いつの時代も
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※主人公とひかりメインの話。
戦国と現代の両描写あり。
「さあ、ゆっくり立ち上がりましょうか」
「…しょか?」
寝巻きの上からでも分かる程、何重にも包帯が巻かれている少女はきょとんとしている。
ひかりは先に聞いたばかりの話を思い出す。
記憶どころか知能まで全部吹っ飛んでいるかもしれないという眼前の少女。
死人顔負けの血色の失せた肌をしているが、目だけは新しく出会った人物…即ちひかりを興味津々に見つめている。
不必要に警戒はされていないようなので、ひかりは少女の背中や脚をさすりながら『立つ』行動の意味を伝える事を試みる。
「私を支えにして構いませんから、ゆっくり」
「……ゆっく、」
少女の両手をひかりのそれぞれの肩に乗せ、逆にひかりは少女の足首を持って軽い力加減で布団に押し付けると意図が伝わったようだ。
負傷のある右側を避けるように、左半身に重心を寄せて少女は立ち上がった。
ひかりも一緒に立ち上がって、己より低い背丈だが、赤子と言うには大きすぎる少女と目が合った。
「とってもお上手ですわ」
「おじょ!わ〜」
穏やかな表情から褒められている事を察したのか、少女は真正面のひかりに笑顔を向けた。あんまりに素直に笑うものだからひかりもつい頬を緩めてしまった。
「ええ、よく出来ましたね。では次は両腕を少し広げていただけますか?」
こんな感じで…と、ひかりがジェスチャーをすると、要領がわかったようで少女もゆっくりと両腕を広げた。
どう?!と言わんばかりにキラキラとひかりを見つめてくる少女にひかりも頷いて応えた。
すると一層表情が輝いて、ひかりに抱きついてきた。
「わ、あらあら」
「む〜〜、にぃ〜〜っ」
「ふふ、甘えんぼさんですね。よしよし」
「よしよし〜」
これでははじめてのお着替えが進まない。
が、満更でもなさそうなひかりは抱き締めた少女の背中を撫でた。
間近で漂ってくる血と薬品の匂いが不似合いなくらいご機嫌な少女も、撫でられて心地良さそうにしている。
***
その翌日。
少々乱れた、ぎこちない足音がして振り返ると、例の少女が大怪我しているにも関わらず歩く以上の速さでひかりへ向かってきていた。
驚いたひかりが制止の声を掛けるより先に、目が合った少女の顔つきが華やいだ。
「ござる!ござる!」
「まぁまぁ、そんなに走っては…!」
構わず腕に飛び込んできた少女は尚も嬉しそうな表情で報告をしようとする。
「朱音、朱音でござる!」
今にもその場で飛び跳ねそうな程興奮気味の少女をなんとかなだめようとするが、あまり効果はなさそうだ。
そしてひかりが初めて聞いた名を何度も連呼する少女。
「朱音でござる〜!」
「……朱音、様?」
「はいっ」
つい復唱すると、少女は満足そうに胸を張った。
なるほど。その様子を見てひかりは確信する。
「朱音様とおっしゃるのですね」
「はい!それがしは朱音でござる〜!……、む……」
昨日ぶりの会話だが、妙に聞き覚えのある口調で話すようになった少女に反応を示す間もなく、少女はまた身を乗り出してきた。
「それがしは!」
「朱音様?ですか?」
「ぬ、うぬぬ……」
再度のひかりの復唱は少女…朱音の意図とは違ったらしい。わたわたと、落ち着きなく視線が動かしながら何か考えているようだ。
やがて閃いた顔つきでひかりに向き直ると、ぴっ、と己を指さした。
「それがしは朱音でござる!」
その指を今度はゆっくりとひかりへ向けた。
「それがしは?」
「……私の名前、ですね?」
「はい!名前!ござる!」
