1d3
鬼の正体を突き止めた1d3
八岐大蛇を退治した1d3
NPC全員生還 1d3
【ノーマルエンド 最後の鬼】
①八岐大蛇の魂を幽界へ還したが剛丞も死亡した
貴方の行いにより八鬼市から八岐大蛇という脅威は去った、最後の鬼を道連れに。
これからも人々は彼を忘れたまま、見守られていたこともしらず営みを続けるだろう。
この街に、鬼はもういない。
②真相にたどり着けず剛丞以外の鬼とおもわしきNPCを逮捕したor死亡させた
貴方の行いにより八鬼市から殺人鬼という脅威は去った、かと思われた。
しかし彼はいずれこの事件とともに忘れ去られ、大蛇は暗闇に身をひそめる。
鬼は今、何処に。
報酬
シナリオクリア 1d3
鬼の正体を突き止めた1d3
八岐大蛇を退治した1d3
NPC全員生還 1d3
【バッドエンド 鬼人の最期】
①PCの全滅
貴方は八鬼の怪異の前に成す術なく倒れこむ。
その瞳に映るは鬼の心か蛇の眼か、はたまた人の業か。
鬼人の最期を終ぞ知ることはない。
②タイムリミットを迎えた
ふと、貴方の足は八鬼寺へと向かうが、そこにいるはずの人の姿は消え去り侘しい空気だけがそこにあった。
その日から八鬼市での悍ましい事件がニュースで取り上げられることはなくなるだろう。
しかし彼はいずれこの事件とともに忘れ去られ、大蛇はより深い暗闇に人を誘い込み喰らう。
鬼人の最期を終ぞ知ることはない。
③大蛇に剛丞こそが最後の鬼であると伝えてしまった
(探索者全滅)
貴方は八鬼の怪異の前に成す術なく倒れこむ。
その瞳に映る男の顔は人でもなく、鬼でもなく、蛇のように愉悦に歪んでいた。
鬼人の最期を終ぞ知ることはない。
(大蛇逃走)
貴方は大蛇を暗闇に逃がしてしまう。
その日から八鬼市での悍ましい事件がニュースで取り上げられることはなくなるだろう。
しかし、大蛇はより深い暗闇に人を誘い込み喰らう。
鬼人の最期を終ぞ知ることはない。
報酬
シナリオクリア 1d3
鬼の正体を突き止めた1d3
八岐大蛇を退治した1d3
NPC全員生還 1d3
【エクストラエンド 共犯者】
①八岐大蛇を退治しないまま榊を匿う、逃亡させるなどした
貴方は異形の力を持つ男の手を引く。
鬼から身を隠し息を潜めて暗がりをゆく貴方は彼の友人であり、共犯者だ。
報酬
シナリオクリア 1d3
鬼の正体を突き止めた1d3
NPC全員生還 1d3
榊光明の共犯者となった 1d3
七殺八鬼-4