22.瞬き+紅
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*ある時の話
朱音が音の違和感だけで予測したという佐助の腹の傷はその実、中々に酷いものだった。数も深さも相当だ。
そう俺が言葉を溢せば佐助自身も、
「うーん……まぁ、今まで俺が負ってきた中では、確かにそうかも」
と、素直に認めた。
しかしその続け様に言い放った言葉に思わず俺の手に持っていた包帯の動きが止まった。
「まぁそれでも、あの子のいっちばん初めの時の傷に比べたらこんなの全然軽いけどね」
「………」
思えば、彼女はあの初めて会った時は既に俺や佐助に無意識に警戒をしていたのだろう。
このザックリ容赦なく斬られた腹を見るだけでも目を見張るものがあるというのに、これ以上に深い傷だったとは……。
しかもそんな状態の上で言葉を交わし身体を無理矢理動かしたりしていたのだ。改めて思い返せば無茶苦茶だ。
「どうしたの、旦那。珍しく押し黙っちゃって」
「お前は気合いで治せるな」
「え!?なんでいきなりそうなんの!?せめて包帯は巻かせてってば、旦那!」
「わかっておる。動くなでござる」
「……ったく。自分が手当てしたいなんて言い出すなんてさ、似合わないったら」
佐助は苦笑しながらごちた。
そう、俺は薬師の前に佐助を引きずり出した後、最後に佐助の傷口に包帯を巻く役目を引き受けさせてもらったのだ。
確かにいつもならば冗談ではなく、気合いで治せ佐助!とでも言っていただろう。なのに俺がそうした理由は、佐助が心配だったのか気まぐれだったのかいつも怪我の絶えない彼女を思い出したからなのかは定かではない。
「旦那、ちょいと……キツイっ。ぐぇ」
「何!意外と難しいのだな……」
潰れた蛙のような声を漏らし苦痛を訴えた佐助の為にまた包帯を巻き直す為にほどく。
細かい作業が斯様に難儀な事であったとは…!
「今更気付いたのかよ…俺様、自分で巻けるよ?だから」
「ぐッ…!それは相成らぬ!」
「………(俺様、朱音に対しての心配と重ねられてるのかな)」
あの子は怪我だらけだもんね、と佐助が考えていた事は勿論俺にはわからなかった。
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