ガチでやってみる

「はーい、皆さんおはようございます。」そう言って3-Dの教室に入ってきたのは担任教師である「源一香みなもといちか」今年になって就任した新しい教師だ。
3-Dは他のクラスと違って問題児が多く先生たちも手を焼いているクラスだった、そこで一香は「私の力で3-Dの生徒たちをしっかりとした生徒にして見せます!」と言って自ら3-Dの担任を買って出た。
「それでは、出席番号7番の平井ひらい君。国語の教科書の22ページの3行目を読んでくれるかな?」一香がそう言うと「めんどくせぇ~各自で勝手に読んでればいいじゃん?」そう言った平井に便乗するように他の生徒も「だよな~無理に俺たちが読んだって意味ないよな?」「大人って何でもかんでも人任せにするから先生が楽したいから私たちに読ませるんだよ。(ゲラゲラ)」「うっわ~先生本当に最低だわ~(ゲラゲラ)」と言った感じですぐ騒ぎ始める。
「分かりました、先生が読みますからそれを目で追うだけでいいです。」そう言って一香は国語の教科書の22ページの3行目を読んだ「では、作者がここの文を書いていて伝えたかったことが何かわかる人はいますか?」すると畠山はたけやまが手を挙げた「はい、畠山君。」畠山は言った「「何かを伝えたいんだけど特にいいもの思いつかないからそれっぽく書いとけ」です!」そう答えた畠山に他の生徒は「アハハ!それはないっしょ!」「無理に大喜利っぽくやらんでもええんやで?(ゲラゲラ)」と言ってまともな答えも帰って来ない。
「はい!皆さん静かに!」一香がそう言うと「あ?うるさいんだよ!ゴミ教師!」「面白いことも言えないババアは入ってくんじゃねぇよ!」「やめてあげなよ!いくら先生が人間の屑同然だからってそんな風に言わないでも…」「いや、お前が一番酷いやないか~い!(ゲラゲラ)」この状況の中でも一香はなんとか頑張ろうと言う意思をしっかり持っていた「私が何とかしないと…!」そう思いながら昼飯の時間まで何とか授業を続けた。
「やっと昼飯になった…」そう言ってお弁当を取り出すと「あっと!手が滑った!」そう言って生徒の一人が明らかに教科書をお弁当に向けて叩きつけた、それによりお弁当は飛び散ってしまった。
「あ~ごめんね先生?わざとじゃないんだ~www」そう言っていたが明らかに叩きつけていたので一香は「今のはわざとでしょ?」そう聞くと「はあ?わざとじゃねぇって言ってんだろ!」そう言ってお弁当に叩きつけた教科書で一香のことを力いっぱいぶん殴った。
「痛っ!な、なにするの!」そう言うと「うっせぇんだよ!ゴミが!」そう言ってさらに複数回殴りつけてきた。
その後、先生は一度保健室で治療を受けてその時の生徒は他の先生に何があったのか聞かれることになった。

[保健室]

「大丈夫?無理しない方がいいわよ?」そう言っていたのは保健室の「哀川美弥あいかわみや」一香よりも2年先輩の教師である。
「無理してるわけではないんですが…結構予測できなくて…」そう言った一香に美弥は「まあ、わざとかどうか確認しただけで教科書で複数回殴打とか予想できないからね…一香さんも大変ね…」そう言って治療を済ませた美弥は一香にこういった「一香さんはどうやってあの教室の子たちを改善するつもりなの?」それを聞かれた一香は「あの子たちの信頼を得られればきっといけるんだと思います、だからいい人であればきっとできると思ったんです。」それを聞いて美弥は言った「そうなのね…まあ、頑張って見るしかないわね。」その後一香は教室を後にした。

[廊下]

