第1章 異説 武田の残党狩り編 桃源郷に集う勇士
湘は桜龍の腹部を応急処置し、モトスは懸命に信康の動きを止めていた。
「信康!!厳美の術に操られてはならぬ!!お前には帰りを待っている者が居る!!」
「モトス・・・今まですまなかった・・・僕は梅雪に恩を返すために悪事に手を染めた。その梅雪にも謀反を起こした。野心と欲の塊である僕は・・・双葉と玄杜を愛する資格など・・・無い!!」
信康の心は正気に戻りつつあるが、身体は完全に厳美に支配され、モトスに攻撃を繰り出し続けている。湘は癒しの水の力で桜龍の出血を止めながら信康に強く言った。
「信康!!玄杜様は・・・ずっと君の名を呼び続けていたのだぞ!!双葉殿も忘れてしまった君の事を思い出しつつある。君は、双葉殿と大切な時間を過ごさなかったのか!!」
信康は湘の深い言葉に涙を流しもがき苦しんでいた。すると桜龍は湘に真剣な表情で告げた。
「湘さん・・・もし、俺の命が危なくなったら、聖龍の瞳を取ってください・・・。絶対にあいつらには渡してはならない。誰か相応しい者に・・・・」
託してくれと続けようとしたが、湘は君らしくない!!と強い口調で言葉を遮った。
「言ったであろう。聖龍は君を選んだ。君以外の者が宿すことはあり得ない。だから、弱音を吐かないで皆の力を信じたまえ!!」
「ははは・・・ありがとう・・です。湘・・おじ」
桜龍は青ざめた顔から少し生気が戻って来た。
その頃、千里と球磨は共に厳美と戦っていた。しかし、2対1でも厳美の闇の力は2人の土と炎の魔法を無効にし、2人は苦戦を強いられていた。
「ちぃ・・・これが本気のこいつの力か!?予想以上に手ごわいぜ・・・」
しかし球磨は汗をかきながらも、笑いながら西洋槍を突き続けた。
「ふふふ、昔、千里クンは孤独に戦っていたのに、今では頼もしい仲間が出来たのですねー」
厳美が2人を挑発したが、千里は冷徹な瞳で何も言わず背後に回り鎖鎌で彼の背を斬った。すると、厳美の羽織や着物が破れ背が露出した。彼の背中には左肩から右腰まで太く深い傷があった。
「く・・くっく・・・この傷は昔に千里クンに付けられました・・・私の完璧な体に・・・傷を・・・・」
厳美は再び背に傷を付けられ、今までに見たことも無い狂気に満ちた怒りで千里を睨みつけた。そして妖しく笑い、黒い影を出現させ、千里、球磨、湘、モトスを包み拘束した。4人は身動きが取れなくなり、厳美は信康に強い念動を放ち命令した。
「さぁ、邪魔者が居ないうちに、聖龍の瞳を奪いなさい!!!」
信康は意識が途切れ、心無き操り人形となってしまった。そして、まだ傷が癒えていない桜龍の首を龍の手で強く掴み右手に持った小刀で瞳をえぐり取ろうとしたその時
ピューパン!!パン!!パシュ!!
3発の銃弾が厳美の心臓部を貫いた。厳美は倒れ、苦しみながら銃弾の放たれた方向を見た。何と、銃を放った者は双葉であった。信康がくれた短銃を構えていた。
「もうこれ以上、あなたの好きにはさせないわ!!厳美!!信康は返してもらいますよ!!」
双葉の横には玄杜を抱いているお都留と、彼女らを転移の術で連れてきてくれた江津も居た。厳美の術が解けると同時に信康の動きが止まり、4人を拘束していた影も消えて動けるようになった。千里は動けない厳美にとどめを刺そうとしたが突然、目の前に黒い衣と頭巾の男が厳美を連れ闇の中に消え去った。
「・・・姿は隠していましたが・・・あいつも僕や厳美と同じ、人造戦士・・・」
(人造戦士は他にもこの時代に居るのか・・・?厳美の言っていたあのお方とは・・・・)
千里はかつての同胞の現状がとても気になっていた。
「信康!!私よ・・・双葉よ!!」
双葉が信康の方に走っていくと、信康は
「来るな!!!」
と涙を流し、うつむきながら叫んだ。しかし双葉はその言葉を聞こうとせず、ゆっくりと歩み寄った。
「何故・・・私と玄杜を置いて1人で行ってしまうの?私はあなたの事を愛している・・・玄杜と3人でぶどう園を営みたいわ」
双葉は涙を流しながらも、優しい笑顔を向けていた。
「それは無理だよ・・・双葉。こんな姿で・・君と玄杜を抱きしめられない・・・。僕の体と心は獣化したよ・・・」
双葉は信康の龍の腕を強く握り、彼を優しく抱いた。
「そんなの関係ないわよ・・・。あなたは私と玄杜を愛してくれた。だから、私たちを巻き込みたくないと。私たちは大丈夫。もう一度、一緒にやり直しましょう」
信康も双葉の細い体を右手で抱こうとしたが止め、モトスに懇願した。
「モトスに頼みたいことがある。・・・僕を斬ってくれ・・・」
信康は桜龍の太刀を持ち、モトスに斬首を頼んだ。双葉は涙を流しながらやめてー!!と叫ぶしかなかった。モトスは無心の表情で信康に太刀を振った・・・。
