短編
who are you?
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「泉くん!和食と洋食、どっちが好き?」
「和食ですね」
「卵焼きは甘い派?しょっぱい派?」
「出汁巻きが好きです」
「じゃあじゃあ!揚げ物は好き?」
「好きですよ」
「「「きゃー////」」」
「すごいね、あの人気っぷり」
「ね。あの積極性、ちょっと羨ましいかも」
「優雨!あんたも泉くん狙いなんでしょ!?泉くんの選ぶお弁当No.1になりたくないの!?」
「そりゃ…なりたいけど…」
はじめまして。北別府優雨です。
今、学園の女子たちの多くは、燃えています。
なぜなら、この学園のアイドル的存在である、ダンス部のアルスマグナさんたちによる、お弁当No.1グランプリが開催されるからです。
お弁当No.1グランプリとは、女子が思い思いのメンバーにお弁当を作り、一番気に入ったお弁当を作った女子が、メンバーと学園祭のダンスパーティーで一緒に踊ることができるというもの。
そして今、私のクラスであり、メンバーの内の2人が在席する2-Aには、他クラスからも女子が大勢やってきているというわけです。
「でも、泉くんに負けず劣らず神生くんもすごい人気だね」
「…まぁ、神生くんの選ぶ女子なんて決まってるけど」
「え?誰々?」
「……(優雨、神生くんに好かれてるって気づいてないのね…ドンマイ神生くん)」
「?」
「まぁとにかく!あんたも泉くん狙ってるなら、がんばんなさいよ!」
「う…うん…」
「とは言ってもなぁ…」
泉くんはメンバーの中でも特に人気だし…。
クラスで目立たない私のお弁当なんか、選んでくれるわけないよね…。
泉くんに想いを寄せ始めたのは、2年生になってから。
ダンス部を立ち上げて、初めてのダンス披露の時、私は魅せられてしまった。
しなやかに動く長い手足。揺れる銀髪。キリッとした目元…。
そのどれもが、美しかった。
初めて意識し始めた時のことを思い出しながら、私はサックスを吹いていた。
音楽家である母の影響で始めたサックスは、私の大好きな、大切な趣味。
とても人に聞かせられるものじゃないけど、演奏している時の不思議な空間が、私は好き。
今日も気ままにサックスを吹いていた。
その時だった。
ガチャッ
「っ!?」
扉の開く音がして、驚いて扉の方を見た。
そこに立っていたのは…
「い、ずみ…くん…」
「…とても、上手でした」
「え、あ…ありがとうございます…」
ドクン。ドクン。
だんだん近くなる泉くんとの距離に比例して、だんだん大きくなる私の心臓の音。
ぎゅ、と目を閉じると、泉くんの気配が横を通り過ぎる。
パッ、と目を開くと、泉くんはピアノの前
の椅子に座っていた。
そして、スッと手袋を取ると、鍵盤に手をやった。
「いい音楽を聞かせてもらったお礼に、何か弾きます。何がいいですか?」
「え…と…じゃあ…泉くんのオススメで…」
「わかりました。では…ソリダスターという曲にします」
「あ…素敵でした…っ!ありがとうございます…っ!」
「いえ…北別府さんのサックスの音も、素敵でした」
「っ、私の名前…知って…」
「っ、こ、これは、その…同じクラスですから…」
「あ、そ、そうですよね!あ、あはは…」
少しでも、自分を知っててくれたことが嬉しいのに、それを知ると、もっと知っててほしかったという想いが心を支配した。
なんて欲深い人間なんだろう私は。
そんなことを思っていたら、泉くんが真剣な顔で私に尋ねてきた。
「北別府さんは…お弁当グランプリ、誰かに渡す予定ですか?」
「え!?あ、いや…」
「俺にください」
「っ…」
「…さっきの曲、ソリダスターとは、花の名前なんです。
花言葉…調べてみてください」
そう言って、泉くんが私の耳元で次にこう呟いた。
「お弁当、待ってます」
そして、私の心臓を高鳴らせるだけして去ろうとする泉くん。
でもその動きはピタリと止まり、また私の方を見てこう言った。
「ちなみに俺、お弁当は洋食で、卵焼きも甘いのが好きです」
そう言って笑って、今度は本当に去っていった。
家に帰って、ソリダスターの花言葉を調べた。
その花言葉を知って、私はお弁当を作る決意をしたのです。
~グランプリ当日~
「優雨!泉くんにお弁当作ってきたんだって?」
「う、うん…」
ついに、この日がやってきた。
お弁当は、実行委員の人たちが、朝回収していて、もうすぐ結果が出る。
そして、放送が流れた。
『今回、メンバーが選考した結果、ついにお弁当グランプリNo.1が決定しました!発表は、メンバーが選んだお弁当を作った女子の所に行き、跪いて手の甲にキスを落としてくれます!その時をお楽しみに!!』
ザワザワとなる校内。
今回はお弁当だけで選ぶらしいから、誰が作ったかということは、選んでからわかる形にしたらしい。
だから、確実に泉くんが私を選ぶ保証はない。
ドキドキしなから目を閉じていると、クラスの入り口がガラッと開く音がした。
そして…。
「北別府さん」
「泉くん…」
泉くんはスッと姿勢を落として、私の手を取り、そして私の手の甲に口付けた。
「北別府さん…いや、優雨」
「はい…」
「ダンスパーティーだけじゃない。ずっとずっと、俺と一緒にいてください」
