世界が生まれるまで
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(死後の主人公がちび佐助に会いに行くまでの幕間)
【こがらしの記憶】直前の物語。
視界が赤く、白く、黒くなって。
それから何も無くなった。
今どこにいるのかわからなくて、地に足が着いていない。足どころか四肢の感覚がない。目が開いているのか、閉じているのかわからない。何をしても身体のどこにも触れる感覚がない。そもそも、今、己の身体自体が無いのではないだろうか。
死んだはずだ。
正しく生命を使い果たして、やり遂げたはずだ。
直前まで感じていた数々の痛みや熱もすっかり消え果てている。
それでも意識だけはある。記憶も手放していない。
わたしの名は朱音。忘れていない。
愛しい人の顔も、名も、全て覚えている。
(死後の世界……だと思うのだけど…)
五感は無くなり、心だけ残っている状態。
少女はそんな心地がする。
何もない、誰もいない。光も音も何もない世界。
死ねば敬愛する父に再会出来ると幼い頃から信じ続けていた身としては、少しどころではない失望感に襲われる。
更に今まで生きてきた……所謂現世の状況もわからない。
守りたかった人たちはその後、無事に過ごしているのかすら確かめられない。
死者の一部は未練から幽霊になって、現世に留まるなんて定番の噂すらも、嘘っぱちだったのだろうか。
ここまで何もない場所だったとは。
人々は死後の世界に様々な空想を抱きすぎていたのかもしれないなと、少女は溜め息を吐きたい気持ちになった。喉の感覚もないからそれも出来なかったが。
少しでも、あなたの助けになれただろうか?
(……さすけ、)
自分の身体の痛みより、苦しみより。
あなたを想う方がずっと痛むし、苦しい。
会いたい。もう会えないだろうか。
痛む気がする胸を押さえる手がどこにあるのかもわからない。
あんなに得意だった涙すら、もう流せないようだ。
それでも、想いは止まらない。
直前まで想いを交わした彼を。何がなんでも、どうか。
(さすけ、)
(さすけ、どこですか?)
(無事ですか?あなたに会いたい)
(また追いかけることになってもいいから……必ず見つけてみせますから、)
(さすけ、さすけ……)
(あなたも、ひとりになっていませんか?寂しい思いをしていませんか?)
【こがらしの記憶】直前の物語。
視界が赤く、白く、黒くなって。
それから何も無くなった。
今どこにいるのかわからなくて、地に足が着いていない。足どころか四肢の感覚がない。目が開いているのか、閉じているのかわからない。何をしても身体のどこにも触れる感覚がない。そもそも、今、己の身体自体が無いのではないだろうか。
死んだはずだ。
正しく生命を使い果たして、やり遂げたはずだ。
直前まで感じていた数々の痛みや熱もすっかり消え果てている。
それでも意識だけはある。記憶も手放していない。
わたしの名は朱音。忘れていない。
愛しい人の顔も、名も、全て覚えている。
(死後の世界……だと思うのだけど…)
五感は無くなり、心だけ残っている状態。
少女はそんな心地がする。
何もない、誰もいない。光も音も何もない世界。
死ねば敬愛する父に再会出来ると幼い頃から信じ続けていた身としては、少しどころではない失望感に襲われる。
更に今まで生きてきた……所謂現世の状況もわからない。
守りたかった人たちはその後、無事に過ごしているのかすら確かめられない。
死者の一部は未練から幽霊になって、現世に留まるなんて定番の噂すらも、嘘っぱちだったのだろうか。
ここまで何もない場所だったとは。
人々は死後の世界に様々な空想を抱きすぎていたのかもしれないなと、少女は溜め息を吐きたい気持ちになった。喉の感覚もないからそれも出来なかったが。
少しでも、あなたの助けになれただろうか?
(……さすけ、)
自分の身体の痛みより、苦しみより。
あなたを想う方がずっと痛むし、苦しい。
会いたい。もう会えないだろうか。
痛む気がする胸を押さえる手がどこにあるのかもわからない。
あんなに得意だった涙すら、もう流せないようだ。
それでも、想いは止まらない。
直前まで想いを交わした彼を。何がなんでも、どうか。
(さすけ、)
(さすけ、どこですか?)
(無事ですか?あなたに会いたい)
(また追いかけることになってもいいから……必ず見つけてみせますから、)
(さすけ、さすけ……)
(あなたも、ひとりになっていませんか?寂しい思いをしていませんか?)