コーヒーが冷めないうちに

とある場所にある一軒のカフェ。
そこには年老いた一人のマスターとカウンター席が一つだけと言うおおよそカフェと言うには貧相な内装である。
当然このカフェには人は来ない、だが誰も入っていない筈なのに時々マスター以外の話す声が聞こえる。
本日も一日『誰も居なくて誰かが居るカフェ』を開店致します。

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目次

  • 一杯目:駄目な物は駄目

    ~ 本日のお客様 ~
    ・もう秋だと言うのにまだまだ暑い今日この頃。
    ・その男は薄手の白のカーディガンと粉系の汚れが付いたベースボールキャップを被ってご来店。
    ・カウンター席に座ってキリマンジャロコーヒーを頼んでからマスターにこう言った。

    「マスター、俺の実家であった話なんだけどさ…」

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  • 二杯目:ねぇ、貴方は私の欲しい物をくれる?

    ~ 本日のお客様 ~
    ・10月に入り街はハロウィン商戦に入ったそんな今日この頃。
    ・その女は黒いベストと白いシャツに蝶ネクタイと言う服装でご来店。
    ・カウンター席に座ってアルコール類が無いか聞いたが無いと言われ渋々この店で一番甘いカフェオレを作る様に頼んでからマスターにこう言った。

    「ねぇ、私と少しゲームをしないかしら?」

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  • 三杯目:いつか消える僕へ

    ~ 本日のお客様 ~
    ・古くなって来たコーヒー豆を処分ついでに少し嗜んでいたそんな今日この頃。
    ・その子供はヒーローのプリントされた半袖と縦縞の短パンでご来店。
    ・マスターに手伝って貰いながらカウンター席に座ってギリギリ顔を出しておすすめのコーヒーと頼んでからマスターにこう言った。

    「ねぇねぇマスターさん、聞いて聞いて。」

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  • 四杯目:善悪のバランス

    ~ 本日のお客様 ~
    ・何となく酒類を仕入れようと思い取引先の目星をつけていたそんな今日この頃。
    ・その男は茶褐色の背広と小さめのトランクケースを持ってご来店。
    ・カウンター席に座ってエメラルドマウンテンを一杯頼んでからマスターにこう言った。

    「マスタ~ちょっと聞いてくださいよ~」

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  • 五杯目:きっと無駄じゃない無駄な人生

    ~ 本日のお客様 ~
    ・やや寒くなって来てそろそろ暖房の準備をしようか考えていたそんな今日この頃。
    ・その女はその身体にはやや小さめの白衣を羽織ってご来店。
    ・カウンター席に座ってフラペチーノを一杯頼んでからマスターにこう言った。

    「死後の世界って思ったより手狭なのね、マスター。」

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  • 六杯目:貴方は何を見て来たの?

    ~ 本日のお客様 ~
    ・たまにはあったかいココアが飲みたくなるそんな今日この頃。
    ・その女はしっかりしたスーツを着てネクタイ迄締めてご来店。
    ・カウンター席に座ってコーヒー以外のドリンクを作る様頼んでからマスターにこう言った。

    「私と少しお話しない?」

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