第2章 九州の大一揆編 炎の魔人と聖火の神
ツクモは島原のトワ・パライソの総本山から、肥後の佐々成政の居城に戻っていた。そして、ツクモを一番慕う、珠姫に東南アジアから輸入されたアロマオイルを自室で塗って貰っていた。
「気持ち良かねー♪美容にも効果的なこの油を買い占めて、信者からの納税のお返しにするとーね」
ツクモのご満悦な表情に、珠姫は嬉しそうに話した。
「ツクモ様に喜んで頂き、とても光栄ですわ。この油は外国と貿易をしていた、さるお大名が教えてくださったのですよ」
珠姫はツクモをくすぐりながらオイルを背中に塗ると、彼は「ヒャン!!」と体をビクッとさせた。しばらく二人で楽しい時間を過ごしていると、成政が強く襖を開けながら彼に怒鳴った。
「おい!!ツクモ、検地を急いで行えと言ったが、各地で集められた石高がバラバラではないか!!これも民達がお主のツクモ納税とやらにも寄付しているからか、秀吉様が定めた石高の目安を下回っておるのだぞ!!」
成政が城中に響くほどの怒鳴り声を浴びさせたが、彼は全く動じること無く、珠姫にオイルを塗るのを止めさせ、成政の目の前に立ち返答した。
「余と成政殿の計画通りで良かとーね。豊臣に反する大名や民達が我々に協力し、信者も増えとるとね」
成政はツクモの企みに戸惑っていた。これでは秀吉や彼の家臣がトワ・パライソに攻めてくる・・・。そうなれば、ツクモと協力関係の成政も反逆者と見做され処罰される。成政は自分の置かれている状況に焦りを感じていた。
「ツクモ!!俺は秀吉様に仕えているのだぞ!!お前は俺と一緒に九州を楽園のように良い土地にしようと志したのではなかったのか!!また、九州で乱を起こしたいのか!!」
成政はツクモに掴みかかろうとしたが、ツクモは軽く避け、彼の腕を強く引っ張り体を引き寄せた。そして、顔を近づけ、彼の本心を見透かしているかのように優しく囁いた。
「果たして成政殿は、心底秀吉サマに忠誠を誓っているのかね?本当は主君の事を恨んでいるのではないのかね?」
成政は彼の言葉にハッとし何も言えなくなった。自分は信長様と柴田勝家殿を深く慕っていた。しかし秀吉は二人の志を踏みにじり、自分が天下を取ろうとしている・・・。
成政の顔は険しくなり、秀吉に対する深い憎悪が蘇った。彼の顔を見たツクモは再び耳元で囁き励ました。
「成政殿に不利益なことはさせんとよ。お主は余の言うとおりにすれば良かと。そうすれば、成政殿はトワ・パライソと共に、日ノ本に君臨出来るとね」
ツクモは珠姫から生地が薄い浴衣を受け取り優雅に着、彼女と部屋を出て行った。成政はその場で立ちつくしていた。
「成政様をいとも簡単に言いくるめるとは、流石はわたくしの愛するツクモ様ですわ」
珠姫が回廊でツクモを褒めていると、彼は不敵に笑っていた。彼女はそれはそうと・・と急に真剣な話をした。
「ここ最近、豊臣からの密偵なのか、わたくし達の邪魔をする輩が現れましたわ。美羅も森精霊の忍びと眼鏡の男に別府の支配を阻止されたと・・・。わたくしも、可笑しな男神官と巫女と神父と対峙したのですが・・・」
珠姫は、彼らは自分たちの脅威にならないかと心配していたが、ツクモは彼女の体を優しく抱き、ゆっくりと口付けをした。
「心配は無用たい。余には誰もがひれ伏す程の絶対の力を持っとるけん。どんな敵をも撃退できるとね。例えそれが聖なる力を持つ勇士であろうとも」
ツクモは珠姫の紫水晶のような神秘的な瞳をじっと見つめ誓った。彼女は彼の炎のような強い瞳に引き寄せられるように「そうですわね」と強く頷いた。
「余はこれから、つるぎと紅史郎君の居る所へ向かうたい。珠姫は美羅と一緒に、信者達を手なずけるとね。言うとった邪魔者は放っといても良かとーね」
ツクモが珠姫にのんびりとした口調で命ずると、彼女は「承知いたしました」と頷いた。
(ツクモ様、わたくしは初めて出会ってから今に至るまで、ずっと貴方を愛しています。わたくしは一生あなたに尽くします)
珠姫は少女時代にまだ幼い妹二人と貧しい日々を送っていた。その時に今と姿が変わらないツクモに救われた事を懐かしみながら思い出した。
『こんなに身も心も美しいのに、こんな所で朽ち果てるのはもったいないとね。余が君たちを原石から煌びやかな宝石へと大変身させるとね』
