6 ボーンとハンゾウとデーモンシード
「本当かあ? サタンが地球で何かしようとしてるってのは?」
「間違いねえ。バッファローマンから前に訊き出した証言とも合致してるし、サフィーアの占いでも裏付けられたぜ」
地球行きの宇宙船に同乗したフォークの問いにそう答えながら、ボーンは運転席で葉巻をくゆらせる。
彼にとっては、待ち望んだ機会と言うべき状況。
今回ばかりは、流石にアタルも許可を出さざるを得なかった。
今回の件の発端は、またぞろと言うべきか、ボーンの夢だった。
ハンゾウがケビンの仲間として地球に旅立ってからしばらく経ってからのことだ。
ボーンは以前の、カシドゥアの夢とはまた違った夢を、頻繁に見るようになった。
その夢に、まっさきに出てくるのは、地球そのものだ。
青い地球を俯瞰し、夢の視点は一気にある地点に収束する。
日本だ。
沖縄、与那国島。
そのまま夢の視点は海に潜り、その海底の遺跡に到達する。
そこから感じるのは、異様な力の渦だ。
その渦の中心にいるのは、実体のない、しかしこの上ない強大にして禍々しき霊体――サタンと、はっきりわかる。
さしものボーンが、汗みどろになって目覚める日が続いた。
サフィーアに相談し、占ってもらうことにした。
彼女の答えはこうだ。
「カシドゥアはあなたを与那国に呼び寄せようとしている……。でも、気をつけて。そこに行けば、良いことと悪いことが同時に起きるかも知れないわ」
どういうことかと、更に突っ込んでボーンが尋ねると、
「カシドゥアとサタン、双方に関わることよ。一方はあなたの力となり、もう一方はあなたの災いとなるでしょう」
地球にいるハンゾウも、それに巻き込まれはしないかと質問すると、
「大きな一連の運命の流れなの。巻き込まれるのは、あなたを含め、一人や二人ではないのよ。ハンゾウもまた、その流れに巻き込まれる人物の一人となるでしょう。彼の命に関わるようなことがあるかも知れないわ」
サフィーアは、そこで僅かに震え、唇を噛んだ。
「……でも、本当に危険なのは、ボーン、あなた自身なのかも知れないわ。あなたには命どころか魂の危機があると出ている……。私は、正直言ってあなたに地球に行ってほしくないわ、ボーン。あなたを失いたくないの」
珍しく不安を顕にするサフィーアに、ボーンは口づけを落とし、あんたらしくない言い草だと笑った。
「何にせよ、カシドゥアとサタンのことで何か大きな進展があるのは間違いねえ。サタンの奴が何をしたいのか、何となく分かるような気がするぜ。奴が喧嘩を売ってくるならそれも良し、俺にとって好都合だ」
ボーンは回想から、無理やりに意識を引きはがす。
悪魔と呼ばれる存在は、魂を人間や超人から買い取り、その代償に力を与えるという。
奴は、自分の魂を欲するのだろうか。
ならば、好都合。
自分自身が餌になれば、簡単におびき寄せられるというものだ。
「ボーン!! もうすぐ地球に着くぜ!!」
フォークが警告する。
宇宙船のフロントグラスから、青い星が急激に姿を大きくしつつある。
ボーンは、大気圏突入に備えた。
「間違いねえ。バッファローマンから前に訊き出した証言とも合致してるし、サフィーアの占いでも裏付けられたぜ」
地球行きの宇宙船に同乗したフォークの問いにそう答えながら、ボーンは運転席で葉巻をくゆらせる。
彼にとっては、待ち望んだ機会と言うべき状況。
今回ばかりは、流石にアタルも許可を出さざるを得なかった。
今回の件の発端は、またぞろと言うべきか、ボーンの夢だった。
ハンゾウがケビンの仲間として地球に旅立ってからしばらく経ってからのことだ。
ボーンは以前の、カシドゥアの夢とはまた違った夢を、頻繁に見るようになった。
その夢に、まっさきに出てくるのは、地球そのものだ。
青い地球を俯瞰し、夢の視点は一気にある地点に収束する。
日本だ。
沖縄、与那国島。
そのまま夢の視点は海に潜り、その海底の遺跡に到達する。
そこから感じるのは、異様な力の渦だ。
その渦の中心にいるのは、実体のない、しかしこの上ない強大にして禍々しき霊体――サタンと、はっきりわかる。
さしものボーンが、汗みどろになって目覚める日が続いた。
サフィーアに相談し、占ってもらうことにした。
彼女の答えはこうだ。
「カシドゥアはあなたを与那国に呼び寄せようとしている……。でも、気をつけて。そこに行けば、良いことと悪いことが同時に起きるかも知れないわ」
どういうことかと、更に突っ込んでボーンが尋ねると、
「カシドゥアとサタン、双方に関わることよ。一方はあなたの力となり、もう一方はあなたの災いとなるでしょう」
地球にいるハンゾウも、それに巻き込まれはしないかと質問すると、
「大きな一連の運命の流れなの。巻き込まれるのは、あなたを含め、一人や二人ではないのよ。ハンゾウもまた、その流れに巻き込まれる人物の一人となるでしょう。彼の命に関わるようなことがあるかも知れないわ」
サフィーアは、そこで僅かに震え、唇を噛んだ。
「……でも、本当に危険なのは、ボーン、あなた自身なのかも知れないわ。あなたには命どころか魂の危機があると出ている……。私は、正直言ってあなたに地球に行ってほしくないわ、ボーン。あなたを失いたくないの」
珍しく不安を顕にするサフィーアに、ボーンは口づけを落とし、あんたらしくない言い草だと笑った。
「何にせよ、カシドゥアとサタンのことで何か大きな進展があるのは間違いねえ。サタンの奴が何をしたいのか、何となく分かるような気がするぜ。奴が喧嘩を売ってくるならそれも良し、俺にとって好都合だ」
ボーンは回想から、無理やりに意識を引きはがす。
悪魔と呼ばれる存在は、魂を人間や超人から買い取り、その代償に力を与えるという。
奴は、自分の魂を欲するのだろうか。
ならば、好都合。
自分自身が餌になれば、簡単におびき寄せられるというものだ。
「ボーン!! もうすぐ地球に着くぜ!!」
フォークが警告する。
宇宙船のフロントグラスから、青い星が急激に姿を大きくしつつある。
ボーンは、大気圏突入に備えた。