Marry me!(後編)
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「おめでとぉ―――!朱音――!幸村――!」
大きく張り上げられた慶次の声と共に時期外れの桜の花びらが無数に舞いだした。
目を丸くする二人に得意げに胸を張る。
「俺からのお祝いだ!さあ皆舞って舞って咲き乱れようぜぇ!」
「いいだろう。乗ってやろう前田」
続き、孫市がロケットランチャーを上空へ掲げると立て続けに発射された。
朝の空でもわかる、色とりどりの花火花が空に煌めき歓声が起こる。
瓦礫が散在する場に祝いの灯華が溢れ返り、さながら勝鬨の瞬間であるようだった。
それも自分たちらしいか、そう思いを交わしまた微笑んだ。
そのまま幸村の両腕が朱音を抱き上げた。咄嗟のことに思わず朱音は素っ頓狂な声が出るが目の前の眩しい笑顔にまた胸が灯される。
「待っていたぞ朱音!この瞬間を、ずっと待っていたのだ…!」
「そんな、一体いつから…?」
「気づいた時には!だ!」
「遅くなって、ごめんなさい」
「今は侘びよりも」
「はい、本当にありがとう、幸村…!」
「朱音こそ、よくぞ心を開いてくれた!」
「はい…!」
「それにしても胴着か。まことに懐かしい姿だな、」
「久しぶりに戦装束のあなたのお姿を見て、共にいたときの装いでありたくて」
「そうだな、やはり変わらぬな」
「……幸村こそ、」
祝福の空間でありながら落ち着きを取り戻しつつある。いつも通りの二人の空気感が戻ってきて安堵できた。
「さ~て、カタブツの説得は無事お済みですかい、真田の旦那」
瓦礫の地面より影が浮かび上がる。影が色づくのも待つまでもなく誰かはもちろん確信できた。
「佐助!応ともッ!この通りだ!」
「ぅわっ、公衆の面前でそんな堂々と抱っこしちゃって…想像以上なんですけど。ぶっ飛び具合が」
「ム、」
旗からの在り様を指摘され、若干素に返ったのか幸村の表情に羞恥が浮かぶ。
それでも朱音を降ろそうとはせず、その体勢のまま朱音も佐助に尋ねた。
「今来たのですか、さしけ」
「佐助。いーや、城のまん前まで旦那を案内して、後は下がっておりました。俺様がいると旦那すぐこーんな風にへこたれちゃうから」
「ぐ、ぬぬ…ッ!ならば余計な茶々を入れるでない!」
「こういう性分なんですぅ。よく知ってるでしょ」
「朱音ちゃん、楽しそうです」
「真田も、あの忍もな」
「こんなあったかい場所、切り捨てようとするなんざ無理にもほどがありすぎんだろ、朱音」
「でも、ちゃんと真田さんが迎えに来てくれたから。よかったね…」
「どうだ、本多忠朝。兄として、あの様子は」
「……なぜ貴殿がわざわざ聞く」
「これでも昔なじみでな。お前が見ていなかった頃のあの娘の近くにいたが故だ」
「………」
「秀吉が煽った!秀吉が煽った!?……くっ、色々と卑怯すぎるな朱音君…ッ!」
「半兵衛殿、そんなお人柄だったのか…?」
「それで、どうなのだ」
「………初めて見た。親父が居た頃以上に、ずっと、憂いの無い顔つきだ」
「うんうん、それで?兄としてそれを見て?」
「つついてくるな家康、養父さんもだッ!」
『ギュイーン…』
「………わかったよ。喜ばしく思っている」
「でも兄として、あの子の晴れやかな表情をさせてみせたのは自分ではなかったことに対しては?」
「煽りよるな、半兵衛…」
「……ッ、妬ましくもあるッ」
「聞いてくれ朱音殿ー!忠朝がなーっ!」
「やめろ家康ッッッ!!」
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