「一香さん?ちょっとお話があります。」そう言ったのはこの学校の校長先生である斎藤充さいとうみつるだった。
「なんでしょうか?」そう聞くと「先ほどの生徒ですが…どうやら手が滑ってお弁当に教科書が落ちただけなのに一香さんがそれを自分のせいにして悪者扱いしていたって言ってるんですよ。」それを聞いて「え?私は「今のはわざとでしょ?」って一度聞いただけで悪者扱いしたりはしてません。」それを聞いて充は言った「ですがね、一香さん。これと同じ証言が3-Dとその隣の3-Cの生徒からも出ているんですよ。」それを聞いて一香は「え!どういう事なんですか!?」そして充はこう言った「流石に教科書で殴るのはダメですが、先生だって悪者扱いしていたんですから先生側にも悪いところはありますよ。」そう言われて「私は何もしていません!信じてください!」そう言ったが「ほかにも同じ証言が出れば信用しますが、その場にいた全員が先生が悪者扱いしていたとの証言をだしているのです。この件については後日職員会議をして判断いたします。」そう言って充は校長室に帰ってしまった。

[3-D教室]

「お!先生が来たぞ!どうでした先生?校長からいい話聞けましたか?(ゲラゲラ)」一香は言った「私が悪者扱いしていたってどういうことなの?」そう聞くと畠山が言った「いや~このままだとあいつが悪くなっちゃうからどうにかして罪を減らそうとしてさ~みんなに協力してもらったんだよね~」それを聞いて一香は「3-Cはどうやったの?」そう聞くと「あいつらには金払って嘘の証言言ってもらうように頼んだんだよ、高かったんだからな?しっかり効果は出たけどね!これで先生は学校内での評判がた落ち!教員としてやっていけないだろうね!ざまぁみろ!」それを聞いて一香は「私だって頑張っていたのに…なんでこんな事されなきゃいけないの…?」その時に一香の中で何かが変わっていった。

[自宅マンション]

「やっと帰れた…まだ傷が痛む…」そう言って一香は帰ってすぐに夜ごはんを作った。
「(もぐもぐ)私教員向いてないのかなぁ…」そう思いながら一香はふと窓の外をのぞいた「あ、今日は満月なんだ…」ベランダに出て月を眺める一香は思った「私には…やっぱり無理だったのかな…あの生徒たちを改善する事なんで私にはできなかったのかもね…」そう思っているとどこからか声が聞こえた「やめればいいと思うよ?」それを聞いて振り返るがそこには誰もいなかった…でも、一つだけ違うのが「こんなところに脚立なんてあったかなぁ…」ベランダの隅に脚立が置いてあった「何でここに脚立なんて…」その時、声が聞こえた「あなたはいい人でありたいんでしょ?そしてみんなから尊敬されたいんでしょ?」それを聞いて一香は「何…これ…誰の声なの…?」謎の声は言った「でも、いい人になれなければ尊敬もされなかった。」一香は「嫌!違う!まだ出来てないだけ!きっといつかは…!」謎の声は言った「いつかっていつの事?具体的には何日ぐらいなの?」そう聞かれて一香は答えられなかった「………」謎の声は言った「君には無理なんだよ、もうやめて楽になった方がいいよ?」それを聞いて一香は「…アハ…そうか…私には無理だったんだね…」そう言って脚立に手を伸ばしてベランダの柵の横に置いた。
一香はこう言った「私はどんな状況でも前に進もうと頑張ってきた、そして状況をよくするために努力した…でも、それは「無意味」で先に進めるような「道はありません」でした…終わり、終わり!終わり終わり終わり終わり終わり!ここから一歩でも進めば…すべて「終わる」………それでも…「それでも私は進みます」…ありがとうございました…「進みます」」

翌日、彼女は遺体となって発見されました、家のマンションのベランダから飛び降りたことによる落下死でした。
そして、彼女の死体は落ちた場所のせいなのか両足が付け根のあたりから断裂していました。

「彼女はどんな状況でも最後まで前に進み続けましたが…ついに歩みを止めてしまったようです。」
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