ガチでやってみる
[ある日の朝]
「今日は…暖かくて良い天気ね。」そう言って家の窓から外を眺めているのは「美並日向 」彼女は生まれつき足が不自由なため歩くことすらできないので車いすでの生活を送っている。
「たまには外に出てみたいけれど…私には無理だもの…」そう言って朝ごはんにパンを食べようとキッチンに向かった。
[キッチンにて]
「朝ご飯はパンと牛乳にしましょう。」朝ご飯を持ってリビングに戻った。
[リビングにて]
(むしゃむしゃ…もぐもぐ…)(時計を見る)「あら?もうこんな時間…そろそろあの人が来るわね。」
[30分後]
(ピーンポーン)「今開けるから待ってね。」(ガチャ)「よう、久しぶり!元気にしてたか?」そう言って入ってきたこの人は「美並隆二 」日向の兄で毎日食料品や日用品を日向の代わりに買ってきてくれる。
「昨日と変わらずに元気にやってるわ。」そう言う日向に隆二はこう言った「なあ、今日は外がめっちゃ良い天気だぞ?たまには外に出てみないか?」日向は少し考えてから「私は車いすで生活してるから…あまり外に出ない方がいいと思うのよ。」隆二はこう言った「どうしてだ?折角良い天気なのに…」日向はこう言った「私だって出れるなら出てみたいわよ…」隆二は少し考えて言った「じゃあ、俺が車いすを押してやれば行けるのか?」日向はこう言った「そう言う事じゃなくて…」隆二はこう言った「車いすに乗ってるから良い天気の日に外に出ちゃいけないなんてことないだろ?」そう言って少々強引に外に連れ出そうとする隆二に日向は「はぁ…分かったわ、たまには外に出てみましょうか。」と渋々行くことにした。
[外]
「なあ、最近見つけた良いスポットがあるんだよ。そこ行ってみないか?」そう言う隆二に日向は「どんなところなの?」と聞いた「言ってみてからのお楽しみ!」と返されて日向は少し不安になった。
[少し離れた山のふもと]
「ねぇ、隆二…ここ登るの?」心配そうに言う日向に対して隆二はこう言った「心配すんな、お前に見せるためならなんてことない!」そう言って隆二は舗装された山道を日向を乗せた車いすと共に登り始めた。
[少し進んだところのトンネル入り口]
「ここにトンネルがあるだろ?この向こうだよ。」そう言った隆二に日向は「ここのトンネルに人が入ったところ見たことないんだけどねぇ…」すると隆二は「そりゃそうだ、だってここのトンネルは入ると二度と帰れないって噂のトンネルなんだよ。一番奥まで行くと別世界につながってるって言う人もいるな。」日向は「そんなところに入っても大丈夫なの?」と聞いたところ隆二は「まあ、俺は入ったことあるからなんでそう呼ばれてるか分かったんだよ。だから問題ない。」と良く分からない回答をされてもっと不安になった。
[トンネル内]
スマホの懐中電灯機能で明るくしてトンネル内を進んでいた。すると隆二が「お!光が見えてきたからもうすぐ出口だ!」日向は「本当に大丈夫なのよね?」すると隆二が「問題ない、すぐに理由が分かるさ。」そして出口に着いた日向が見たものは…
[トンネル出口]
「隆二…これ…」隆二はこう言った「そうだ、沢山の桜だよ。それに全部満開だ。」トンネルの先は今の時期ではありえない程に美しく咲く何百もの桜の木々が生い茂る並木道が続いていた。「まあ、はっきり言うと俺の友達の父親がここのトンネルを作ったらしくてさ、理由が誰にも邪魔されずに満開の桜を見たいからって事らしいんだ」それを聞いて日向は「じゃあ、二度と帰れないとか別世界ってのは嘘なのね…良かった…」すると隆二は「嘘じゃないと思うぞ?だってこんなきれいな桜見たら帰りたくないだろうし別世界と言われてもおかしくない程綺麗に咲いてるだろ?仮に嘘だとしても間違いではないかもな。」そう言った隆二に日向は「…ふふっ、ありがとうね…」そう言って笑顔を見せた。
その後二人は家に帰って行った。
[その日から数年後]
「今日は…暖かくて良い天気ね…」日向はそう言って家の窓から外を眺めていた。
