短編
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【やきもち】
『よし、一旦休憩入れようか
ブロリーも水分補給しておいで』
「わかった」
ビルス様の星でブロリーと
気のコントロールの練習を
するようになってから大分
気を制御できるようになってきている
水分補給に向かうブロリーの背中を
見つめながらそんなことを思っていると
カカロットに声を掛けられた
「ロマネス!オラと手合わせしようぜ!」
…たしか彼はベジータ王子と
手合わせをしていたはず
『ベジータ王子は?』
そう問いかけると、途端にカカロットは
つまらなそうな表情を見せた
「またメイソウしちまってさー」
『まあ、それも大切な修行の一環だからね』
そう苦笑いしながら答える私を見て
カカロットが思い出したように問いかける
「そういや、ロマネスは
オラの父ちゃんのこと知ってんだよな」
『うん、知ってるよ』
「オラの父ちゃんって
どんなやつだったんだ?」
そう聞かれた私は彼の父 の姿を
思い浮かべながら話す
『貴方とまったく同じ髪型で頬に傷があった
でも表情は全然違かったかな
彼は目つきが鋭くてあまり笑わなかった』
「ベジータみたいっちゅーことか?」
『ぅ、うん…まあ表情に関してはそうだね』
『でも貴方と同じで闘いが好きな人だったよ』
当時子供の中でも特に戦闘力の高かった私は
経験と称して一度だけバーダックのチームと
任務に出かけたことがある
私がチームの皆に挨拶をしたのを見たあと
開口一番に「ガキは嫌いだ」と言い放った
バーダックに対して、私も彼に
それ以上話しかけることは無かったが
あの時の任務は目を瞑れば今でも思い出せる
戦闘中は最前線で真剣ながらもどこか
楽しそうに闘うバーダックと
その彼のあとに続いてく仲間達
闘いが終わったあとは皆で休憩して
その時の談笑は結構楽しかったな
「ロマネスはオラの父ちゃんのこと
好きだったんか?」
『は?!』
楽しかった思い出を浮かべて
表情が緩んでいたからか
カカロットがとんでもないことを言い出した
いや、でもあのカカロットのことだ
きっと愛情だの友情だの関係なく
単純に好感を持っていたかどうかを
聞かれているだけな気がする
『…カカロットは私のこと好き?』
するとカカロットはニカッと笑って答える
「おう!好きだぞ!」
あぁ、やっぱりそういうことか
そういう視点で見るならば、
あの強さは憧れだったし子供ながらに
仲間を大切にしてることも伝わってた
怖い人だったけど好感はあった
『…私、貴方のお父さんのこと好きだよ』
「そっか!」
微笑みながら答えた私を見て
カカロットもニコニコしながら返事をした
急な悪寒がした
それはカカロットも同じようで
一瞬で闘技者の顔になった
修行で何度も感じたことのある気を
背中に感じながらカカロットの視線の先を
追いかけるように後ろを振り向く
そこには思った通りにブロリーがいたけど
明らかに様子がおかしかった
普段の黒い瞳は金色になり、柔らかそうな髪も今はトゲトゲと硬そうな見た目になっている
なによりいつもの柔和な表現が
怒りに染っていた
でも、ただ怒っているというより
戸惑いが含まれた気の乱れ方だ
それにかなり気は膨れているが、こちらに
襲いかからない程度には制御できている
…こういう時は応戦するより先に
意思の疎通をはかった方が穏便に済む
そう思った私は自分の気を抑えて、
咄嗟に動くための意識以外の警戒を解いた
その様子を見ていたカカロットも同様に
気を抑えて構えを解いてくれた
感謝しつつも、この優しさが
ベジータ王子や他のライバルからすると
《甘い》ってことなんだろうなと思い
