生徒会室にて
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「その半兵衛の事なのだ」
失望させてしまうかもしれないとすら思いながら打ち明けると、秀吉は気に留めた様子もなく頷いた後にそう言った。
制服の裾を握りしめていた朱音に、変わらず安心させるような眼差しを向けている。
初対面の時から半兵衛には笑顔の後ろに決して好意的ではない視線を受けてきた。直接何か嫌がらせを受けた訳では無いが、流石に苦手意識が芽生えるのは当然の事で、生徒会室に気軽に近づけない原因でもあった。
「学園祭当日、演劇部とのトラブルをお前が半兵衛と共に解決したと聞いておる」
「ま、まぁ……わたしはたまたま居合わせたものですから…。演劇部との交渉自体は竹中さんがおひとりでされましたよ」
「たまたまであろうと、半兵衛は進んで他人に頼る性格はしておらぬ。生徒会の面々を除けば、我の知る限りお前が初めてよ」
じっと、秀吉は朱音を見つめている。
秀吉の真意を汲みきれない朱音は狼狽えるが、構わず頼み事を続ける。
「お前が思う以上にあやつはお前を評価しておる。知っておるかもしれぬが、生徒会は他の部と衝突することも多い。その間に運営委員を勤めたお前が入ってくれるなら、双方の軋轢も和らげよう」
*
半兵衛の助けになれるように。あるいは孤立しないように。
そんな経緯を本人に伝えればチクチクどころではない反論の滅多刺しに遭うのは想像するまでもない。
故に悟らせないように接しようと日々気をつけてはいるのだが。
「秀吉直々の推薦を受けたんだから、これくらいは出来て当然だね」
この事実のせいで結局、嫉妬心のような感情を向けられてしまっている。
学園祭後に人前で泣き崩れた失態を超えるほどのパワープレイ。前生徒会長・豊臣秀吉による推薦演説によって無事就任出来てしまった。
「とても楽しくて活気の溢れる学園ですから。私に尽くせる事は全力で行います」
これも紛れもない本心だ。
当たり障りないといえばそうで、優等生的な受け答えに半兵衛はやっぱり気に入らなそうな視線を向けて来るが、朱音は笑顔に努める。
「……やっぱやっぱ、そういう愛情表現ってやつスか!?」
ところがここで意味不明な相槌が割り込んで来た。
軽妙なノリにこそ救われると思っていたはずの左近だ。
「え!だって半兵衛様がめっちゃお喋りなのって朱音センパイにくらいっしょ?ちょっとトゲトゲしてるっスけど、それくらい実は仲がいいのかな〜?って!」
「………」
「………」
見事なトドメだ。ついに朱音の顔から感情が消えた。
無音に支配された生徒会室で半兵衛と仲良く左近を睨みつけた。その険悪さにあの三成までも何やら焦っているが当事者はそんな事に構っていられない。
「愛情の無いイジりは嫌いです」
って言い返したい。大きめの声で言い返したい。……のを抑えると必然表情筋が機能しなくなった。
「あ、あれ……?俺、なんかマズイこと言っちゃいました?」
急激に沈んだ空気に左近が不安そうに三成や刑部の顔を見るが、その二人も余計な事は言うまいと目を逸らした。