「今日は隆二の一周忌ね…」この日の1年前に隆二は事故でこの世を去った…
「いつもこの時間に隆二は家に来てくれたわね…懐かしいわね…」そう思っているとインターホンが鳴った。
「おかしいわね…今日は誰も来ない筈なのに…」日向は誰が来たのか見てみることにした。
「どちら様でしょうか?」するとその人は「美並日向さんですか?」と聞いてきたから「どこかでお会いしましたか?」と聞くと「あの、私は美並隆二の友達の平泉元也 と申します。」隆二の知り合いという事でとりあえず家にあげた「どうぞ、中へ…」そう言う日向に元也は「いえ、日向さんを連れていきたいところがあるのですが…」日向はこう聞いた「どこに行くんですか?」元也はこう言った「隆二との約束を果たすためにどこかは言えません。」日向は「…隆二の知り合いなら…信じてよさそうね…分かりました、連れて行ってくれませんか?」そう言って日向は元也に車いすを押してもらい目的地に向かった。
[少し進んだところのトンネル入り口]
「そろそろお分かりになられた頃かと思います。」そう言った元也に日向はこう言った「…ここのトンネル…もしかして貴方のお父さんが作ったの?」元也はトンネルを進みながらこう言った「そうです、このトンネルは私の父親が作っていました。そして、部外者が誰も入らないように噂を流したのは私です。」日向はこう言った「何故私をここに連れて来たの?」元也はこう言った「隆二さんが生前言ってました…「なぁ、元也…一つ頼みがあるんだ…もし、俺が死んだときは…俺が死んでから一年後の一番桜が綺麗な時に日向をトンネルの向こうに連れて行ってやってくれないか?」それを聞いて私は「良いですけどなんで死ぬ前提なんですか?」そしたら隆二さんは「俺は前に見せてやったことがあるんだ…その時の日向はいい笑顔だった…だから俺が死んでから暗い顔になってたりしたら困るだろ?だから…俺が死んで一年後の一番桜が綺麗な時に見せてやってくれ。」そう言ってました…その約束を守るために私は日向さんをここに連れてきました。」そう言われて日向はトンネルの出口に着いてからこう言った「…ふふっ、ありがとうね…」
トンネルの先は今の時期ではありえない程に美しく咲く何百もの桜の木々が生い茂る並木道が続いていた…
「あの春の日のように」
END
「今日は…暖かくて良い天気ね。」そう言って家の窓から外を眺めているのは「
「たまには外に出てみたいけれど…私には無理だもの…」そう言って朝ごはんにパンを食べようとキッチンに向かった。
[キッチンにて]
「朝ご飯はパンと牛乳にしましょう。」朝ご飯を持ってリビングに戻った。
[リビングにて]
(むしゃむしゃ…もぐもぐ…)(時計を見る)「あら?もうこんな時間…そろそろあの人が来るわね。」
[30分後]
(ピーンポーン)「今開けるから待ってね。」(ガチャ)「よう、久しぶり!元気にしてたか?」そう言って入ってきたこの人は「
「昨日と変わらずに元気にやってるわ。」そう言う日向に隆二はこう言った「なあ、今日は外がめっちゃ良い天気だぞ?たまには外に出てみないか?」日向は少し考えてから「私は車いすで生活してるから…あまり外に出ない方がいいと思うのよ。」隆二はこう言った「どうしてだ?折角良い天気なのに…」日向はこう言った「私だって出れるなら出てみたいわよ…」隆二は少し考えて言った「じゃあ、俺が車いすを押してやれば行けるのか?」日向はこう言った「そう言う事じゃなくて…」隆二はこう言った「車いすに乗ってるから良い天気の日に外に出ちゃいけないなんてことないだろ?」そう言って少々強引に外に連れ出そうとする隆二に日向は「はぁ…分かったわ、たまには外に出てみましょうか。」と渋々行くことにした。
[外]
「なあ、最近見つけた良いスポットがあるんだよ。そこ行ってみないか?」そう言う隆二に日向は「どんなところなの?」と聞いた「言ってみてからのお楽しみ!」と返されて日向は少し不安になった。
