IF:vs佐助戦
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最南端から毛利の移動要塞を追う事になった幸村に代って、人手が足りなくなる薩摩に朱音は残る事にした。
勿論秀吉を止めに行きたかったが、この場所で必死に生きる人たちを蔑ろにすることもできなかった。まずは目の前の危機を救ってから。間に合うのであればその後に秀吉の元を目指す。その為にもこの場での戦乱を必ず切り抜ける必要がある。
お市と小助も留まり手伝うと言ってくれた。2人と一緒なら心強い状態で挑む事ができるに違いない。
無理をするなと幸村からも含め散々言われたので頭の隅には置いておこうと決意する。
やがて始まった戦乱の最中、指揮官である毛利が失踪した事で指示も無く残された毛利軍兵は機能せず、立ち往生している状態だったが翌日になると事態が変動した。
朱音達が留まった理由。予想通りに豊臣の援軍が薩摩の地に襲撃してきた。
桐紋ではなく、葵の紋。やって来たのは豊臣傘下にある徳川軍だった。
そうして、因果的な再会を果たす事になったのだ。
*
「徳川…、まさか、家康様が?」
「え?…知り合いなの、朱音ちゃん」
「大坂でお会いした事があります!」
あの人柄であるのならばあるいは停戦まで運べないかと朱音は希望を抱く。しかし、徳川は豊臣の配下の位置にあるという故に、
「…流石に難しいんじゃないかな。徳川は豊臣に遣われてるわけなんだし。ただの個人でそんなことは」
「でも、あのお方なら…もしかしたら、」
「あのね朱音ちゃん、」
「優しい方ですもの!」
「聞かん坊朱音。市は応援するわ」
今にも勝手に走り出そうとする朱音の肩に市が手を添えた。
現実的な考えの小助とは反対に感情的な朱音の肩を持つことにしたらしい。わかっていたことではあるが小助は溜息をついた。
「市も知ってるから、彼の事」
「ありがとうございます、お市さま!」
*
早急に話し合いでこの戦乱を治めるべく朱音はなりふり構わず一気に敵陣最奥へ駆けていく。
対多数に長ける戦闘経験が功を奏し、次々と襲いかかる敵兵を誰一人傷つけず確実に回避していく。相手に打撃を入れる事は目的としないため普段より格段の速さで移動ができる。
「野生動物でしょあの動き…もう!」
「朱音、先に進んで。市達も追いかけるから…!」
必然として朱音の機動のフォローに回らざるを得なくなった二人が小さな背を押した。
この戦を一秒でも早く終わらせることが一番の目的だ。頷くと朱音は速度を緩めず疾走した。
送り出したものの、お市と小助の頭に不安がよぎる。目の前の戦事に集中する彼女は意識しているのだろうか。彼女の過去もまた、徳川に居ると言う事を。
*
「なんだ、あれは」
「何かあったか、忠朝」
「何かが兵を派手に掻き分けている……黒い、………あれは、まさか、」
「本当だな黒い靄…いや、腕の形、をしてるのか…?……って、どうしたんだ、忠朝!」
「様子を見てくる、お前はまだ本陣を動くな、家康」
「あ、ああ。すまないが頼むぞ」
崖の上に構えた徳川本陣からは戦況が一望できた。謎の黒い手の群れを視認し真っ先に異変に気付いた忠朝が先に出陣した養父・忠勝に次いで陣幕を出た。数日前に見たばかりの無数の黒い手……嫌な予感に胸を燻らせながら。
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