いつの時代も
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「……あれは、今思えば。『今』になって思えば…」
数奇な運命に朱音は穏やかに頷いた。
ガタン、ゴトン、と心地よく揺れる音に身を委ねながら『過去』に思いを巡らせる。
「何か面白い事あったの?」
一人ニコニコしている朱音に気づいた佐助が話しかけた。
隣に座る彼に少しだけ預けていた身体を離し、改めてじっと見詰める。
どう切り出そうか考えている内に佐助が朱音の頭を撫でた。
「……まぁ何でもいいよ。あんたが笑ってるなら」
「さすけこそ。……改めて、記憶が無かった頃を思い出してたんです」
「おっきな赤ちゃんの話?」
「ええ〜そうです」
からかう口調には弱々の力によるほっぺつねりで返した。
思えば、記憶喪失成り立てほやほやの時は佐助と噛み合わず敵対心を向けていたものだ。ガキンチョよろしく隙あらばちょっかいかけて…。
幸村と一緒になってからかったり、天井から佐助へ垂直落下したり。鉢金を奪って追いかけっこもした。
「俺様の事考えてるでしょ、今」
「さぁ?」
「悪そ〜な顔してるぜ」
「まぁ、失礼でござる」
やいのやいのしていると到着のアナウンスが流れ、窓から見える景色の動きもゆっくりになっていく。
手荷物を持って二人で駅に降り立った。
「ところで普通無いと思うんだよね。学祭で出会ったOBとその後会うなんてさ」
「お相手がお相手ですから」
「ほんとにね。おたくらは毎回初対面から仲良すぎ」
改札を抜けると待ち侘びた姿が待っていた。
戦の記憶を取り戻してからの再会。
何を意識するより嬉しさに満ちて全身が震えた。
「ひかり!」
バッ!と抱きついてきた2度目ましてのはずの後輩に、ひかりは驚いた表情を浮かべたがすぐに受け止めた。
「あらあら…、意外と甘えんぼさんでしたか。お久しぶりです」
「はい…!会いたかったです、ひかり!あ…、すみません、突然呼び捨てにしてしまって…」
慌てて身体を離した朱音が頭を下げる。
また衝動のままかつての呼び方をしてしまい、進歩のない自分に呆れるばかりだ。後ろで見守っているであろう佐助の如く。
しかし目の前のひかりは変わらず穏やかに微笑んでいる。
「いいえ、どうぞお好きに呼んでくださいませ。不思議としっくりきますわ、朱音様。…あら?」
無意識にそう呼んだひかりも首を傾げたが、すかさず佐助が会話に入ってきた。
「ほ〜らね、やっぱ俺様の仲介要らなかったじゃない」
「で、でも、いきなり二人だけじゃひかりだって…」
「お気遣いありがとうございます。お話しながら参りましょうか。少し寄り道したい所があるのです」
「は、はい!」
学園祭でお昼を一緒に食べて以来の再会。
記憶を取り戻した朱音はよくとも、ただの一度会っただけの後輩相手ではひかりが困惑してしまうかも、ということで佐助に付き添いを頼んでいた訳だが。
実際は心配する方が馬鹿らしくなるくらい、既に二人は気兼ねなく話している。腕を組んで歩いてるのかってくらい無駄に距離も近い。一応の恋人を差し置いて。
「………俺様、本当にいらないんじゃね…?」
「変なこと言ってないで行きますよ、さしけ」
「佐助!いつ以来よ!」
「こむずかしいお顔してるからです」
「ふふ、あらあら…」