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本録

ラヴクラフト全集2 / H・P・ラヴクラフト

2018/12/20 18:03
一般
今回はやたら語っている

八月の終わりにラヴクラフト全集1を読んだので実に三か月ほどじんわり読み進めていたらしい
今回も良かった 前回の訳者さんも好きだったが今回も好きな感じで嬉しい
というよりラヴクラフトの小説の文学的な表現の質が良いんだろうか?昔は洋書は映画の原作ばかり読んでいて、9割がた読みづらいというかなんか…小説というより場面の説明と会話みたいな文章が並んでいて文字を読む楽しみが無くて辛かった覚えしかないので、洋書に抵抗があった
訳者さんにもよると思うけど、ラヴクラフト読んでると、他にも読んでみれば面白い洋書がいっぱいあるんだろうなと思えるようになって嬉しい

話がそれた…
これも短編集だけど、今回は後半三分の二くらいを占める長編が入ってて、それを読むのに時間がかかっていた
今回も最高だった 特に長編の「チャールズ・ウォードの奇怪な事件」すんごく良いこわい すごい

ラヴクラフトはだいたい恐怖の本体そのものが何かについてはほとんど語らないというか、人間が理解できないものの恐ろしさをテーマにした話が多い
あの家で恐ろしいことが行われているような気がするがそれが何かはわからない、ただ夜な夜な小舟が沖へ出ていき、何か長方形の箱を大量に運び込んでいるようだ、といった感じで
その家で何が行われているかは最後まで語られないまま、いろんなニュースや出来事、町の人の話などを聞いた記録、調査した記録がごく一部だけ残っているのを紹介したりなどしていくので、リアリティがすごい
そして実際にそういった怪奇があったとしてもたかが一人間が調べた限りではこの程度しかわからないし、到底太刀打ちできないというのが浮き彫りになるばっかりで、それこそが恐ろしいことだというのをなんかまざまざと突きつけられる

「チャールズ・ウォードの奇怪な事件」はチャールズ青年というとある精神病患者が精神病院から失踪し、行方不明になるところから物語が始まる
チャールズ青年がどういった人物だったか、かれが何をきっかけに狂気に陥ったかを主治医の視点で追っていく話

話がめちゃめちゃに広がる(そして前述したように本質はまるで語られない)ので最初は訳が分からないんだけど、少しずつ話が収束してきて、読者がなんか変だな、もしかして、と気づき始めたところで唐突に答えに繋がる出来事を出してきて恐ろしさのあまり叫び出しそうになるから本当に面白い

小説を読んでいてただのその一行で全て悟った感じがして背筋が凍るのかつてない感覚だからやめられない…
チャールズ・ウォードの話はそれが2度3度あって、そして冒頭の「行方不明」の理由と真相がクライマックスで明かされる構成になっていてホラーとしてだけでなく物語として完成されすぎてる

1巻もめちゃめちゃ良かったし2巻の他の話も大好きなので全集これは手離せない…なんでラヴクラフトもうこの世にいないのか…
まだ2巻しか読んでいないことが救い 3巻以降もゆっくり読み進めます

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