2.心
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「昼間は余計なのがやって来たみたいで申し訳なかったね」
「ああ、あの時はお昼だったのですね」
光らしい光もあまり入ってこないのでわかりませんでした、と軽口のような皮肉のような言葉を返した朱音に竹中は驚いたらしい。
死んだように二日間眠り続けて以来の再会なのだが、予想以上に元気になってしまったらしい。食事も取ったようだし。
「それとも、官兵衛君に何か元気になれるような事でも言われたのかい?」
手の焼けるどじっ子同僚には困りものだ、と額に手を当てる半兵衛。
今の朱音の瞳には色が戻っていた。本当に彼は何をしてくれたのだ。ロクな事言いそうにないのだが…
「惚れた、とか…!?」
「はい?」
心底わけがわからなさそうにする朱音に若干落ち着きを取り戻したのか、半兵衛は小さく咳払いをした。
「さて朱音君、目覚めたばかりだが今から君も一緒に来てもらう」
「………」
「我らが豊臣の大将に会ってもらう」
「…あなたは黒田様が…」
「その官兵衛君から聞いたかもしれないけど、僕も豊臣軍師だよ。とにかく出るから、ほらこの手枷つけて。試作品のを君の手首が収まるように調整してきたから」
「試作品…?」
「最新版のでね。ちょうどよかったよ」
しかし、まるで囚人の扱いだ。
しかも鍵がいるようなやたら丈夫そうな木の枷板でかなり重い。つけているだけで体力が奪われているような気がする。暫く運動もせず、眠りっぱなしだった身体には余計に辛い。ここまで頑丈ならば反撃に使えそうな気もするが今の朱音の筋力、持久力では到底叶いそうにない。
月明かりが差し込む廊下を半兵衛と二人で歩く。時折警備兵とのすれ違い。茫然と外の景色を見るフリをしながら朱音はこの城の周りはどうなっているのか、標高、空気の濃度などはどうなっているのかこっそり分析する。
いやしかし、この城結構高い所まで階がある。自分は地下に今までいたというのに。
トタトタ階段をのぼりながら言葉をこぼした。
「高いですね」
「今から向かう一番上まで行けば、このあたりの景色なんて一望できる。まぁ君はそういう勘は優れてそうだからさせないけどね」
「………」
「君も彼に会えば、彼の理想の素晴らしさに打ち震えるはずさ。楽しみしているといい」
心なしかその彼の話になった途端半兵衛に機嫌が良くなっているような気がする。
よほどその人を好いて、信頼しているということか。
(想像つかない…)
いったいどんな人なのだ。
*
「いらない、いらないですったら…!」
「もー、またそれかよ!この飴甘くておいしいんだよ、食べてみなよ」
「なにもいりません、たべません…!」
「弱ったなぁ…こんなのずっと続けて、大きくなれないぞー、ろくー」
「……ッ」
*
「慶次」
「おお!__!こんな所で会うとはな!」
「その童は…」
「そっか、お前が会うのは初めてか。紹介するよ、この子『ろく』っていって俺の友達」
「ろく…?」
「ほら、ろく。こっちのは俺の友達の――――――」
「ひでよし、さん………!?」
相手が名乗る前に、半兵衛に紹介される前に、その人の名前を言ったことになる。
今この場には三人いるのだが、誰もが驚愕していた。
「知り合いなのかい…!?秀吉…!」
「秀吉さん、な、なぜ…!」
「――――――…ろく、か………」
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