短編
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ふわり、ふわふわ
柔らかい黒髪が
柔らかい香りを連れて
俺に幸せを運んでくる
爽やかな朝。
いつもの通学路。
隣にはハル。
いつものように学校に向かって、いつものようにハルに話しかけて、いつものようにハルはそれを頷きながら聞く。
ずっと変わらないこの時間。
だけど、最近は少し変わってきている。
「昨日なんて蓮が蘭に...──!!」
ふわっ
真横を自転車に乗った学生が通り越す。
その瞬間、ふわりと香る自分の好きな香りに、身体の熱が一気に上がる。
──あぁ、彼女の香りだ
それだけ。
たったそれだけの変化が、自分の中では大きな変化だった。
わかる。これは恋。
・
・
・
・
放課後。
水泳部の練習中にプールから上がると、大好きな香りがした。
はっとしてフェンスの向こうを見ると、綺麗な長い黒髪を、上の方で赤いリボンで結った女の子がいた。
──あぁ、彼女だ
初めて、彼女と目があった。
ドクンドクンと脈打つ心音は、心地よくて忙しなくて、なんだかむず痒い。
目線がずっと絡み合ったままでいると、彼女が口を開いた。
「あの...っ」
「は、はい...!」
「れ、玲くん...いますか?」
「え、れ、玲?あ、いますよ...」
少し、いや、かなり落ち込んでいる自分がいた。
というか、落ち込んでいる自分がいることがおこがましいといえばそうである。
なぜなら、彼女とは朝に通学路ですれ違うだけの、言わば少女Aと少年A程度の関係であるから。
あわよくばすら0の可能性である俺達であるから、だ。
素直に玲を呼ぶと、驚いた様にプールから上がり、慌てた様子でフェンスの近くの彼女に近づいた。
そこで何か話し込む二人を見て、入り込む隙間などあるのだろうか。いや、どう考えてもない。
さらに落胆して、忘れるように自分の練習に戻ろうとする。
その時、だった。
「あれー!?北別府ちゃんだー!!
どしたのー?あ、まこちゃん見に来たのー?」
「!?!な、渚くん!!真琴先輩がすぐそこにいるのをわかっているんですか!!」
「れ、れれれれれ玲くん!!!それ渚くんと言ってることほぼ変わらないよ!!!あわわわ...っ」
......え?
彼女は、俺を、見に来ていた?
ドクンドクンなんてものじゃない。
バクンバクンしている胸の音を、なんとかして欲しい。
おかげで、プールサイドからフェンスに向けての足が止まらない。
...て、え?止まらな......
「あ、あぁ...た、橘先輩...っ」
「あ、え、えーと...あ、あの、北別府さん?」
「は、はいぃぃいぃ!!」
「好き、です」
「.........え、ええぇぇえぇぇぇ!!?」
ずっと思ってた言葉を、続けて口にしてもいいだろうか。
その黒髪を撫でたい
(要約:君を撫でたい)
柔らかい黒髪が
柔らかい香りを連れて
俺に幸せを運んでくる
爽やかな朝。
いつもの通学路。
隣にはハル。
いつものように学校に向かって、いつものようにハルに話しかけて、いつものようにハルはそれを頷きながら聞く。
ずっと変わらないこの時間。
だけど、最近は少し変わってきている。
「昨日なんて蓮が蘭に...──!!」
ふわっ
真横を自転車に乗った学生が通り越す。
その瞬間、ふわりと香る自分の好きな香りに、身体の熱が一気に上がる。
──あぁ、彼女の香りだ
それだけ。
たったそれだけの変化が、自分の中では大きな変化だった。
わかる。これは恋。
・
・
・
・
放課後。
水泳部の練習中にプールから上がると、大好きな香りがした。
はっとしてフェンスの向こうを見ると、綺麗な長い黒髪を、上の方で赤いリボンで結った女の子がいた。
──あぁ、彼女だ
初めて、彼女と目があった。
ドクンドクンと脈打つ心音は、心地よくて忙しなくて、なんだかむず痒い。
目線がずっと絡み合ったままでいると、彼女が口を開いた。
「あの...っ」
「は、はい...!」
「れ、玲くん...いますか?」
「え、れ、玲?あ、いますよ...」
少し、いや、かなり落ち込んでいる自分がいた。
というか、落ち込んでいる自分がいることがおこがましいといえばそうである。
なぜなら、彼女とは朝に通学路ですれ違うだけの、言わば少女Aと少年A程度の関係であるから。
あわよくばすら0の可能性である俺達であるから、だ。
素直に玲を呼ぶと、驚いた様にプールから上がり、慌てた様子でフェンスの近くの彼女に近づいた。
そこで何か話し込む二人を見て、入り込む隙間などあるのだろうか。いや、どう考えてもない。
さらに落胆して、忘れるように自分の練習に戻ろうとする。
その時、だった。
「あれー!?北別府ちゃんだー!!
どしたのー?あ、まこちゃん見に来たのー?」
「!?!な、渚くん!!真琴先輩がすぐそこにいるのをわかっているんですか!!」
「れ、れれれれれ玲くん!!!それ渚くんと言ってることほぼ変わらないよ!!!あわわわ...っ」
......え?
彼女は、俺を、見に来ていた?
ドクンドクンなんてものじゃない。
バクンバクンしている胸の音を、なんとかして欲しい。
おかげで、プールサイドからフェンスに向けての足が止まらない。
...て、え?止まらな......
「あ、あぁ...た、橘先輩...っ」
「あ、え、えーと...あ、あの、北別府さん?」
「は、はいぃぃいぃ!!」
「好き、です」
「.........え、ええぇぇえぇぇぇ!!?」
ずっと思ってた言葉を、続けて口にしてもいいだろうか。
その黒髪を撫でたい
(要約:君を撫でたい)