「信康!!厳美の術に操られてはならぬ!!お前には帰りを待っている者が居る!!」
「モトス・・・今まですまなかった・・・僕は梅雪に恩を返すために悪事に手を染めた。その梅雪にも謀反を起こした。野心と欲の塊である僕は・・・双葉と玄杜を愛する資格など・・・無い!!」
信康の心は正気に戻りつつあるが、身体は完全に厳美に支配され、モトスに攻撃を繰り出し続けている。湘は癒しの水の力で桜龍の出血を止めながら信康に強く言った。
「信康!!玄杜様は・・・ずっと君の名を呼び続けていたのだぞ!!双葉殿も忘れてしまった君の事を思い出しつつある。君は、双葉殿と大切な時間を過ごさなかったのか!!」
信康は湘の深い言葉に涙を流しもがき苦しんでいた。すると桜龍は湘に真剣な表情で告げた。
「湘さん・・・もし、俺の命が危なくなったら、聖龍の瞳を取ってください・・・。絶対にあいつらには渡してはならない。誰か相応しい者に・・・・」
託してくれと続けようとしたが、湘は君らしくない!!と強い口調で言葉を遮った。
「言ったであろう。聖龍は君を選んだ。君以外の者が宿すことはあり得ない。だから、弱音を吐かないで皆の力を信じたまえ!!」
「ははは・・・ありがとう・・です。湘・・おじ」
桜龍は青ざめた顔から少し生気が戻って来た。
その頃、千里と球磨は共に厳美と戦っていた。しかし、2対1でも厳美の闇の力は2人の土と炎の魔法を無効にし、2人は苦戦を強いられていた。
「ちぃ・・・これが本気のこいつの力か!?予想以上に手ごわいぜ・・・」
しかし球磨は汗をかきながらも、笑いながら西洋槍を突き続けた。
「ふふふ、昔、千里クンは孤独に戦っていたのに、今では頼もしい仲間が出来たのですねー」
厳美が2人を挑発したが、千里は冷徹な瞳で何も言わず背後に回り鎖鎌で彼の背を斬った。すると、厳美の羽織や着物が破れ背が露出した。彼の背中には左肩から右腰まで太く深い傷があった。
「く・・くっく・・・この傷は昔に千里クンに付けられました・・・私の完璧な体に・・・傷を・・・・」
厳美は再び背に傷を付けられ、今までに見たことも無い狂気に満ちた怒りで千里を睨みつけた。そして妖しく笑い、黒い影を出現させ、千里、球磨、湘、モトスを包み拘束した。4人は身動きが取れなくなり、厳美は信康に強い念動を放ち命令した。
「さぁ、邪魔者が居ないうちに、聖龍の瞳を奪いなさい!!!」
信康は意識が途切れ、心無き操り人形となってしまった。そして、まだ傷が癒えていない桜龍の首を龍の手で強く掴み右手に持った小刀で瞳をえぐり取ろうとしたその時
ピューパン!!パン!!パシュ!!
3発の銃弾が厳美の心臓部を貫いた。厳美は倒れ、苦しみながら銃弾の放たれた方向を見た。何と、銃を放った者は双葉であった。信康がくれた短銃を構えていた。
「もうこれ以上、あなたの好きにはさせないわ!!厳美!!信康は返してもらいますよ!!」
双葉の横には玄杜を抱いているお都留と、彼女らを転移の術で連れてきてくれた江津も居た。厳美の術が解けると同時に信康の動きが止まり、4人を拘束していた影も消えて動けるようになった。千里は動けない厳美にとどめを刺そうとしたが突然、目の前に黒い衣と頭巾の男が厳美を連れ闇の中に消え去った。
「・・・姿は隠していましたが・・・あいつも僕や厳美と同じ、人造戦士・・・」
(人造戦士は他にもこの時代に居るのか・・・?厳美の言っていたあのお方とは・・・・)
千里はかつての同胞の現状がとても気になっていた。
「信康!!私よ・・・双葉よ!!」
双葉が信康の方に走っていくと、信康は
「来るな!!!」
と涙を流し、うつむきながら叫んだ。しかし双葉はその言葉を聞こうとせず、ゆっくりと歩み寄った。
「何故・・・私と玄杜を置いて1人で行ってしまうの?私はあなたの事を愛している・・・玄杜と3人でぶどう園を営みたいわ」
双葉は涙を流しながらも、優しい笑顔を向けていた。
「それは無理だよ・・・双葉。こんな姿で・・君と玄杜を抱きしめられない・・・。僕の体と心は獣化したよ・・・」
双葉は信康の龍の腕を強く握り、彼を優しく抱いた。
「そんなの関係ないわよ・・・。あなたは私と玄杜を愛してくれた。だから、私たちを巻き込みたくないと。私たちは大丈夫。もう一度、一緒にやり直しましょう」
信康も双葉の細い体を右手で抱こうとしたが止め、モトスに懇願した。
「モトスに頼みたいことがある。・・・僕を斬ってくれ・・・」
信康は桜龍の太刀を持ち、モトスに斬首を頼んだ。双葉は涙を流しながらやめてー!!と叫ぶしかなかった。モトスは無心の表情で信康に太刀を振った・・・。