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6 ボーンとハンゾウとデーモンシード

「ほう~。お前ら俺たちとやろうってのか!?」

 その4人組の中のリーダー格らしい、金属光沢の皮膚を持った超人が、ノーリスペクトの三人を挑発した。

 埃っぽく、朽ち果てつつある、都市の廃墟の只中である。
 この惑星のこの地域、だいぶ前に内戦が起こり、結果としてかなり大きな都市一つが丸ごと放り棄てられた。
 今では行く当てのない無法者が逃げ込む魔窟となっており、まっとうな超人はまず近付かない。
 ある意味、ノーリスペクトたちには、おなじみといった環境ではあるが。

 そこに、宇宙指名手配の犯罪超人一味を追い詰めた手腕は、流石ノーリスペクトといったところ。

「お前らの方が一人多いが……そのくらいのハンデがなければ、話にもならんな」

 ハンゾウが右腕の妖腕刀をべろりと舐める。

「グロロ~ッ!! 俺ら三人で650人殺したこともあるんだぜ~っ! たかが4人にビビるとでも思ったか~っ!」

 フォークは露骨に見下した笑い声を立てた。

「一応言っとくと、逮捕されりゃ殺されずに済むっていう特典があるんだが、どうするよ?」

 ボーンが飄々と問いかける。

「ハァ~? 天下の殺し屋、ボーン・コールドの言葉とも思えねえな!」

 リーダー格のすぐ傍にいた、青い皮膚の超人が嘲る。
 片方の腕が、短い刃を連ねた鞭剣になっているのが、いかにも禍々しい。

「こいつらはもうノーリスペクトじゃねえ。正義超人の犬に過ぎねえ。恐がるこたねえんだよ」

 材質不明の球体を連ねたような体を持つ巨体の超人が、奇怪な声で笑う。

「ノーリスペクトは、ここで終わりだぜ!」

 そう言って戦闘態勢を取ったのは、長い黒髪を旗のようにたなびかせた、体のあちこちに金属製のプロテクターをまとった超人だった。

 さて……。
 魔法でカタをつけるかね?

 ボーンが戦術を組み立てた、その時だった。

「待て」

 背後からのその声は、やけにはっきり聞こえた。

 ノーリスペクトの三人が振り返る。

 そこにいたのは、青黒い鉄仮面を被り、同じく青黒い鎧を身にまとった、長い金髪をたなびかせた長身の超人だ。

 見覚えのある顔だった。
 少し前まで、超人オリンピックのテレビ中継で、散々目にした顔。

「お前は……ケビンマスク!?」

 ハンゾウが思わず声を張り上げた。
 地球から何万光年の彼方の、交流などほとんどないような星に、なぜ地球の超人ケビンマスクが?
 ノーリスペクトの全員の脳裏をよぎった問いに、答えがあるはずもなく。

「訳あって、このノーリスペクトに加勢する」

 ケビンは一方的に宣言した。
 まだ若いながらも、並みの超人なら気圧されずにおれない風格を醸し出しながら、ゆっくりとノーリスペクトたちと肩を並べる。

「これで4対4だ。文句あるまい?」

「おいお前! どういうつもりだ!?」

 フォークはすっかり混乱している。
 なぜ、自分たちのことなど知っているはずもない超人が、自分たちにいきなり加勢するのかが、さっぱり理解できない。

「俺はあんたらに、ノーリスペクトに用がある。それにはこいつらが邪魔だ。それだけのことだ……」

 ケビンはプロテクター相手に身構えた。
 流石に堂に入った構え。
 空気が変わる。

「面白くなって来やがったな」

 ボーンは眉を吊り上げた。

 かくして戦いの幕が切って落とされた。
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