第1章 異説 武田の残党狩り編 桃源郷に集う勇士
数分後に、富士五湖の西に位置する本栖湖で、暗闇の中、精霊戦士と小精霊たちは木や草むらに隠れながら黒い霧が近づいてくるのを警戒していた。
「おら達で怪物を討ち払うじゅら!!」
小精霊たちは各自、小さい木刀や木の盾を構えていた。それを見ていた精霊戦士も剣や槍や弓を構え、士気を高めていた。
「まだまだちっこいのに、気合が入って頼もしいな。我々も負けられないぞ!!」
「富士五湖や甲斐の自然を汚させない!!モトスたちも戦っているんだ!!俺たちだって自然を守ろう!!」
その時、凄まじい速さで黒い霧の中から梅雪が姿を現し、禍々しく傲慢に笑いながら舞い降りてきた。
「忌々しい森精霊が住む富士五湖か・・・美しい自然を壊し、皆消し去ってやる!!」
上空から梅雪が本栖湖に飛び込んだ。すると、美しく透き通った湖水は漆黒に濁り、泳いでいた魚が死んでしまった。
「アーハハハハ!!モトスが生まれた湖を徹底的に死の湖にしてやったぞ!!」
森精霊たちは沸き上がる怒りでハネを広げ、梅雪目掛けて一斉に飛び掛かった。
「甲斐国にあだなす不届き者め!!大切な自然をこれ以上傷つけさせぬぞ!!」
「皆んな!!かかれー!!!じゅら!!!」
精霊戦士達は刀や槍で梅雪のハネや胴体に攻撃をした。遠くから弓を梅雪目掛けて放っていた。
「ハハハハハ!!痛くも痒くも無いわ!!」
梅雪は扇を振り、突風を放ち複数の精霊戦士を吹き飛ばした。しかし、精霊戦士は毅然と立ち向かい続けた。
「しつこい奴らだ・・・それでは貴様らごと森や山を滅してやろう」
梅雪が反撃をしようとした時、小精霊は数人でまとまり、大きい袋を持ち、梅雪の顔目掛けて袋を開いた。
「くらえー!!!じゅら!!」
小精霊たちが開いた袋には大量の花粉が入っていた。梅雪の顔は花粉まみれになり、くしゃみと目が痒くなり動きが止まった。
「へ・・へっくしゅ・・・く・・小バエの分際が!!!」
梅雪は鬼のような形相で口から黒い毒霧の息を吐いた。すると湖畔の草花は枯れ木々は腐り果て、精霊戦士は苦しみ出し地面に伏せてしまった。
「うう・・・苦しい・・じゅら・・」
小さい精霊は体が薄くなり始め、今にも消えそうになってしまった。
「貴様らは自然を汚されると弱り消える。もう数分も持たまい」
梅雪は再び攻撃をしようとしたその時、水晶のような透き通った光が梅雪に放たれた。光の主は森精霊の長、エンザンであった。
「皆!!遅くなってしまってすまんのう・・・。あやつには魂は無い・・憎悪の塊と化した悲しき物の怪じゃ・・・」
続いて白州も上空から舞い降りてきた。
「梅雪てめぇ・・・自然をこんなに壊しやがって!!」
白州は自らの黄金色のハネから輝きの鱗粉を小精霊達に浴びさせた。すると、消え掛かっていた小精霊は復活し元気になった。
「白州兄ちゃん、ありがとうじゅら!!生き返ったじゅら!!」
「恩にきるぞ!!白州」
「わしもまだまだ若い者には負けてはおれん。富士五湖は森精霊にも人や動物にも大切な場所じゃ!!それを汚す者は許さんぞ!!」
エンザンは背中に力を注ぐと、白い水晶のような美しく輝くハネを出現させた。白州や森精霊の皆は魅了された。
「く・・森精霊の長老と裏切り者の白州か!!2人まとめて始末してやる!!」
「裏切り者はてめぇだろうがよ!!ばっちゃん達の村を最初から保障する気なんかなかったろ!!」
白州は怒りを込めながら大太刀を構えた。エンザンも籠手から鉤爪を出現させた。梅雪は2人に襲いかかった。
「白州よ!!辺り一面の自然は壊されてしまった。自然の恵みを有する我々には少々不利じゃ。共に参るぞ!!」
「承知です、長老!!モトス達が来る前に俺らで倒しましょーぜ!!」
2人は梅雪のムカデの尾の攻撃を舞うように避け、エンザンは鉤爪で尾の棘を壊していった。白州も尾の先端をスパッと斬り裂いた。梅雪は口から毒霧を吐こうとしたが、エンザンは太く白い蜘蛛の巣を出現させ、梅雪の口に掛け封じた。その隙に白州は怪物の心臓を大太刀で突いた。
「やったか!!」
喜ぶのは束の間であった。梅雪は不敵に笑っており、トドメの一撃が全く効いていなかった。さらに、斬られた尾の棘や先端は元どおりに再生されてしまった。
