雷鏡

「ほらよ、珠三郎からの土産」
「……祭りにでも行ってきたのか?」

カット済みのりんご飴とは珍しい。
最近の屋台は洒落た物を売りがちだと関心気味に鏡斎はカップを眺め。
珠三郎から力説されたりんご飴の詳細を思い出した雷電は訂正を入れた。

「いや祭りのじゃなくて、どっかの専門店のだとよ」
「りんご飴で専門店か」

一点特化にしても尖っている気もするが。
人間が生み出す流行り廃りの中では誤差の範囲かと鏡斎は流し。
さて味のほどはと早々に開封した。


「昔から珠三郎はりんご飴が好きだよなー」
「可愛い物を持ってる自分が可愛いの演出用にな」

祭りのたびに買ってないかと思うほどに買っていたなと。
いつなんどきも自己演出に余念がない珠三郎を思い浮かべ。

もっとも、そこらの縁日で出される当たりハズレの大きいりんご飴よりはましだなと。
ガリガリしゃくしゃくと飴を食しながら雷電と鏡斎は駄弁った。



りんご飴
季節物の流行品化。


end
(2024/04/18)
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