全ての物事に変化は訪れる。

こうして奇跡的にも今を生きている。生きるのを許されている。
生き続ける以上、また何かを手に入れては失う。そんな事象が終わりなく繰り返されている。


手に入れたものが己にとって何だったのか、手に入れたから成功した、失ったから徒労であったなどという結果は実は大した意味はないのかもしれない。

行いの結果よりも、行動した事実が重要だと思うからだ。

それが己にとって幸だったか不幸だったか。その程度のことだ。けれど、その程度にどうしてこうも振り回されるのだろう。
遠い記憶でしかないのに。己の記憶の中にだけにしか残らず、他の誰にも共有出来ないというのに。


それでも二度と死は選ばない。それが揺るがない意志と誓った。
それが惰生を許さないと決めた、あの日から己に科した制約だ。

そうして今日も、明日も、これからも、いくつもの、眩暈がするほどの選択を乗り越えていくのだろう。


………


全く、手のかかる。
結局どうしようもないやつだ。お前も。

そういう無邪気な疑いを知らぬ目が、何も知らず理想に目を輝かせるその姿が。
妙に悟りだした近頃でさえ、遠い過去に息絶えたあいつを思い出させるのだ。