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GAMEMODE:REALPLAY ~NEW GAME~

ムジ婆の案内で村から離れた森の中を進む事数十分、突如ムジ婆が足を止めた。
そしてムジ婆は『ここをまーっ直ぐ行くと泉があるんじゃ、その畔にエウロパちゃんは居るから気を付けて行っておいで。』と言ってきた道を引き返して行った。

ムーン「ここからは僕達だけですね…緊張する…」

クレー「大丈夫!私達が付いてるから!ね!」

ヒット「だがまぁ覚悟はしておくべきだな、メックの二の舞になるかも知れん。」

シェル「やめてあげてよ…」

レイス「まぁまぁ、ムーン君がこれなら多分話は通じると思うし何とかするしかないですね。」

そしてしばらく進むとムジ婆の言う通り泉があってそこに二つの切り株があった。
一つには小さな鞄と女児向けの衣服が置いてあってもう一方にはグレイスが座っていた。

グレイス「あの…エウロパさん?エウロパさん!」

エウロパ「キャッキャ!ねぇ、お姉ちゃん!水浴び楽しいよ!」

グレイス「うーん…隔離場所としては完璧なんですがこれじゃ話にならないですね…」(頭を抱える)

ムーン「エウロパ!?ちょ、何してるの!?」

エウロパ「あっ!お兄ちゃんだ!久しぶりー!」(駆け寄って来る)

ムーン「うわーっ!待って待ってまず体拭いて!」

エウロパ「拭く物無い…」

グレイス「これ使ってください(バスタオルを渡す)隔離場所としてここを使う予定だったので持って来たんですが思ったより消耗が早いですね…」

エウロパ「んしょんしょ…出来た!」

ムーン「じゃあ服着て。」

エウロパ「よいしょよいしょ…出来た!」

ムーン「よし、とりあえずはこれでいいかな?」

ムーン「それで…グレイスさん、エウロパと何を話してたんですか?」

グレイス「まだ何も話せてません、とりあえず他の村人が居ると彼女の素性を知って危険が及ぶかもしれないので先に隔離場所に移動したんですがもうそこから遊びに遊び始めて…私も流石に手の付けようがないですね…」

グレイス「所で、なんでムーンさんはエウロパさんをそんなに上手く扱えるんですか?」

エウロパ「だってお兄ちゃんだもんね!」

ムーン「そうです、僕はエウロパの兄なんですからエウロパに用事があるなら僕にもちゃんと話して貰わないと。」

グレイス「なるほど………分かりました、じゃあこうしましょう。」

グレイス「貴方達はエウロパから神器を取り上げてください、少なくとも彼女が持って居ると私が苦労します。」

グレイス「立場上あまりこう言う事は言いたくないですが正直子供は嫌いなんですよ…だから彼女が神器を失う分にはもう良いです、欲しかったらそのまま持って行ってください。」

グレイス「私はもうこの仕事に疲れたのでこの件が終わり次第委員会を退会します。」

ムーン「えっ…?良いんですか…?」

グレイス「もう良いです、何一つ上手く行かない…私じゃ無理ですよもう…」

エウロパ「お姉ちゃんなんだか辛そう…私のせい…?」

ムーン「違うよ!エウロパは悪くないよ!悪いのはエウロパが持ってる神器の方だよ。」

エウロパ「神器…ってこれ?」(ネックレスを首から外した)

そのネックレスは中央に大きくて吸い込まれる様な青色の宝石が入った高価なネックレスに見えた。
だが、その分今までの神器に比べて少し違和感を感じた。
それはネックレスは綺麗過ぎると言う事だ、今までの神器はその持ち主の全てである事が多かった。
しかし今回は前の所持者から受け継いだ物、つまりこれが何の思い出があるのかさっぱり分からないのである。