場に似合わず笑いそうになった
『ブロリー、戻ってきてたのに
すぐ気付かなくてごめんね』
落ち着いた表情で真っ直ぐブロリーを見つめて
柔らかく話しかけながらゆったりと歩を進める
『それに…今貴方を怒らせちゃってる原因も、
私にあるんだよね…?』
きっと怒りの中のその悲しそうな顔は
私がさせているんだろう
申し訳なさとともに声を掛けると
ブロリーは声に出てはいないものの驚いていた
なんで?という顔をしている
『分かるよ
大好きなひとのことだもの』
私とブロリーの間の距離が
ゆっくりと縮まっていく
『でも…ごめんね、原因までは分からないの』
ブロリーの目の前まできた
『だから話を聞いて、ちゃんと謝りたい』
私の落ち着いた態度につられてか
ブロリーの様子も落ち着いてきていた
『私に…話し合う機会をくれないかな?』
そう聞くと、ブロリーは頷きと共に
瞬きをひとつして
目が開く頃にはいつもの黒い瞳と目が合った
そんなブロリーの手を柔らかく握って
滞在中の自分の部屋へ招いた
一緒にベッドへ腰を下ろしてから
ブロリーの方を向き、さっそく本題へ入る
『それで…私がブロリーを怒らせちゃった
理由を聞いてもいい?』
そう問いかけるとブロリーは
自分の胸をおさえながら話してくれた
「… ロマネスがほかのヤツをすきって
言ったとき…ここがくるしくなって
頭のなかが、ごちゃごちゃして、それで…」
『気のコントロールが
出来なくなっちゃったんだね』
言葉を詰まらせてしまったブロリーの
代わりに続きを言うと彼はゆっくりと頷いた
その症状には心当たりがある
誰しもが抱く可能性のある感情だ
『それはね、やきもちって言うんだよ』
ブロリーは育った環境柄
自分の感情や外の知識に疎いところがある
恋人になった時もそうだった
その時に手助けしてくれたチライいわく、
彼は好きという感情自体は理解していたが
家族愛や友愛、恋愛の違いまでは
区別がつけられていなかったらしい
それでも恋人になれたのは
彼の純粋な気持ちと
チライ達のサポートのおかげだ
「やきもち?」
『そう。自分の好きな人が他の異性と
仲良くしていると、心がモヤモヤして
時には周りにトゲトゲした態度を
とってしまうこともあるの』
そう説明するとブロリーはしゅんとした
様子でこちらを見る
「....おれがトゲトゲしたら
ロマネスはめいわくか?」
不安そうな顔をしている彼の手を
両手で包み、真っ直ぐに彼の瞳を見つめる
『迷惑じゃないよ、やきもちをやくって事はね
相手のことが好きって証拠でもあるの』
『でもね、ブロリーがモヤモヤしたまま
だったら、私も苦しい。だからこうやって
教えて欲しいの。それで話し合って
2人で解決していきたい』
そう伝えるとブロリーの曇った顔が
だんだん晴れていった
『どうかな?』
「わかった…!」
彼は本当に素直でかわいい
だから私もそんな純粋な彼に対して
誠実に向き合いたいと思う
『ブロリーは、私が他の男性に対して
好きって言ったのが嫌だったんだよね?』
ブロリーはこくりと頷いた
『分かった、じゃあ今後ブロリー以外の
男性に好きって言葉は使わない』
ぱぁっ…!っていう表現がぴったりだろう
とっくに成人していて、怒ったら豹変する
はずの男性の背景にお花が見える
そんなアンバランスに愛おしさと
面白さを感じて思わず笑ってしまった
『ふ、ふふ』
「ロマネス」
『うん?どうしたn…っ』
名前を呼ばれて顔を上げると
ブロリーの顔が近かくて、
口に柔らかいものが触れた
『…え?!』
「口と口をくっつけるのが
こいびと同士のあいじょうひょうげん
だってきいた」
なっ....!?確かにそうなんだけど!
それにしても不意打ちがすぎる!