三姉妹の貧困から救ってくれたツクモの優しい言葉が今でも耳に残り続け、感謝と愛情で心が満たされていた。
「気持ち良かねー♪美容にも効果的なこの油を買い占めて、信者からの納税のお返しにするとーね」
ツクモのご満悦な表情に、珠姫は嬉しそうに話した。
「ツクモ様に喜んで頂き、とても光栄ですわ。この油は外国と貿易をしていた、さるお大名が教えてくださったのですよ」
珠姫はツクモをくすぐりながらオイルを背中に塗ると、彼は「ヒャン!!」と体をビクッとさせた。しばらく二人で楽しい時間を過ごしていると、成政が強く襖を開けながら彼に怒鳴った。
「おい!!ツクモ、検地を急いで行えと言ったが、各地で集められた石高がバラバラではないか!!これも民達がお主のツクモ納税とやらにも寄付しているからか、秀吉様が定めた石高の目安を下回っておるのだぞ!!」
成政が城中に響くほどの怒鳴り声を浴びさせたが、彼は全く動じること無く、珠姫にオイルを塗るのを止めさせ、成政の目の前に立ち返答した。
「余と成政殿の計画通りで良かとーね。豊臣に反する大名や民達が我々に協力し、信者も増えとるとね」
成政はツクモの企みに戸惑っていた。これでは秀吉や彼の家臣がトワ・パライソに攻めてくる・・・。そうなれば、ツクモと協力関係の成政も反逆者と見做され処罰される。成政は自分の置かれている状況に焦りを感じていた。
「ツクモ!!俺は秀吉様に仕えているのだぞ!!お前は俺と一緒に九州を楽園のように良い土地にしようと志したのではなかったのか!!また、九州で乱を起こしたいのか!!」
成政はツクモに掴みかかろうとしたが、ツクモは軽く避け、彼の腕を強く引っ張り体を引き寄せた。そして、顔を近づけ、彼の本心を見透かしているかのように優しく囁いた。
「果たして成政殿は、心底秀吉サマに忠誠を誓っているのかね?本当は主君の事を恨んでいるのではないのかね?」
成政は彼の言葉にハッとし何も言えなくなった。自分は信長様と柴田勝家殿を深く慕っていた。しかし秀吉は二人の志を踏みにじり、自分が天下を取ろうとしている・・・。
成政の顔は険しくなり、秀吉に対する深い憎悪が蘇った。彼の顔を見たツクモは再び耳元で囁き励ました。
「成政殿に不利益なことはさせんとよ。お主は余の言うとおりにすれば良かと。そうすれば、成政殿はトワ・パライソと共に、日ノ本に君臨出来るとね」
ツクモは珠姫から生地が薄い浴衣を受け取り優雅に着、彼女と部屋を出て行った。成政はその場で立ちつくしていた。
「成政様をいとも簡単に言いくるめるとは、流石はわたくしの愛するツクモ様ですわ」
珠姫が回廊でツクモを褒めていると、彼は不敵に笑っていた。彼女はそれはそうと・・と急に真剣な話をした。
「ここ最近、豊臣からの密偵なのか、わたくし達の邪魔をする輩が現れましたわ。美羅も森精霊の忍びと眼鏡の男に別府の支配を阻止されたと・・・。わたくしも、可笑しな男神官と巫女と神父と対峙したのですが・・・」
珠姫は、彼らは自分たちの脅威にならないかと心配していたが、ツクモは彼女の体を優しく抱き、ゆっくりと口付けをした。
「心配は無用たい。余には誰もがひれ伏す程の絶対の力を持っとるけん。どんな敵をも撃退できるとね。例えそれが聖なる力を持つ勇士であろうとも」
ツクモは珠姫の紫水晶のような神秘的な瞳をじっと見つめ誓った。彼女は彼の炎のような強い瞳に引き寄せられるように「そうですわね」と強く頷いた。
「余はこれから、つるぎと紅史郎君の居る所へ向かうたい。珠姫は美羅と一緒に、信者達を手なずけるとね。言うとった邪魔者は放っといても良かとーね」
ツクモが珠姫にのんびりとした口調で命ずると、彼女は「承知いたしました」と頷いた。
(ツクモ様、わたくしは初めて出会ってから今に至るまで、ずっと貴方を愛しています。わたくしは一生あなたに尽くします)
珠姫は少女時代にまだ幼い妹二人と貧しい日々を送っていた。その時に今と姿が変わらないツクモに救われた事を懐かしみながら思い出した。
『こんなに身も心も美しいのに、こんな所で朽ち果てるのはもったいないとね。余が君たちを原石から煌びやかな宝石へと大変身させるとね』
三姉妹の貧困から救ってくれたツクモの優しい言葉が今でも耳に残り続け、感謝と愛情で心が満たされていた。