グレイス「そのネックレス…綺麗でしょう?綺麗過ぎると思いませんか?」

シェル「確かに神器にしては異色だが…」

グレイス「実はですね…それエウロパさんが洗っちゃったんですよ…」

ムーン「洗った!?」

エウロパ「だって…なんか土っぽい汚れが沢山ついてて汚かったし…」

グレイス「その神器は元々とある王族の末裔の方が所有者だったんです…」

グレイスは話し始めた。



今から数百年前、ある時代にかなりの勢力を誇ったとある国がありました。
その国の名前は『ボルドズ』一部の人には『きじんの集う国』と言った方が通じるでしょうね。
他の国がこの国と戦争して勝てた事は一度もない程の圧倒的力を誇ったこの国、何故そこまでの力があったかと言うとそれは国民性にあります。
なんとその国は二つ名の通り「鬼神の如き戦闘狂だけでなく圧倒的財力を持った貴人、更には文字通り奇想天外な発想と発明で人々の生活を支えた奇人」と言った特筆した特徴のある人物が多く集まっていました。
それによりどの様な手段を用いても彼らの国に勝つ事は難しく彼らに目を付けられない様にと他の国々は日々を怯えて過ごしていました。
そしてその国の国王である『アズドン・シュプリンガー王』の娘に当たる人物がこのネックレスの持ち主である『メリウス・シュプリンガー』です。
彼女は王である父親がくれたこのネックレスを何よりも大切にして常に肌身離さず持ち歩き、いずれそれは宝物としての力を得ました。
しかし、それと同じ頃無敵とも思えたこの国に一つの問題が起きました…それは『国民の反逆』です。
国民たちは皆『きじん』と言うだけあって要望や思想理念が捻じ曲がった人物が多かったのです、ですが王自身は特にその様な事も無くまともな人間であるためやはり民を理解できずに居ました。
そしてある日、一人の奇人の発想により一日にして国家転覆が図られました。
その結果王は民の前で首を斬られその首でサッカーまでされるという苦しみを得て王妃も口に出すのも憚られる様な処刑を受けました…
しかし娘だけは宝物の力を使いなんとか逃げ延びる事には成功したのですがその時の経験がトラウマとなり精神が脆くなり人の上に立つのを極度に怖がるようになりました。
だから彼女はその後も宝物のネックレスを付けたまま底辺の農民として働いていました、そしてその生活を続ける中で次第に民の生活と苦しみを知り自分の中の考えが段々と変わって行きました。
その過程で宝物に更なる力が芽生え哀しみの神器として人々の哀しみを共有して前に進む手ほどきをして苦しみを知らぬ者を哀れみ教え正すまさに『聖女』の様な事をしていたという訳です。



グレイス「………これがその神器の思い出です、ですがその経験全てを水で洗い流した事により神器は今までの力を全て失ってしまったんです。」

グレイス「これじゃあただのアクセサリーと変わらないんですよ。」

ムーン「ちょ、ちょっと待ってください!もしその話が本当なら何故僕の妹が選ばれたんですか?王族とのかかわりなんかない筈なんですけど…」

グレイス「この場所がとある魔法使いによって作られたのは知っていますよね?」

ムーン「はい。」

グレイス「その魔法使いがかけた魔法は結界等ではありません、正しくは『一定の範囲を別な世界と繋ぐ魔法』なんです。」

グレイス「早い話、ムーンさんもこの場所も全てこの世の物じゃないんです。」

ムーン「そうだったんですか!?でもそれじゃ実験の話とかは…」

グレイス「えぇ、勿論してますよ?ここ以外の別の世界でも同じ実験がされてるんです。」

シェル「そんな規模のデカい話だったのか!?ここ!?」

グレイス「極めつけはその魔法使いの婚約者が先程述べた王の娘、結婚したので名前は「メリウス・ルイザート」になります。」

グレイス「彼女は生前の魔法使いにこの結界の事を聞いていて彼の死後色々試しているうちにいつもの様に生き物や石などを落とし環境を少し変えていく時に何かがネックレスの紐に引っかかり、ちぎれた結果ネックレスを落としてしまったのです。」

グレイス「実際ネックレスの紐にはちぎれた跡がありますが私がある程度修復しました、そしてもう一つこの落とした場所と言うのがこの地でそれを彼女が拾った…ただそれだけの話です。」

グレイス「それからそのネックレスが無くなった事により彼女が今まで浄化したと思っていた全ての苦しみが一気に押し寄せ彼女は耐えきれず自死してしまった…」

グレイス「この神器はあくまで『哀しみを理解し向き合う為の物』であり『哀しみを消し去る』事は出来ません、彼女は今まで沢山の民からの哀しみを理解し向き合う為の助けになろうと努力したのですが結局彼女本人の苦しみを理解し向き合ってくれる人物は一人として現れなかった様ですね…」

グレイス「だからこそこの神器は『哀しみの神器』と呼ばれているんです。」

エウロパ「お姉ちゃん私…どうしたらいいの…?」

グレイス「………さぁ…どうすれば良いんでしょうかね…」

ムーン「………グレイスさん、これつけて貰えます…?」

グレイス「え?良いですけど…(ネックレスを付ける)これが何か意味を…ん?」

グレイスの首にネックレスをかけた直後一瞬にして青い宝石が真っ黒に染まった。

グレイス「黒く…染まった…?」

ムーン「この神器は最初は何も無かったのに自分が苦しい思いをするにつれて段々力を付けてその後その力を使って相手の哀しみを減らす事が出来た、でも神器が無くなると即座に身体に悪影響が出る…つまりこの神器は『使用者の哀しみ』に応じて強くなる…と、考えられませんか?」

