6 ボーンとハンゾウとデーモンシード
とうとう、万太郎・ケビンと、リボーンアシュラマン・ボルトマンの決戦の当日。
ニュージェネレーションたちは、恐怖の将の塔の前に集まり、ケビンと万太郎を待っていた。
アシュラマンとボルトマンは、すでに塔の中……デーモン・ウゥームで待ち構えているはずだ。
当然、ミートの肉体もその中にある。
試合会場となる恐山では、かつて亡くした大事な人の霊に会おうという人々に混じり、この世紀の一戦を目撃しようという超人格闘技ファンが集まり、いつもとは大幅に違う雰囲気である。
凛子、クァン母子なども姿を見せている。
◇ ◆ ◇
「ふう~っ! 何だか薄気味悪い場所だぜ~っ!」
フォークが荒涼とした恐山の風景を見回しながら、思わずこぼす。
白っぽい石の地面は、さびしく、どこか寒々として、喪失感というものを味わったことのある者の胸を締め付ける。
ところどころに石の塚、供えられた人形や花が朽ちていく。
からからと侘し気に回る風車。
多くの日本人なら、「賽の河原」という言葉を思い出すであろうが、あいにくここにいる三人の超人には、馴染みのない概念だ。
「死者の霊が集まる場所なんだとよ。イタコとかいう、死霊を体に降ろして、生きてる人間と会話させるなんて職業もあるみたいだぜ」
死者の国を思わせる、石の地面を踏みながら、ボーンは蘊蓄を傾けた。
「面白い地相ですわ。何でも吸収する故に、確かに死者の魂が導かれやすいのですわ。地球の日本という国には、こうした場所があるのですわね、興味深いですわ……」
優雅なキセルをくわえたサフィーアは、ボーンと並んで歩きにくい地面を踏みしめている。
三人は、万太郎たちに気付かれないような位置関係で、恐山に足を踏み入れていた。
そそり立つ恐怖の将の塔はここからでもはっきり見えるが、万太郎たちの姿は見えない。
当然、向こうもボーンたちの存在に気付いていないだろう。
「……ケビンマスクが到着したようですわね」
魔力で塔周辺の気配を探っていたサフィーアが、ふと呟く。
「どれ……ああ、本当だ。キン肉スグルの爺さんもいるな」
サフィーアと同じ術で気配を探ったボーンは、脳裏に魔力を介して投影された映像を見てそう判断する。
彼らの魔力なら、まるで浮遊式のカメラで捉えた映像のように、くっきりと視認できるのだ。
「お前ら、そういうの良く分かるなあ……」
魔力に縁遠いフォークは、感心するやら呆れるやらだ。
「あら、キン肉万太郎も到着しましたわ」
サフィーアは新たな人影をしっかり見分ける。
ボーンも全く同じものを捉えていた。
「そろそろ約束の時間だ。デーモン・ウゥームとやらに入るんだろうぜ」
それにしても仲が悪い、とボーンは内心呆れた。
彼の魔力視界には、ケビンに突っかかる万太郎が映っている。
どう考えても仲間割れなどしている場合ではないだろうに。
万太郎と来たら手足を振り回し、まるっきりかんしゃくを起こした幼児の態度である。
自分がケビンに負けたことを、どうあっても自分の内部で処理できないようだ。
見ていて腹が立つ。
所詮14歳の子供に過ぎないとわかってはいるものの、なぜ、あれだけの経験をしていながら、勝負は時の運と割り切れないのか。
自分と違い、負けた時は殺される時というのでもないだろうに。
ニュージェネレーションたちは、恐怖の将の塔の前に集まり、ケビンと万太郎を待っていた。
アシュラマンとボルトマンは、すでに塔の中……デーモン・ウゥームで待ち構えているはずだ。
当然、ミートの肉体もその中にある。
試合会場となる恐山では、かつて亡くした大事な人の霊に会おうという人々に混じり、この世紀の一戦を目撃しようという超人格闘技ファンが集まり、いつもとは大幅に違う雰囲気である。
凛子、クァン母子なども姿を見せている。
◇ ◆ ◇
「ふう~っ! 何だか薄気味悪い場所だぜ~っ!」
フォークが荒涼とした恐山の風景を見回しながら、思わずこぼす。
白っぽい石の地面は、さびしく、どこか寒々として、喪失感というものを味わったことのある者の胸を締め付ける。
ところどころに石の塚、供えられた人形や花が朽ちていく。
からからと侘し気に回る風車。
多くの日本人なら、「賽の河原」という言葉を思い出すであろうが、あいにくここにいる三人の超人には、馴染みのない概念だ。
「死者の霊が集まる場所なんだとよ。イタコとかいう、死霊を体に降ろして、生きてる人間と会話させるなんて職業もあるみたいだぜ」
死者の国を思わせる、石の地面を踏みながら、ボーンは蘊蓄を傾けた。
「面白い地相ですわ。何でも吸収する故に、確かに死者の魂が導かれやすいのですわ。地球の日本という国には、こうした場所があるのですわね、興味深いですわ……」
優雅なキセルをくわえたサフィーアは、ボーンと並んで歩きにくい地面を踏みしめている。
三人は、万太郎たちに気付かれないような位置関係で、恐山に足を踏み入れていた。
そそり立つ恐怖の将の塔はここからでもはっきり見えるが、万太郎たちの姿は見えない。
当然、向こうもボーンたちの存在に気付いていないだろう。
「……ケビンマスクが到着したようですわね」
魔力で塔周辺の気配を探っていたサフィーアが、ふと呟く。
「どれ……ああ、本当だ。キン肉スグルの爺さんもいるな」
サフィーアと同じ術で気配を探ったボーンは、脳裏に魔力を介して投影された映像を見てそう判断する。
彼らの魔力なら、まるで浮遊式のカメラで捉えた映像のように、くっきりと視認できるのだ。
「お前ら、そういうの良く分かるなあ……」
魔力に縁遠いフォークは、感心するやら呆れるやらだ。
「あら、キン肉万太郎も到着しましたわ」
サフィーアは新たな人影をしっかり見分ける。
ボーンも全く同じものを捉えていた。
「そろそろ約束の時間だ。デーモン・ウゥームとやらに入るんだろうぜ」
それにしても仲が悪い、とボーンは内心呆れた。
彼の魔力視界には、ケビンに突っかかる万太郎が映っている。
どう考えても仲間割れなどしている場合ではないだろうに。
万太郎と来たら手足を振り回し、まるっきりかんしゃくを起こした幼児の態度である。
自分がケビンに負けたことを、どうあっても自分の内部で処理できないようだ。
見ていて腹が立つ。
所詮14歳の子供に過ぎないとわかってはいるものの、なぜ、あれだけの経験をしていながら、勝負は時の運と割り切れないのか。
自分と違い、負けた時は殺される時というのでもないだろうに。
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