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『ギュイーン!ギュイーン!ギュイーン!』
「良かったなぁ忠朝!本当に良かったなぁ〜!!」
「離れろ!離せ!」
いつの間にか今回の訪問の理由、朱音の左腕の検証が終わり、兄妹のやり取りが落ち着くと真っ先に徳川主従が忠朝に飛びついた。
ガタイのいい養父とガタイの良くなった兄弟のような友にもみくちゃにされている。忠朝も武将に相応しい体格をしているが、この二人相手に力で掻い潜る事は難しいため、言葉で抵抗するしかないのだろうと、傍から見守る者達は納得する。
「良かったな、朱音」
「はい。あの、幸村…」
賑やかな徳川勢を眺めながら幸村と朱音も話している。
奥州を訪れた時と同様、一時的に自由を取り戻した左手を握ったり開いたりしながら、朱音は先程の途切れた幸村との会話を思い出した。
「結局、兄上と何があったのかは今は伺えませんか?」
「……すまぬ。これは安易には扱えぬ。暫し、時間をくれぬか」
「は、はい…」
腑に落ちない朱音に、腑に落ちないどころか真剣に思い悩む素振りを見せる幸村に、朱音は無理に言及する事はできなかった。
それでも今は喜びを分かち合う時だと切り替える事にした。
「それにしても、こんなに早く確認できてしまったなんて…。もう無理だとすら思っていましたのに、」
「些かすれ違いがあろうと、隼人殿も朱音も互いに想う心があればこそ、通じ合えたのであろうな」
「幸村もきっと、兄上に何かしら働きかけてくださっていたのでしょう?」
「いや、俺より本多殿の方がよっぽど……」
「………お父上様と比較するのは土台無理な話ですよ」
「朱音……、」
「大事な……長く一緒に過ごしてきた、忠朝兄上のご家族ですもの」
まだごちゃごちゃしている徳川一派のやり取りを、朱音は穏やかな表情で眺めている。
兄とその家族達へ感謝の笑顔を浮かべながらも、ほんの少しだけ含まれる寂しさに幸村が気づいた。
「そ、そなたの傍にも………某らが、おり申す」
勝手に鼓動が速くなり、何故か以前の畏まった口調になってしまったが、何とか言い切った。
気遣いの思いは直ぐに気づいてもらえたようで、朱音も懐かしい言葉遣いを交えて応えた。
「そうでござる、ですね。わたしもとても恵まれています。ちゃんと皆さんに返せるよう頑張りますね、幸村」
「……返、す?」
違和感を抱く幸村を他所に朱音は幸せそうに兄達を見守っている。
この頃からあったすれ違いの予感は、数年後のぷろなんたら騒動にまで続くのだが、当人らもまだ知る由もない。
そして。
親子喧嘩中の忠朝のうっかりにより知ってしまった『その名』についても、幸村が打ち明けられたのはその騒動よりも更に後だったという。
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