プロット倉庫
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「力……物理的なものから権力まである。力に対抗する為にはまたそれ以上の力がいる。望みが高けりゃ、高いほどな。……それはお前も、俺も、武田のオッサンとも変わらねぇ。オッサンにべったべたな真田幸村は知らないがな」
「力で捩じ伏せられてる者が力で抗えば、犠牲も出る。更に俺みたいな国主は人を動かす立場だ、命令ひとつで敵も味方も殆ど関係無く、その命を散らせてしまう。
お前が言いたかったのは、そんな立場の俺に、どうして伊達の人間でもない一個人に気にかけてくるのかっつー事だろ。―――俺は自分の為に戦った奴等を一人一人を大切にしてぇ。弔い、という形になっちまう奴もいるが……。俺は、部下を無下な塊と見るようなその辺のトノサマとは違ぇからな。武田の人間であるお前でも、例外じゃないってだけの話だ。」
わかったか、と言うように朱音の顔を覗き込む政宗に朱音は、うつむいて瞳を揺らした。
「―――けれどそれがしはなにからもちがいまする。」
「関係無ぇよんなの。……ゴタゴタ言ったがつまり、俺が人の心配すんのは俺の自由ってことだ!……だいたいお前は自分だけを卑下しすぎだ。」
「髭…?」
「そのヒゲじゃねぇ。もう少し、自分を大切にしろって事だ」
ひたり、と首の傷口のすぐそばを触れられた。
直接触れられなくとも、少しだけ痛みが走った。
「………」
「朱音?」
《けれど……》
《けれど、それはできない》
ぼんやりとする頭の中で確かに、そう思った。
「おい、朱音…?」
呼びかけても反応しない朱音の肩を政宗は軽く叩くがやはり意識はこちらに向かず。
どうしたものかと互いにだんまりを極め込んでいると、
スパーン!と大きな音と共に突如、強烈に日が差し込んできた。目を眩ませつつも、襖へ視線を向ければ部屋に乗り込んで来た人物が一人。
今日も今日とて、真っ赤な君。
「……伊達、殿。何をされておいでで」
赤い君こと幸村的状況判断:政宗殿が朱音の両肩を掴んで迫っている
「人の見ぬ間に消えてしまわれたと思えば、やはり貴殿はぁああああ!」
「……What!?ちょ、落ち着けさな――」
「相許さぬぅううううう!!」
問答無用!と鍛錬中に使用する長い棒を政宗と朱音の間の畳にザックリ突き刺し(ちなみにこの棒に刃は付いてない)、幸村は素早く朱音を回収した。
「ぐぇッ」
朱音から変な声が漏れても今は気にしない。
「い゙ッ………!―――な、ゆゆ幸村!?」
少々乱暴に抱き上げられた為、うっかりあがりそうになった悲鳴を朱音は慌てて抑えた。
「政宗殿!おなごの部屋に易々と出入りするとは何事でござるか!!」
朱音を抱えたままギッと政宗を睨み付け、説教紛いをし始める幸村に政宗はげんなりした表情を浮かべた。
「小十郎がそこらじゅうにいる感覚だぜ…」
不機嫌そうに呟かれた言葉に幸村はさらりと毒を吐く。
「政宗殿はそれだけ目が離せぬお方、ということでござるな」
「んだとコラァ!!人をお子ちゃまみてぇに!表出ろテメェ!」
(……政宗は噛みついてくるさしけみたいでござるな)
佐助だったらこの一言で『この反抗期!』とか言ってしくしく泣き出すのだが、政宗は対照的に逆上している。
(世の中にはまこと様々な人がいるでござる)
なんて呑気に考えていると幸村が、
「某は朱音に話がある故、失礼致す!」
それだけ政宗に言うと、ひょいとまだ身体を不自由なく動かせない朱音を横抱きにして部屋を飛び出した。
「ぬぉぉ!?幸村ぁ!?」
佐助より不安定な運び方のようで体がガックンガックン揺れて悲鳴に近い声が漏れる。スピードも割と出ている為、振り落とされそうな気がしてかなり怖い。
そうして政宗放置で部屋を飛び出してしまったことになる。
(お蔵入りになった訳:政宗が出過ぎで幸村の影が薄くなりかけた為。実は更にこの後に政宗と小助のやり取りが入ってたりしました。)