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責任感からかなんだか知らないけれど、自己管理は最低限にして最優先事項だ。
仮にも人の上に前に立つ立場なのだがら、体調管理も出来ないなんて生徒に示しがつかない。
倒れたのが準備日だったのは不幸中の幸い。もし本番に倒れていたら役員や執行部員たちにそれはそれは大迷惑を掛けた事だろう。
………もしも倒れたのが朱音だったら、これくらいは言われただろう。そう考えながら、自分の額や首元の汗を拭きながらベッドに横たわる半兵衛を見つめる。
「左近君もありがとうございました。着替えには男手があった方が良いと思ったものですから」
「そこまで考えて俺に着いてくるように言ってたんスか…?センパイ、すごくね…?」
「いいえ。前に少し経験があっただけです」
汗まみれの体操着のままでは身体が急速に冷えて悪影響が出てしまうため、保健室に着いたら左近に半兵衛の汗を拭いたり着替えを任せ、朱音は保健医や教師に周知すべく職員室へ走った。
一通り出来ることを終えて再び保健室に戻り、件の保健医・天海先生が記録を書く傍らで朱音と左近は会話する。
バタバタとあれこれして疲れたため、少しだけ涼んでからまたグラウンドへ戻るつもりだ。
先程まで大量の汗を流していた半兵衛も少しずつ落ち着き、安定した寝息を立てている。顔色も特段悪くなっていないようだ。
「大丈夫っスかね、半兵衛様…」
「どうでしょうね。この方の性格からして治ってなくても意地で起き上がってきそうですから…」
ここぞとばかりにじっとりとした目つきで半兵衛を見据えるが、彼は自己回復に忙しく朱音の些細な仕返しに気づく余力はない。
「ですから、わたし達で出来ることはやっておきましょう。前倒しに出来ることがないかも調べて。あと竹中さんがおひとりで勝手に抱えてた業務が溜まっていないか、も」
「そ、そうっスね〜!じゃあ戻ったら真っ先にその辺チェックしましょ!」
生徒会活動中には珍しくはなくなった、険しめの雰囲気とやや棘のある言い方をする先輩。決してふざけてはいけない空気感に左近は笑顔ながらも萎縮する。
「おや、もう行くのですか?冷たい麦茶でもお出ししますよ」
「やた!いいんスか天海先生!って先輩、なんでまた気難しい顔して…?」
「おやおや、やはりいつもの噂が尾を引いてしまいますか…。何も入っていませんよ。熱中症予防のつもりで飲んでお行きなさい。膝の手当てを待つ間にちょうど良いでしょう?」
ちょいちょいと手招した仕草は朱音に向けられており、まだ疑問そうな左近が視線を移していく。
「ひざ?……あぁ!先輩の膝!血が!さっき半兵衛様担いだ時スか!?」
「………お世話になります」
ただでさえ生徒会関係の活動中は常に眉間の皺が付き纏うと言っても過言ではない。
記憶の件があるにしても諸々トラブルが重なりすぎて、保健医視点の朱音は大層愛想の悪い生徒に映っていることだろう。せめて謝罪くらいは述べるべきだ。
「申し訳ありません、先生」
「いいえ、これが私の勤めですから。あまり頑張りすぎて隣のベッドまで埋めないでくださいね。麦茶もう一杯オマケしますよ」
先生なりの冗句に、余裕を失いつつある朱音がちょっとピキッとしてしまったのは左近にバレたようだ。
少しずつ。ジリジリと。
炎天に疲労に悩み事に。忙しない情緒に心身が削られていくようだが、仮にも今の役職は婆娑羅学園生徒会副会長。それも明日までと、言い聞かせてから保健室を後にした。