誰だ、そんなことを吹き込んだやつは
「ロマネス」
また名前を呼ばれて、今度は何だと思いつつ
激しく脈打つ鼓動を抑えながら彼の方を向く
『な、なーに?』
「大好きだ」
優しさに溢れた満面の笑みと共に
紡がれた愛の言葉に
いよいよ目眩がしてきたのだった
『よし、一旦休憩入れようか
ブロリーも水分補給しておいで』
「わかった」
ビルス様の星でブロリーと
気のコントロールの練習を
するようになってから大分
気を制御できるようになってきている
水分補給に向かうブロリーの背中を
見つめながらそんなことを思っていると
カカロットに声を掛けられた
「ロマネス!オラと手合わせしようぜ!」
…たしか彼はベジータ王子と
手合わせをしていたはず
『ベジータ王子は?』
そう問いかけると、途端にカカロットは
つまらなそうな表情を見せた
「またメイソウしちまってさー」
『まあ、それも大切な修行の一環だからね』
そう苦笑いしながら答える私を見て
カカロットが思い出したように問いかける
「そういや、ロマネスは
オラの父ちゃんのこと知ってんだよな」
『うん、知ってるよ』
「オラの父ちゃんって
どんなやつだったんだ?」
そう聞かれた私は
思い浮かべながら話す
『貴方とまったく同じ髪型で頬に傷があった
でも表情は全然違かったかな
彼は目つきが鋭くてあまり笑わなかった』
「ベジータみたいっちゅーことか?」
『ぅ、うん…まあ表情に関してはそうだね』
『でも貴方と同じで闘いが好きな人だったよ』
当時子供の中でも特に戦闘力の高かった私は
経験と称して一度だけバーダックのチームと
任務に出かけたことがある
私がチームの皆に挨拶をしたのを見たあと
開口一番に「ガキは嫌いだ」と言い放った
バーダックに対して、私も彼に
それ以上話しかけることは無かったが
あの時の任務は目を瞑れば今でも思い出せる
戦闘中は最前線で真剣ながらもどこか
楽しそうに闘うバーダックと
その彼のあとに続いてく仲間達
闘いが終わったあとは皆で休憩して
その時の談笑は結構楽しかったな
「ロマネスはオラの父ちゃんのこと
好きだったんか?」
『は?!』
楽しかった思い出を浮かべて
表情が緩んでいたからか
カカロットがとんでもないことを言い出した
いや、でもあのカカロットのことだ
きっと愛情だの友情だの関係なく
単純に好感を持っていたかどうかを
聞かれているだけな気がする
『…カカロットは私のこと好き?』
するとカカロットはニカッと笑って答える
「おう!好きだぞ!」
あぁ、やっぱりそういうことか
そういう視点で見るならば、
あの強さは憧れだったし子供ながらに
仲間を大切にしてることも伝わってた
怖い人だったけど好感はあった
『…私、貴方のお父さんのこと好きだよ』
「そっか!」
微笑みながら答えた私を見て
カカロットもニコニコしながら返事をした
急な悪寒がした
それはカカロットも同じようで
一瞬で闘技者の顔になった
修行で何度も感じたことのある気を
背中に感じながらカカロットの視線の先を
追いかけるように後ろを振り向く
そこには思った通りにブロリーがいたけど
明らかに様子がおかしかった
普段の黒い瞳は金色になり、柔らかそうな髪も今はトゲトゲと硬そうな見た目になっている
なによりいつもの柔和な表現が
怒りに染っていた
でも、ただ怒っているというより
戸惑いが含まれた気の乱れ方だ
それにかなり気は膨れているが、こちらに
襲いかからない程度には制御できている
…こういう時は応戦するより先に
意思の疎通をはかった方が穏便に済む
そう思った私は自分の気を抑えて、
咄嗟に動くための意識以外の警戒を解いた
その様子を見ていたカカロットも同様に
気を抑えて構えを解いてくれた
感謝しつつも、この優しさが
ベジータ王子や他のライバルからすると
《甘い》ってことなんだろうなと思い
場に似合わず笑いそうになった
『ブロリー、戻ってきてたのに
すぐ気付かなくてごめんね』
落ち着いた表情で真っ直ぐブロリーを見つめて
