特別だからこそ
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しまった。そう言わんばかりに本多忠朝が硬直した。
掌で口元を覆い、あからさまに目を逸らしたが既に手遅れだった。
「……隼人殿、その………今の、その名は…まさか……」
兄上、事故りました。
*
左腕を動かせる可能性を確かめに。
大義名分を得た朱音はいよいよ三河を目指せる事になった。
隼人…今は本多忠朝と名乗る兄とその養父・忠勝、そして大阪で世話になった家康に会うのは小田原の一件以来だ。
年が明け、やがて冬も明ける時期。大きな馬の背に揺られながら移動している。
「梅の花、こちらの地域はもう咲いているのですね」
「ああ、見事だな」
今は移ろう季節を楽しむ暇がある。他愛もない会話が戦乱の停止、平穏を表す何よりの証拠といえよう。
「三河は甲斐や信濃に比べ、暖かい気候で過ごしやすいと聞いていたがまことのようだな」
「はい。兄上や皆様もお元気にされているでしょうか?」
いつになく朱音は高揚した声で話しており、顔を見るまでもなく笑顔を浮かべているのがわかる。
以前会った時は小田原の件の直後だったため、当時の朱音は布団から身動きが取れず身体が弱りきっていた。此度ある程度回復した状態で会いに行けるのが嬉しいようだ。
朗らかなその表情を見守りながら、幸村もゆっくりと息を吸い込んだ。
「三河のお土産はどんなものがあるのでしょう?今回もしっかり見繕わねばですね!」
そう。此度の旅に出るにあたり、またしても佐助からちくちくと小言を頂戴している幸村は苦笑を浮かべた。他の者に旅の供を任せる事も出来はしたのだか、勿論朱音と共に生きる事に今は重きを置く幸村自身にその選択肢ははじめから存在しなかった。
とうに死に別れていたはずの家族と10年以上ぶりの再会を果たせた奇跡。その続きたる今日は如何に。