体育祭
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今回の件。普段は風聞に興味を持たない三成さえも、どう扱ったものか困惑した様子で視線を彷徨わせている。
せめてもの対応策として、日除け帽子に冷えピタ、冷感タオル等を装備させられた生徒会長へ、水分と塩分タブレットを絶え間なく差し出している。
「……すまないね、三成君。もう体調は安定してきているから、そう甲斐甲斐しくしなくても」
「いいえ。再発防止こそが肝要でございます。予防の為に各用品を献上する許可を私に…!」
傅きながら扇子を仰いでくる様、そして三成に合わせ補給と思しき…タンク並に大きな水筒を連れてきた刑部に生徒会長こと半兵衛は苦笑する。
「……そうだね。これ以上貸しを作るわけにはいかないしね、彼女に。おっと、そのご本人がご帰還だ」
左近と共に生徒会が使用しているテントに戻って来た朱音の表情はパッと見普段通りだが、何とも絶妙な空気感を纏っている。感謝だろうが謝罪だろうが…何を言っても今は機嫌を損ねる結果になってしまいそうだ。
「さあ皆、僕の周りに集まってくれ。必要な情報も揃ったことだし、打ち合わせを再開しようか」
「「「はい!」」」
周囲にいた執行部員達が半兵衛の声を聞いて集まってきた。
副会長を務める朱音への伝達は傍にやって来た家康や左近に極力任せ、気遣いの素振りすらしないように半兵衛は場を進行することにした。
***
事の経緯はこうだ。
時は体育祭準備期間。学園祭同様に授業は無くなり、一日中準備と各クラス、部活毎の競技練習に集中できる期間だ。
冬場の学園祭と異なり、6月とはいえ暑い中の野外活動が主である為、体力の消耗は避けられない。
文化部寄りの活動に、特に普段は教室に篭って事務仕事に務めてばかりいればこの過酷さはひとしお。
そういう経緯で、人知れず。人より多く業務をこなしていた生徒会長がグラウンドで倒れてしまったのが昨日の出来事。
幸いにも当時側には生徒会や執行部の面々も居てすぐに対応出来はしたのだが。
『半兵衛様!どうかお気を確かに…!ぐ…!』
『ま、待って!強引に手足を引いてはいけません三成さん!』
肝心の急病人の半兵衛を連れ出す際にもたついてしまった。意識が朦朧とし、半兵衛自身で身体を動かせなくなっていたため、抱え起こそうにも重心が安定せず運び出す姿勢に持っていけずにいた。
当然だ。普通に生活していれば倒れた人間を運び出す機会などそうそうない。
考えるより先に朱音は半兵衛の元へ駆け寄ると、素早く半兵衛の身体を仰向けにして片腕は頭部の方へ真っ直ぐ伸ばした。次に朱音自身の身体を伸ばした腕の方から滑り込ませ、反対側の腕を引きながら自分の脚を半兵衛の脚の間に挟み込むようにして背中に乗せると、息を整えるように深く吐き出しながら膝立ちの姿勢へ、そこから一息で立ち上がった。
この時周りの反応を見る余裕はなく、朱音は最低限の指示を現場に飛ばした。
「わたしが竹中さんを保健室へお連れします!左近君は一緒に付き添いを。三成さんはこの場で刑部さんと家康君と一緒に準備を進めていてください。もしグラウンドで保健医を見掛けたら保健室に向かうよう伝えてください!」
「しかし、貴様が保健室まで背負って行くのは…」
「出来ます。必ず無事にお連れすると約束します。ですから暫く現場はお願いします。左近君は竹中さんに声を掛け続けてください。力を込めすぎなければ身体を擦っても大丈夫です!」
迷いなく言い放った朱音に居合わせた者達は面食らったようだが、この緊急事態に於いて朱音の指示が最善であると理解してくれたようだ。
半兵衛の身体の負担にならない重心の位置を意識しながら朱音は小走りで移動を始めた。