「長老サマと誇り高き精霊戦士の力もこの程度か?今の俺様は誰にも殺せない不死身の身体なのだぞ!!」
すると梅雪は白州を巨大な扇で払った。白州は汚れた湖に落ちてしまった。エンザンは助けようとしたが・・・。
「そっちに構ってて良いのかー?今度は富士五湖全体も樹海も山も皆、毒で全滅させてしまうぞ!!」
梅雪は空高く舞い上り、穢れの鱗粉を上空にばら撒いた。エンザンは白いハネを広げ、神聖な輝きを放つ鱗粉を撒き、自然が汚されるのを防いだ。
「ハハハハハ!!その綺麗な鱗粉がいつまで持つかな?」
「く・・・お主の事を侮っていたわい。じゃが、これが本当にお主が望んでいる事なのか?」
エンザンは梅雪の放つ鱗粉に苦しみながらも尋ねた。梅雪は眉間にしわを寄せながら言った。
「何だと・・・?」
「お主は心の奥に潜む怨念に心を支配されておる。お主を生んだものはまさか・・・」
「これ以上言うな!!くそジジィ!!」
梅雪はエンザン目掛けムカデの尾で叩きつけようとしたその時、何処からか無数の光線が放たれた。放った者は、身延山久遠寺の僧兵達であった。
「大丈夫か!!今助けるぞ!!」
僧兵の寅時は法術で湖に落ちた白州を助けた。
「すまねぇぜ・・・僧兵さん。助かったよ」
白州は毒の湖で体力を削られたが、寅時は笑顔で頷き、彼の身体を法術で回復させた。
「少し前まで、死霊化した小山田信茂の術で精霊戦士も僧兵も操られ、いがみ合っていた。だが、これからは共に力を合わせよう!!」
森精霊と僧兵は力を合わせ、再び梅雪に攻撃を仕掛けた。そしてエンザンは梅雪の心臓に小型の銃を連射した。銃弾ではなく、蛍光色を帯びた木ノ実がベトっと梅雪の心臓部に付着した。すると、梅雪はこれ以上相手にしてられないと、扇で精霊や僧兵を吹き飛ばした。エンザンは梅雪の心を支配する女の怨念を感じ取っていた。
(奴の心を支配しているのは・・・雪菜(せつな)なのか・・・)
エンザンは昔、兄妹のように仲の良かった雪菜との過去を思い出していた。
雪菜は美しき黒髪と、艶やかな紅色のハネを持った森精霊であった。好奇心の強い女性で、武田家の侍女として働きたいと森を出て行ってしまった。しかし、そこで梅雪の父、信友と出会い悲劇を生んだ。
「信友に心身を奪われる前に・・・雪菜を連れ戻せれば・・・・」
エンザンは雪菜の事を悔やんでいた。
「おら達で怪物を討ち払うじゅら!!」
小精霊たちは各自、小さい木刀や木の盾を構えていた。それを見ていた精霊戦士も剣や槍や弓を構え、士気を高めていた。
「まだまだちっこいのに、気合が入って頼もしいな。我々も負けられないぞ!!」
「富士五湖や甲斐の自然を汚させない!!モトスたちも戦っているんだ!!俺たちだって自然を守ろう!!」
その時、凄まじい速さで黒い霧の中から梅雪が姿を現し、禍々しく傲慢に笑いながら舞い降りてきた。
「忌々しい森精霊が住む富士五湖か・・・美しい自然を壊し、皆消し去ってやる!!」
上空から梅雪が本栖湖に飛び込んだ。すると、美しく透き通った湖水は漆黒に濁り、泳いでいた魚が死んでしまった。
「アーハハハハ!!モトスが生まれた湖を徹底的に死の湖にしてやったぞ!!」
森精霊たちは沸き上がる怒りでハネを広げ、梅雪目掛けて一斉に飛び掛かった。
「甲斐国にあだなす不届き者め!!大切な自然をこれ以上傷つけさせぬぞ!!」
「皆んな!!かかれー!!!じゅら!!!」
精霊戦士達は刀や槍で梅雪のハネや胴体に攻撃をした。遠くから弓を梅雪目掛けて放っていた。
「ハハハハハ!!痛くも痒くも無いわ!!」
梅雪は扇を振り、突風を放ち複数の精霊戦士を吹き飛ばした。しかし、精霊戦士は毅然と立ち向かい続けた。
「しつこい奴らだ・・・それでは貴様らごと森や山を滅してやろう」
梅雪が反撃をしようとした時、小精霊は数人でまとまり、大きい袋を持ち、梅雪の顔目掛けて袋を開いた。
「くらえー!!!じゅら!!」
小精霊たちが開いた袋には大量の花粉が入っていた。梅雪の顔は花粉まみれになり、くしゃみと目が痒くなり動きが止まった。
「へ・・へっくしゅ・・・く・・小バエの分際が!!!」
梅雪は鬼のような形相で口から黒い毒霧の息を吐いた。すると湖畔の草花は枯れ木々は腐り果て、精霊戦士は苦しみ出し地面に伏せてしまった。
「うう・・・苦しい・・じゅら・・」