言葉以上にひかりの表情を見て意図が伝わったのがわかると、朱音はくせっ毛を揺らしながら喜んでいる。
「私はひかり、と申しますわ」
「ひかりとも?」
「ひかりです。ひかり」
「ひかり?……ひかり!ひかりでござる!」
名前一つ聞いただけでこうも喜ぶものかと流石のひかりも呆気に取られるが、朱音が屈託なく笑顔を向けてくれるのがどうにも愛らしくてつい一緒になって微笑んでしまった。
緩やかに笑うひかりに昨日ぶりに朱音は抱きついた。
「み、見つけた!朱音!まだひとりで出歩いては…!」
女子同士盛り上がっているところへ、男子がやって来た。それも先程からひかりが連想していた相手だ。
「幸村!ひかり、ひかりでござる!」
ひかりに腕を回したまま振り返った朱音の笑顔を見た男子こと幸村も呆れたように笑みを浮かべた。
「うむ、そちらの方はひかり殿でござる。この屋敷の女中と聞き及んで……」
「ひかりでござる〜!」
幸村の説明も話半分に朱音はひかりにじゃれついている。
佐助よりかは己に懐いていると思い込んでいた幸村だが、目の前には云わば上位互換たりうる存在がいた。あんまりに仲良しオーラが出ているものだから幸村は提案すること自体に迷いはなかった。
「………う、そ、そ、、そそそ、その、ひひ、ひ、ひか、ひかり殿!」
「はい、なんでございましょう?」
女性に話しかけねばと意気込んだ途端、どもり始めた普段通りの幸村にひかりは気にした様子もなく応えた。
「そ、そな、そなたに、朱音は親しい思いでいる、よ、様子………!故に、こ、今後も、朱音と、仲良、く……」
「そのつもりですわ。この方のお傍に多く居られるよう、お館様にもお願いしに参ろうかと考えていた所でしたから」
「ま、まことにござるか!か、か、かか感謝いたす!」
「御礼を言っていただく程ではこざいませんわ。だって…こんなに可愛らしいお方ですもの、」
朱音の背中を優しく擦ると、朱音もまた嬉しそうに左手でひかりの背中を撫で返した。
戦国と現代の両描写あり。
「さあ、ゆっくり立ち上がりましょうか」
「…しょか?」
寝巻きの上からでも分かる程、何重にも包帯が巻かれている少女はきょとんとしている。
ひかりは先に聞いたばかりの話を思い出す。
記憶どころか知能まで全部吹っ飛んでいるかもしれないという眼前の少女。
死人顔負けの血色の失せた肌をしているが、目だけは新しく出会った人物…即ちひかりを興味津々に見つめている。
不必要に警戒はされていないようなので、ひかりは少女の背中や脚をさすりながら『立つ』行動の意味を伝える事を試みる。
「私を支えにして構いませんから、ゆっくり」
「……ゆっく、」
少女の両手をひかりのそれぞれの肩に乗せ、逆にひかりは少女の足首を持って軽い力加減で布団に押し付けると意図が伝わったようだ。
負傷のある右側を避けるように、左半身に重心を寄せて少女は立ち上がった。
ひかりも一緒に立ち上がって、己より低い背丈だが、赤子と言うには大きすぎる少女と目が合った。
「とってもお上手ですわ」
「おじょ!わ〜」
穏やかな表情から褒められている事を察したのか、少女は真正面のひかりに笑顔を向けた。あんまりに素直に笑うものだからひかりもつい頬を緩めてしまった。
「ええ、よく出来ましたね。では次は両腕を少し広げていただけますか?」
こんな感じで…と、ひかりがジェスチャーをすると、要領がわかったようで少女もゆっくりと両腕を広げた。
どう?!と言わんばかりにキラキラとひかりを見つめてくる少女にひかりも頷いて応えた。
すると一層表情が輝いて、ひかりに抱きついてきた。
「わ、あらあら」
「む〜〜、にぃ〜〜っ」
「ふふ、甘えんぼさんですね。よしよし」
「よしよし〜」
これでははじめてのお着替えが進まない。