「っ…////はい、喜んで…っ////」
ソリダスター
(花言葉は、私に振り向いてください)
「和食ですね」
「卵焼きは甘い派?しょっぱい派?」
「出汁巻きが好きです」
「じゃあじゃあ!揚げ物は好き?」
「好きですよ」
「「「きゃー////」」」
「すごいね、あの人気っぷり」
「ね。あの積極性、ちょっと羨ましいかも」
「優雨!あんたも泉くん狙いなんでしょ!?泉くんの選ぶお弁当No.1になりたくないの!?」
「そりゃ…なりたいけど…」
はじめまして。北別府優雨です。
今、学園の女子たちの多くは、燃えています。
なぜなら、この学園のアイドル的存在である、ダンス部のアルスマグナさんたちによる、お弁当No.1グランプリが開催されるからです。
お弁当No.1グランプリとは、女子が思い思いのメンバーにお弁当を作り、一番気に入ったお弁当を作った女子が、メンバーと学園祭のダンスパーティーで一緒に踊ることができるというもの。
そして今、私のクラスであり、メンバーの内の2人が在席する2-Aには、他クラスからも女子が大勢やってきているというわけです。
「でも、泉くんに負けず劣らず神生くんもすごい人気だね」
「…まぁ、神生くんの選ぶ女子なんて決まってるけど」
「え?誰々?」
「……(優雨、神生くんに好かれてるって気づいてないのね…ドンマイ神生くん)」
「?」
「まぁとにかく!あんたも泉くん狙ってるなら、がんばんなさいよ!」
「う…うん…」
「とは言ってもなぁ…」
泉くんはメンバーの中でも特に人気だし…。
クラスで目立たない私のお弁当なんか、選んでくれるわけないよね…。
泉くんに想いを寄せ始めたのは、2年生になってから。
ダンス部を立ち上げて、初めてのダンス披露の時、私は魅せられてしまった。
しなやかに動く長い手足。揺れる銀髪。キリッとした目元…。
そのどれもが、美しかった。
初めて意識し始めた時のことを思い出しながら、私はサックスを吹いていた。
音楽家である母の影響で始めたサックスは、私の大好きな、大切な趣味。
とても人に聞かせられるものじゃないけど、演奏している時の不思議な空間が、私は好き。
今日も気ままにサックスを吹いていた。
その時だった。
ガチャッ
「っ!?」
扉の開く音がして、驚いて扉の方を見た。
そこに立っていたのは…
「い、ずみ…くん…」
「…とても、上手でした」
「え、あ…ありがとうございます…」
ドクン。ドクン。
だんだん近くなる泉くんとの距離に比例して、だんだん大きくなる私の心臓の音。
ぎゅ、と目を閉じると、泉くんの気配が横を通り過ぎる。
パッ、と目を開くと、泉くんはピアノの前
の椅子に座っていた。
そして、スッと手袋を取ると、鍵盤に手をやった。
「いい音楽を聞かせてもらったお礼に、何か弾きます。何がいいですか?」
「え…と…じゃあ…泉くんのオススメで…」
「わかりました。では…ソリダスターという曲にします」
「あ…素敵でした…っ!ありがとうございます…っ!」
「いえ…北別府さんのサックスの音も、素敵でした」
「っ、私の名前…知って…」
「っ、こ、これは、その…同じクラスですから…」
「あ、そ、そうですよね!あ、あはは…」
少しでも、自分を知っててくれたことが嬉しいのに、それを知ると、もっと知っててほしかったという想いが心を支配した。
なんて欲深い人間なんだろう私は。
そんなことを思っていたら、泉くんが真剣な顔で私に尋ねてきた。
「北別府さんは…お弁当グランプリ、誰かに渡す予定ですか?」
「え!?あ、いや…」
「俺にください」
「っ…」
「…さっきの曲、ソリダスターとは、花の名前なんです。
花言葉…調べてみてください」
そう言って、泉くんが私の耳元で次にこう呟いた。
「お弁当、待ってます」
そして、私の心臓を高鳴らせるだけして去ろうとする泉くん。
でもその動きはピタリと止まり、また私の方を見てこう言った。
「ちなみに俺、お弁当は洋食で、卵焼きも甘いのが好きです」
そう言って笑って、今度は本当に去っていった。
家に帰って、ソリダスターの花言葉を調べた。
その花言葉を知って、私はお弁当を作る決意をしたのです。
~グランプリ当日~
「優雨!泉くんにお弁当作ってきたんだって?」
「う、うん…」
ついに、この日がやってきた。
お弁当は、実行委員の人たちが、朝回収していて、もうすぐ結果が出る。
そして、放送が流れた。
『今回、メンバーが選考した結果、ついにお弁当グランプリNo.1が決定しました!発表は、メンバーが選んだお弁当を作った女子の所に行き、跪いて手の甲にキスを落としてくれます!その時をお楽しみに!!』
ザワザワとなる校内。
今回はお弁当だけで選ぶらしいから、誰が作ったかということは、選んでからわかる形にしたらしい。
だから、確実に泉くんが私を選ぶ保証はない。
ドキドキしなから目を閉じていると、クラスの入り口がガラッと開く音がした。
そして…。
「北別府さん」
「泉くん…」
泉くんはスッと姿勢を落として、私の手を取り、そして私の手の甲に口付けた。
「北別府さん…いや、優雨」
「はい…」
「ダンスパーティーだけじゃない。ずっとずっと、俺と一緒にいてください」
「っ…////はい、喜んで…っ////」
ソリダスター
(花言葉は、私に振り向いてください)