ちびっこ探検隊
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二人の歩調に合わせてカラカラ回る自転車のチェーン音が夕闇に響く。
傾斜の着いた道の両サイドは相変わらず背の高い木々が並んでおり、その奥にはオレンジから藍色に変わろうとする空が見える。
「ここからの空、でっかいな〜ろく!」
「ほんとだ…!広くて、きれいです!」
行きは公園からの狭い抜け道を来たため、広々とした空に二人は感動している。
「こら、あまり道の真ん中に行くな。万が一車が来たら危ないぞ」
「それならろくはこっち側歩いて!車が来たら、俺が守ってあげる!」
「う、うん…っ」
「ほう?良い気概だな、少年」
「えっへ〜、だろ?トシがまつ姉ちゃんにそうやってたの前見たんだ!男は女を守って一人前だって!だから、お姉さんも俺が守ってやるよ!」
自分よりずっと背の高い女性相手でも気にせず慶次は胸を張った。
堂々と宣言した姿に朱音は憧れるように瞳を輝かせ、女性にとっては愛らしく写ったようで笑顔を浮かべた。が、何やらその表情を慶次はまじまじと見つめていた。
「やっぱお姉さんの笑顔、きれいだな〜!」
「……さてはマセガキだな?このからすめ」
「カラス?」
「カーカー?」
独特な返しをした女性に二人が首を傾げていると、前方から小走りで近づいてくる人影が見えた。
朱音はその姿に見覚えがあった。すぐに誰か気づいてその場でピョンと跳ね上がった。
「父上っっ!」
「ほんとだ、朱音の親父さん!」
「お迎えか?」
真っ先に朱音が駆け寄って父に抱き着いた。
さっきまで不安そうな様子はすっかり無くなり、満面の笑顔になった娘を父は少し重そうな仕草をしつつ抱き上げた。
「無事でよかったよ朱音、慶次君。そちらのお姉さんは…?」
「道が分からなくなっちゃったって言ったら、お姉さんがオオカミの公園まで連れて行ってくれるって!」
「やっぱり冒険のしすぎで迷子になってたんだね。お嬢さん、二人を助けてくれて本当にありがとうございます」
「気にするな。この近所の通りすがりだ」
朱音を抱き上げたまま丁寧に頭を下げた父に、女性は気にした様子もなく片手を振った。
「そうだよ、おじさん!どうして俺達の居場所がわかったんだい?オオカミの公園からここまで遠いってお姉さんが言ってたのに…」
慶次の疑問に、父は朱音が首から下げている物を指差した。
「カメラ?」
「そう。GPSが入ってたんだよ」
「じ?」
「迷子になってもお家に帰ってこられるおまじないが掛けてあるって事」
「おまじない?魔法のカメラだったんですか?!」
「すっげぇ〜!」
幼子に理解できる内容に言い換えた父に朱音と慶次は目を輝かせ、女性は納得したように頷いた。
無事保護者の迎えが来たちびっ子達と本格的に暗くなる前に帰るべく、改めて父は女性に礼を述べていた所に、ハッとした朱音が声を上げた。
「あ、今日何もお写真撮ってない……魔法のカメラ、使ってない…」
「じゃあさ!お姉さんと一緒に撮ろうぜ!今日の探検の記念に!」
「お姉さんさえ良ければそうしようか。お父さんが撮ってあげるよ」
「なぁなぁ、いいだろ!?」
パッと駆け寄ってきて笑顔を向ける慶次に女性は呆れながら微笑むと、自転車を止め二人の傍に来てくれた。
「ねねね〜お姉さん。お名前は?」
「調子に乗るなマセからす。雑賀だ」
「さやか?さやかお姉さん?」
「ふふ、好きに呼べ」
「さぁ撮るよ。はい、ポーズ!」
夕闇の中、記念の一枚。
怖い思いをした瞬間もあったけれど、素敵な思い出になった。
それから十年と少し経った頃、ちびっこ達はさやかお姉さんと再会を果たしている。
だがかつてのちびっこ達がそれに気付くのは、まだ先の話。