柔らかく話しかけながらゆったりと歩を進める
『それに…今貴方を怒らせちゃってる原因も、
私にあるんだよね…?』
きっと怒りの中のその悲しそうな顔は
私がさせているんだろう
申し訳なさとともに声を掛けると
ブロリーは声に出てはいないものの驚いていた
なんで?という顔をしている
『分かるよ
大好きなひとのことだもの』
私とブロリーの間の距離が
ゆっくりと縮まっていく
『でも…ごめんね、原因までは分からないの』
ブロリーの目の前まできた
『だから話を聞いて、ちゃんと謝りたい』
私の落ち着いた態度につられてか
ブロリーの様子も落ち着いてきていた
『私に…話し合う機会をくれないかな?』
そう聞くと、ブロリーは頷きと共に
瞬きをひとつして
目が開く頃にはいつもの黒い瞳と目が合った
そんなブロリーの手を柔らかく握って
滞在中の自分の部屋へ招いた
一緒にベッドへ腰を下ろしてから
ブロリーの方を向き、さっそく本題へ入る
『それで…私がブロリーを怒らせちゃった
理由を聞いてもいい?』
そう問いかけるとブロリーは
自分の胸をおさえながら話してくれた
「… ロマネスがほかのヤツをすきって
言ったとき…ここがくるしくなって
頭のなかが、ごちゃごちゃして、それで…」
『気のコントロールが
出来なくなっちゃったんだね』
言葉を詰まらせてしまったブロリーの
代わりに続きを言うと彼はゆっくりと頷いた
その症状には心当たりがある
誰しもが抱く可能性のある感情だ
『それはね、やきもちって言うんだよ』
ブロリーは育った環境柄
自分の感情や外の知識に疎いところがある
恋人になった時もそうだった
その時に手助けしてくれたチライいわく、
彼は好きという感情自体は理解していたが
家族愛や友愛、恋愛の違いまでは
区別がつけられていなかったらしい
それでも恋人になれたのは
彼の純粋な気持ちと
チライ達のサポートのおかげだ
「やきもち?」
『そう。自分の好きな人が他の異性と
仲良くしていると、心がモヤモヤして
時には周りにトゲトゲした態度を
とってしまうこともあるの』
そう説明するとブロリーはしゅんとした
様子でこちらを見る
「....おれがトゲトゲしたら
ロマネスはめいわくか?」
不安そうな顔をしている彼の手を
両手で包み、真っ直ぐに彼の瞳を見つめる
『迷惑じゃないよ、やきもちをやくって事はね
相手のことが好きって証拠でもあるの』
『でもね、ブロリーがモヤモヤしたまま
だったら、私も苦しい。だからこうやって
教えて欲しいの。それで話し合って
2人で解決していきたい』
そう伝えるとブロリーの曇った顔が
だんだん晴れていった
『どうかな?』
「わかった…!」
彼は本当に素直でかわいい
だから私もそんな純粋な彼に対して
誠実に向き合いたいと思う
『ブロリーは、私が他の男性に対して
好きって言ったのが嫌だったんだよね?』
ブロリーはこくりと頷いた
『分かった、じゃあ今後ブロリー以外の
男性に好きって言葉は使わない』
ぱぁっ…!っていう表現がぴったりだろう
とっくに成人していて、怒ったら豹変する
はずの男性の背景にお花が見える
そんなアンバランスに愛おしさと
面白さを感じて思わず笑ってしまった
『ふ、ふふ』
「ロマネス」
『うん?どうしたn…っ』
名前を呼ばれて顔を上げると
ブロリーの顔が近かくて、
口に柔らかいものが触れた
『…え?!』
「口と口をくっつけるのが
こいびと同士のあいじょうひょうげん
だってきいた」
なっ....!?確かにそうなんだけど!
それにしても不意打ちがすぎる!
誰だ、そんなことを吹き込んだやつは
「ロマネス」
また名前を呼ばれて、今度は何だと思いつつ
激しく脈打つ鼓動を抑えながら彼の方を向く
『な、なーに?』
「大好きだ」
優しさに溢れた満面の笑みと共に
紡がれた愛の言葉に
いよいよ目眩がしてきたのだった
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