このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

誰もが修羅となり得る(アカザ救済、今のところネタだけ)

四月の気層のひかりの底を
唾し はぎしりゆききする
おれはひとりの修羅なのだ
(風景はなみだにゆすれ)

いかりのにがさまた青さ
(まことのことばはここになく
修羅のなみだはつちにふる)

日輪青くかげろへば
   修羅は樹林に交響し
陥りくらむ天の椀から
 黒い木の群落が延び

 その枝はかなしくしげり
     すべて二重の風景を
    喪神の森の梢から
   ひらめいてとびたつからす 


草地の黄金をすぎてくるもの
ことなくひとのかたちのもの
けらをまとひおれを見るその農夫
ほんたうにおれがみえるのか
(かなしみは青々ふかく)

鳥はまた青ぞらを截る
(まことのことばはここになく
 修羅のなみだはつちにふる)

あたらしくそらに息つけば
ほの白く肺はちぢまり
(このからだそらのみぢんにちらばれ)
いてふのこずゑまたひかり
ZYPRESSENいよいよ黒く
雲の火ばなは降りそそぐ

宮沢賢治「春と修羅」表題作より
2/3ページ
スキ