炎の記憶
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「………護る……わたしが、守る………離さない、絶対に……!」
朱音の意識は戻っていない。
紡がれるのは痛みに悶えながら、煉獄に蝕まれているかような、抗いきれない何かに抗う声だった。
感じられるのは不屈の意思。加減無く力の込められた手から、必ず本懐を果たすと。生命力を全てぶつけられているみたいだ。
間違いない。彼女は……彼女の魂は戦場に在る。
折られてしまうのではないかと思う程の腕の痛みに耐えながら、佐助も声を掛ける。
「しっかりしろ!朱音…ッ!」
いつの記憶、何処の戦場にいるのだろうか。
熱いと言っていたのならば、彼女のお家を失った時だろうか。それとも記憶を失う程の負傷した本願寺の炎上か。本能寺にて明智光秀と対峙した時も考えられる。
だが、次の一言でいずれでもないと佐助は確信する。
「……さ、すけ………!」
あの戦場だ。
先に己が尽きた、その先の朱音だ。
必ず果たす、と約束して進んで行った。その背中を見送った後。
こんなにも苦しみながら、それでもあの乱入者を葬ろうと己を削り続けていたのか。
あの豪炎と爆発の連続を思い出す。今朱音はその渦中にいる。自分が果たせなかった役目を約束とし、守ろうとしている。
「駄目だ!思い出しちゃ駄目だ!朱音…っ!」
痛みに、苦しみに。人を一度殺めれば決して逃れられないその業を、また背負わせたくない。
(何も知らず、笑っていてくれれば、もう、それでいいんだ……!)
記憶に囚われ続ける朱音の手に、佐助は祈るように掴まれていない方の手を添えた。
瞬間、チャリン!と軽い金属同士が触れる音が佐助の耳に響いた気がした。
二人の間から風が起こり、一気に辺りへ吹き荒れ木々を大きく揺らす。
奇妙な突風に視界が阻まれながらも、朱音に危険が及ばぬよう、佐助は気を尖らせる。
じっと耐えていると、徐々に風は和らいでいく。すると連動するように朱音からの力も緩んでいき、荒い呼吸が聞こえてくる。
朱音のずっと伏せられていた顔がゆっくりと上がった。
酷く汗をかきながら呆けた顔をしていたが、次第に焦点が定まっていく。
「………さすけ……?」
そうして、記憶の中だけの呼び名がこの現実へ。