[少し離れた山のふもと]
「ねぇ、隆二…ここ登るの?」心配そうに言う日向に対して隆二はこう言った「心配すんな、お前に見せるためならなんてことない!」そう言って隆二は舗装された山道を日向を乗せた車いすと共に登り始めた。
[少し進んだところのトンネル入り口]
「ここにトンネルがあるだろ?この向こうだよ。」そう言った隆二に日向は「ここのトンネルに人が入ったところ見たことないんだけどねぇ…」すると隆二は「そりゃそうだ、だってここのトンネルは入ると二度と帰れないって噂のトンネルなんだよ。一番奥まで行くと別世界につながってるって言う人もいるな。」日向は「そんなところに入っても大丈夫なの?」と聞いたところ隆二は「まあ、俺は入ったことあるからなんでそう呼ばれてるか分かったんだよ。だから問題ない。」と良く分からない回答をされてもっと不安になった。
[トンネル内]
スマホの懐中電灯機能で明るくしてトンネル内を進んでいた。すると隆二が「お!光が見えてきたからもうすぐ出口だ!」日向は「本当に大丈夫なのよね?」すると隆二が「問題ない、すぐに理由が分かるさ。」そして出口に着いた日向が見たものは…
[トンネル出口]
「隆二…これ…」隆二はこう言った「そうだ、沢山の桜だよ。それに全部満開だ。」トンネルの先は今の時期ではありえない程に美しく咲く何百もの桜の木々が生い茂る並木道が続いていた。「まあ、はっきり言うと俺の友達の父親がここのトンネルを作ったらしくてさ、理由が誰にも邪魔されずに満開の桜を見たいからって事らしいんだ」それを聞いて日向は「じゃあ、二度と帰れないとか別世界ってのは嘘なのね…良かった…」すると隆二は「嘘じゃないと思うぞ?だってこんなきれいな桜見たら帰りたくないだろうし別世界と言われてもおかしくない程綺麗に咲いてるだろ?仮に嘘だとしても間違いではないかもな。」そう言った隆二に日向は「…ふふっ、ありがとうね…」そう言って笑顔を見せた。
その後二人は家に帰って行った。
[その日から数年後]
「今日は…暖かくて良い天気ね…」日向はそう言って家の窓から外を眺めていた。
「今日は隆二の一周忌ね…」この日の1年前に隆二は事故でこの世を去った…
「いつもこの時間に隆二は家に来てくれたわね…懐かしいわね…」そう思っているとインターホンが鳴った。
「おかしいわね…今日は誰も来ない筈なのに…」日向は誰が来たのか見てみることにした。
「どちら様でしょうか?」するとその人は「美並日向さんですか?」と聞いてきたから「どこかでお会いしましたか?」と聞くと「あの、私は美並隆二の友達の
[少し進んだところのトンネル入り口]
「そろそろお分かりになられた頃かと思います。」そう言った元也に日向はこう言った「…ここのトンネル…もしかして貴方のお父さんが作ったの?」元也はトンネルを進みながらこう言った「そうです、このトンネルは私の父親が作っていました。そして、部外者が誰も入らないように噂を流したのは私です。」日向はこう言った「何故私をここに連れて来たの?」元也はこう言った「隆二さんが生前言ってました…「なぁ、元也…一つ頼みがあるんだ…もし、俺が死んだときは…俺が死んでから一年後の一番桜が綺麗な時に日向をトンネルの向こうに連れて行ってやってくれないか?」それを聞いて私は「良いですけどなんで死ぬ前提なんですか?」そしたら隆二さんは「俺は前に見せてやったことがあるんだ…その時の日向はいい笑顔だった…だから俺が死んでから暗い顔になってたりしたら困るだろ?だから…俺が死んで一年後の一番桜が綺麗な時に見せてやってくれ。」そう言ってました…その約束を守るために私は日向さんをここに連れてきました。」そう言われて日向はトンネルの出口に着いてからこう言った「…ふふっ、ありがとうね…」
トンネルの先は今の時期ではありえない程に美しく咲く何百もの桜の木々が生い茂る並木道が続いていた…
「あの春の日のように」
END