生徒会室にて
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「非常に残念だけどね、左近君。こちらの朱音君にはもう恋仲がいるんだよ。三角関係を噂された先からの、それはそれはご立派な御仁がね」
「そ、そうなんスねー!俺てっきり…!じゃ、じゃあその人の事教えてくださいよセンパイ〜!」
普段は取り持つ側の先輩の異変を察した左近は、半兵衛からの助け舟に見せかけた嫌味なパスを必死に受け取った。
「生徒会室でそのような私生活の話題は適さないかと。ですよね、三成さん」
「そ、そうだな…」
左手首のリストバンドに触れながら、噂の恋人直伝…かもしれない作り笑いを三成に向けると、彼はたじろぐように頷いた。隣にいる刑部は朱音にバレぬよう忍び笑いを浮かべている。
明らかに怒っているのが伝わったのだろう。本来なら後輩の誤解?程度に怒ったりはしない。ただこの生徒会様との、腹の探り合いの如く気の抜けないやり取りがほぼ毎日続けば塵も積もるというものだ。
「そういったお話をなさりたいなら竹中さん、わたしが数々の女子生徒からあなた宛ての恋文を代理で届けたり、あなたの代わりに告白と思しきお呼び出しを断りに出向いてるお話の方がよっぽど実りがあるかと」
「業務外で忙しくさせてすまないね。でも僕は業務が忙しいからね」
「業務と割り切るおつもりなら、わたしも業務で無いことは辞退申し上げます」
「…仕方がないね。謝罪しようじゃないか」
モテモテ美男子の事情を耳にした左近が目を輝かせたそうにしているが、3年生同士のギスギスを眼前に必死に抑えている。
「やれ、先輩方よ。無垢な後輩らが身構えてしまっておる。ここはナカヨシコヨシよ」
「……そうですね。こちらこそ失礼いたしました」
冷静な後輩に諌められて、朱音はそろそろ落ち着かねばと息を吐いた。
昨年度とはまた違った緊張感に度々包まれる新体制だ。要たる生徒会長と副会長がギスギスめという事で、秀吉の憂慮は晴れてないと思うのだがそこを何とかするのも朱音の役割と自制する。
(戦の世ではないんですから。こんな些細な諍いなどかわいいもの。つまり竹中さんはかわいいもの)
無理やり大人びた視点を構え、本日の残りの業務に臨む。
一方で半兵衛も朱音がただの秀吉の昔馴染み以上に、生徒会役員としても有用な人材であると現在は十分承知しているのだが………どうにも思考の外で彼女には負けたくない意思が働いてしまう。
(能力自体は問題なし。人間性に大して問題があるわけでもないのにね……官兵衛くんみたいに、)
何故じゃあ!と脳内で騒ぐ困ったちゃんを振り払うと、半兵衛も預かった資料のチェックに戻る。
イライラはミスの元。切り替えて集中する二人は着実に業務を片付けていく。
「仕事に取り組むだけならば、中々息の合う組み合わせなのだがな」
「でっすよね〜!だから俺てっきり…」
「左近、頼むから口を噤め」
「ヒィ!はいぃ!そ、そろそろ俺も仕事するッス!」
怒り起因ではないが切実な三成の語気に、左近はしゃんと背筋を伸ばした。
しかしながら左近の勘違いの通り、引き続き半兵衛の私的な雑用と代役をこなした朱音の善意が、やがて学園内持ちきりの噂になるまで助長することになる。
『生徒会長と副会長は付き合っている』
そんなド定番な噂に朱音が憤慨するのも、誤解を解くために友人総出で助力し、卒業生の恋仲が出張る事態にまで陥るのは、ちょっと先の話。