が、満更でもなさそうなひかりは抱き締めた少女の背中を撫でた。
間近で漂ってくる血と薬品の匂いが不似合いなくらいご機嫌な少女も、撫でられて心地良さそうにしている。
***
その翌日。
少々乱れた、ぎこちない足音がして振り返ると、例の少女が大怪我しているにも関わらず歩く以上の速さでひかりへ向かってきていた。
驚いたひかりが制止の声を掛けるより先に、目が合った少女の顔つきが華やいだ。
「ござる!ござる!」
「まぁまぁ、そんなに走っては…!」
構わず腕に飛び込んできた少女は尚も嬉しそうな表情で報告をしようとする。
「朱音、朱音でござる!」
今にもその場で飛び跳ねそうな程興奮気味の少女をなんとかなだめようとするが、あまり効果はなさそうだ。
そしてひかりが初めて聞いた名を何度も連呼する少女。
「朱音でござる〜!」
「……朱音、様?」
「はいっ」
つい復唱すると、少女は満足そうに胸を張った。
なるほど。その様子を見てひかりは確信する。
「朱音様とおっしゃるのですね」
「はい!それがしは朱音でござる〜!……、む……」
昨日ぶりの会話だが、妙に聞き覚えのある口調で話すようになった少女に反応を示す間もなく、少女はまた身を乗り出してきた。
「それがしは!」
「朱音様?ですか?」
「ぬ、うぬぬ……」
再度のひかりの復唱は少女…朱音の意図とは違ったらしい。わたわたと、落ち着きなく視線が動かしながら何か考えているようだ。
やがて閃いた顔つきでひかりに向き直ると、ぴっ、と己を指さした。
「それがしは朱音でござる!」
その指を今度はゆっくりとひかりへ向けた。
「それがしは?」
「……私の名前、ですね?」
「はい!名前!ござる!」
言葉以上にひかりの表情を見て意図が伝わったのがわかると、朱音はくせっ毛を揺らしながら喜んでいる。
「私はひかり、と申しますわ」
「ひかりとも?」
「ひかりです。ひかり」
「ひかり?……ひかり!ひかりでござる!」
名前一つ聞いただけでこうも喜ぶものかと流石のひかりも呆気に取られるが、朱音が屈託なく笑顔を向けてくれるのがどうにも愛らしくてつい一緒になって微笑んでしまった。
緩やかに笑うひかりに昨日ぶりに朱音は抱きついた。
「み、見つけた!朱音!まだひとりで出歩いては…!」
女子同士盛り上がっているところへ、男子がやって来た。それも先程からひかりが連想していた相手だ。
「幸村!ひかり、ひかりでござる!」
ひかりに腕を回したまま振り返った朱音の笑顔を見た男子こと幸村も呆れたように笑みを浮かべた。
「うむ、そちらの方はひかり殿でござる。この屋敷の女中と聞き及んで……」
「ひかりでござる〜!」
幸村の説明も話半分に朱音はひかりにじゃれついている。
佐助よりかは己に懐いていると思い込んでいた幸村だが、目の前には云わば上位互換たりうる存在がいた。あんまりに仲良しオーラが出ているものだから幸村は提案すること自体に迷いはなかった。
「………う、そ、そ、、そそそ、その、ひひ、ひ、ひか、ひかり殿!」
「はい、なんでございましょう?」
女性に話しかけねばと意気込んだ途端、どもり始めた普段通りの幸村にひかりは気にした様子もなく応えた。
「そ、そな、そなたに、朱音は親しい思いでいる、よ、様子………!故に、こ、今後も、朱音と、仲良、く……」
「そのつもりですわ。この方のお傍に多く居られるよう、お館様にもお願いしに参ろうかと考えていた所でしたから」
「ま、まことにござるか!か、か、かか感謝いたす!」
「御礼を言っていただく程ではこざいませんわ。だって…こんなに可愛らしいお方ですもの、」
朱音の背中を優しく擦ると、朱音もまた嬉しそうに左手でひかりの背中を撫で返した。