グレイス「なるほど…そう考えたら今の私は全てが上手く行かない事に対する哀しみでここまで黒く…」

ムーン「一度それをエウロパにつけて貰えますか?一度しっかり確認をしたいんです。」

グレイス「分かりました…」(エウロパにつける)

エウロパ「ん?青色になった!」(グレイスに戻す)

グレイス「やはり黒色に…元々泥汚れが酷く色が黒く見えただけだったのですか…」

ムーン「グレイスさん…ごめんなさい!」(グレイスにタックルする)

グレイス「えっ!?うわっ!?」(泉に落ちる)

ムーン「うっ!」(泉に落ちる)

シェル「大丈夫か!?」(二人を助けに泉に入る)

ムーン「大丈夫です…」

グレイス「ちょっといきなり何するんですか!私服の替えなんて持ってきてないんですよ!?」(宝石が更に濁る)

グレイス「しかもメモ帳も濡れてこれじゃあすぐに変える事も出来ない…貴方達と居るといつも酷い目にばかり遭いますね!」(更に濃く濁る)

その瞬間ネックレスについていた宝石が黒い光を放った

シェル「うわっ!?なんだ今の!?」

グレイス「こ、これは…な、何故でしょうさっきまであんなに腹が立っていた筈なのに急に心が楽に…」

ムーン「やっぱりそうなんですよ!この宝石を最大まで濁らせると神器の力が戻るんですよ!」

グレイス「なるほど?私を泉に突き落としたのは負の感情を引きだす為と?納得…はいきませんが…」

ムーン「でもこれで神器は戻りましたね。」

グレイス「後はどの様に彼女から取り上げるか…」

ムーン「ねぇエウロパ?」

エウロパ「なーに?」

ムーン「あのネックレスと兎餅どっちが欲しい?」

エウロパ「兎餅!」

ムーン「じゃあ兎餅買ってあげるからネックレスあそこのお姉ちゃんが貰っても良い?」

エウロパ「いいよ!」

グレイスは哀しみの神器を手に入れた!
更に正当な継承の手順を踏んだ為フォルムチェンジ「アーティファクト・オブ・ソロウ」を覚えた!
哀しみの神器で使う技を多数覚えた!

グレイス「嘘…私の努力の意味って…」

ムーン「その感情が既に能力強化になるんですもんね…」

シェル「そういやさ、言うか悩んでたんだけどアレ話しといた方が良いんじゃない?」

レイス「あぁ、グレイスさんにウィンストンさんから伝言だってさ。」

グレイス「私にですか?」

レイス「何でも『ウィンストンより、花蘇芳を渡したいから帰って来い』ですって。」

グレイス「何を渡したいですって!?これは一刻も早く帰らないと………ってそうだ!?メモ帳が使えない…」

???「はぁ…心配だから身に来たらこれだもん…」

グレイス「その声は…ミシェル!?」

ミシェル「やっほー!たまには仕事しに来たよー!………遅かった?」

シェル「大分遅いし…誰?」

グレイス「おとぼけぺたんぬ。」

一同「お前かぁ!?」

ミシェル「ぺたんぬじゃないもん!おとぼけではあるけど…」

エウロパ「すごーい!お胸お揃い!」

ムーン「こらエウロパ!」

ミシェル「ぐはっ!?未発達と同じにされたっ!?」

グレイス「そんな茶番より今神器保全委員会はどうなってますか!?」

ミシェル「それを見せる為に来たんだよ?私がそこまで連れてってあげるね~」(メモ帳を取り出す)

ミシェル「使用許可…っと(ひらがなで書いた)メダルが…これか。」

ミシェルはメガホンの柄のコインを手に持った、すると両手にメガホンが現れた。

ミシェル「はいはーい!みんな私の後ろに並んで~あ、エウロパちゃんは離れてね?一人で帰れる?大丈夫?」

エウロパ「うん!私一人で帰れるもん!」

ムーン「またしばらく会えないかもしれないけど怪我には気を付けてね?」

エウロパ「うん!」

ミシェル「じゃあ行くから静かにね~(メガホンを口に当てる)神器保全委員会のビルに行きたいなーーーーー!」(メガホン越しに大声を出す)

すると目の前に穴が発生してその奥にはビルが見える、どうやらこれはビルの前に通じるワープホールの様だ。

ミシェル「さ!皆行くぞー!」

一行はミシェルの作ったワープホールで神器保全委員会のビルに向かった………



続く
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