奥州へ行く
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「Welcome to 奥州!朱音、元気にしていたか?」
「うぇ、上…かめ、こめ…?」
「相変わらずで何よりだぜ!ってお前、震えてんじゃねーか」
約束通り一月半の後、奥州を訪れた朱音。本来ならばもう少し体調が安定してからの方が良かったのだが、少しだけ無理を通してやって来ていた。これ以上遅らせれば奥州は甲斐からでは到底及ばぬ本格的な寒さがやってくる為だ。今の時期でさえなかなかに堪えるものがあったのか、多少着込んでいるはずの朱音の身体は震えてしまっていた。
見かねた政宗が素早く右腕から引き寄せて自らの胸元にすっぽり納めた。かつてのようにちょうどいい位置にある頭の上に顎をトンと乗せてみせた。
「ま、政宗、その」
「なんだよ」
慌てた声を聞いた政宗が面白がって朱音の顔を覗き込む。と、更に赤面した。初っこい反応を面白がっておでこ同士がぶつかった。
「ち、ちかいです…!」
「暖を取ってやってんだよ。真田や諸々には照れねぇくせに何だってんだよ。そんなにbrotherが恋しいか?」
「ぶ、武羅…?」
「兄貴って意味だ」
「……わたしの兄上は、こういうことは、しないお人ですから…」
「雰囲気で似てる俺に思ってもいないコトされてnervousになっちまうと。俺自身にじゃねぇってのが上等だな、うりうり」
「く、くすぐったいです!!」
政宗の悪戯心により、異常に密着している二人の耳に怒号が割り込んできた。
「何をされておられるのだぁあぁああ政宗殿ぉおおぉぉおぉぉおおッ!!」
「Shit!もう戻ってきやがったか」
乗っていた馬を厩屋に預ける為に一旦その場を離れていた幸村が、二人の状態を見るや否や全力疾走で舞い戻ってきた。
これで二人の身体が離れていたら間違いなく拳が飛んできていていたであろう凄まじい怒りの覇気を容赦なく向けられる政宗。しかし朱音とくっついている以上はその心配はないと軽く受け流した。
「邪魔すんなよな」
「それはこちらの台詞でござる!」
「じゃあアンタは朱音の何なんだよ」
「そ、それは、その…!」
「まだ答えられねぇのかよ、だっせぇな」
「だ、だっせぇ!?」
不慣れな単語を口にする幸村が似合わなさすぎて政宗は思わず吹き出した。
「政宗殿ッ!」
「うっせぇなー。さっさと中入るぞ、朱音が身体冷やしてんだからよ」
「なッ!!何故そのまま貴殿が朱音を抱えるのだ!」
「俺のPrincessだからに決まってんだろ」
「ぷ、ぷ…?」
「な、My dear princess.」
敢えて言葉の意味を教えなかった政宗は朱音を横抱き……いわゆるお姫様抱っこに抱え直すと、騒ぐ幸村を余所に軽い足取りで歩き出した。
(……あれ?政宗の身体、すこし、あたたかいような……?)
.
1/10ページ