Marry me!(後編)
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たとえばここに枕があれば顔をすっぽり埋めて隠したい。そんな青臭い春の修学旅行の夜のようなもの。
現在、日ノ本を掌握しかけた武将と、その侵攻を命からがら食い止めた名も無き民草代表が膝を突き合わせて恋バナに花を咲かせている真っ最中だ。
そう至るまでのきちんと経緯はあるものの、それにしても異様極まりない情景だ。
だが、
「あっはははははは!二人とも!顔真っ赤~~~!!身体が沸騰しちまってるんじゃないのかい!?」
「こ、これはこれで、なかなか見ない秀吉だ…ッ!さあ、もっと話してくれ朱音君ッ!そしてどんどん秀吉に催促してくれたまえ!」
相談者、応談者ともに明らかに不得意な分類の話題である上に2人を囲うギャラリーのせいで余計に気恥ずかしく、耐え難い空間に変わり果てていた。
しっとりと奥ゆかしく、落ち着いたやり取りは適わず、各人による好奇心という名の余計な茶々入れにより、当人間外が戦の如く高揚しきるという収集のつかない状況へと陥っていた。
「はぁああぁぁあ~~!もうッ!朱音ちゃんたらッ!このこのにぶちん!でもでもでもとっっても初心っ子かわいいです~!」
「……あの、非常に今更なのですが、秀吉さんと…せめてあと慶次と、三人ほどでお話させてくださいませんか…」
「何を無粋なことを。私にはこの会談を書き押さえる義務がある」
「あとで市にその複製ちょうだい」
「もっちろん私にも~ッ!」
「造作も無い。フフ、元親にも送りつけて恩を着せるとしよう」
プライバシーもへったくれもない。
様々な意味で火照る頬を押さえつけようと朱音はどうしようも無く膝を抱えた。
一応向き合う先にいる秀吉も許されるのであればそんな風に自衛に走りたい思いでいることが表情にありありと表れていた。
「いやぁ、これは夜通し語らなくちゃなぁ!!なあ、なあ!秀吉ィ!」
「慶次君!気安く秀吉に触らないでくれたまえ!……だがその意見にはおおいに賛成だ」
そう、この詰め寄ってくる周囲のお陰で想定以上の深く、細かな出来事を話さざるを得ないのだ。
人類共通ともいえるこの話題に食いついたのは各々、技も力も術も誇る戦国の強靭達。
数で負け、勢いに負け、押しに負け、とうに朱音と秀吉の逃げ場はなくなっていた。
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