小さい精霊は体が薄くなり始め、今にも消えそうになってしまった。
「貴様らは自然を汚されると弱り消える。もう数分も持たまい」
梅雪は再び攻撃をしようとしたその時、水晶のような透き通った光が梅雪に放たれた。光の主は森精霊の長、エンザンであった。
「皆!!遅くなってしまってすまんのう・・・。あやつには魂は無い・・憎悪の塊と化した悲しき物の怪じゃ・・・」
続いて白州も上空から舞い降りてきた。
「梅雪てめぇ・・・自然をこんなに壊しやがって!!」
白州は自らの黄金色のハネから輝きの鱗粉を小精霊達に浴びさせた。すると、消え掛かっていた小精霊は復活し元気になった。
「白州兄ちゃん、ありがとうじゅら!!生き返ったじゅら!!」
「恩にきるぞ!!白州」
「わしもまだまだ若い者には負けてはおれん。富士五湖は森精霊にも人や動物にも大切な場所じゃ!!それを汚す者は許さんぞ!!」
エンザンは背中に力を注ぐと、白い水晶のような美しく輝くハネを出現させた。白州や森精霊の皆は魅了された。
「く・・森精霊の長老と裏切り者の白州か!!2人まとめて始末してやる!!」
「裏切り者はてめぇだろうがよ!!ばっちゃん達の村を最初から保障する気なんかなかったろ!!」
白州は怒りを込めながら大太刀を構えた。エンザンも籠手から鉤爪を出現させた。梅雪は2人に襲いかかった。
「白州よ!!辺り一面の自然は壊されてしまった。自然の恵みを有する我々には少々不利じゃ。共に参るぞ!!」
「承知です、長老!!モトス達が来る前に俺らで倒しましょーぜ!!」
2人は梅雪のムカデの尾の攻撃を舞うように避け、エンザンは鉤爪で尾の棘を壊していった。白州も尾の先端をスパッと斬り裂いた。梅雪は口から毒霧を吐こうとしたが、エンザンは太く白い蜘蛛の巣を出現させ、梅雪の口に掛け封じた。その隙に白州は怪物の心臓を大太刀で突いた。
「やったか!!」
喜ぶのは束の間であった。梅雪は不敵に笑っており、トドメの一撃が全く効いていなかった。さらに、斬られた尾の棘や先端は元どおりに再生されてしまった。
「長老サマと誇り高き精霊戦士の力もこの程度か?今の俺様は誰にも殺せない不死身の身体なのだぞ!!」
すると梅雪は白州を巨大な扇で払った。白州は汚れた湖に落ちてしまった。エンザンは助けようとしたが・・・。
「そっちに構ってて良いのかー?今度は富士五湖全体も樹海も山も皆、毒で全滅させてしまうぞ!!」
梅雪は空高く舞い上り、穢れの鱗粉を上空にばら撒いた。エンザンは白いハネを広げ、神聖な輝きを放つ鱗粉を撒き、自然が汚されるのを防いだ。
「ハハハハハ!!その綺麗な鱗粉がいつまで持つかな?」
「く・・・お主の事を侮っていたわい。じゃが、これが本当にお主が望んでいる事なのか?」
エンザンは梅雪の放つ鱗粉に苦しみながらも尋ねた。梅雪は眉間にしわを寄せながら言った。
「何だと・・・?」
「お主は心の奥に潜む怨念に心を支配されておる。お主を生んだものはまさか・・・」
「これ以上言うな!!くそジジィ!!」
梅雪はエンザン目掛けムカデの尾で叩きつけようとしたその時、何処からか無数の光線が放たれた。放った者は、身延山久遠寺の僧兵達であった。
「大丈夫か!!今助けるぞ!!」
僧兵の寅時は法術で湖に落ちた白州を助けた。
「すまねぇぜ・・・僧兵さん。助かったよ」
白州は毒の湖で体力を削られたが、寅時は笑顔で頷き、彼の身体を法術で回復させた。
「少し前まで、死霊化した小山田信茂の術で精霊戦士も僧兵も操られ、いがみ合っていた。だが、これからは共に力を合わせよう!!」
森精霊と僧兵は力を合わせ、再び梅雪に攻撃を仕掛けた。そしてエンザンは梅雪の心臓に小型の銃を連射した。銃弾ではなく、蛍光色を帯びた木ノ実がベトっと梅雪の心臓部に付着した。すると、梅雪はこれ以上相手にしてられないと、扇で精霊や僧兵を吹き飛ばした。エンザンは梅雪の心を支配する女の怨念を感じ取っていた。
(奴の心を支配しているのは・・・雪菜(せつな)なのか・・・)
エンザンは昔、兄妹のように仲の良かった雪菜との過去を思い出していた。
雪菜は美しき黒髪と、艶やかな紅色のハネを持った森精霊であった。好奇心の強い女性で、武田家の侍女として働きたいと森を出て行ってしまった。しかし、そこで梅雪の父、信友と出会い悲劇を生んだ。
「信友に心身を奪われる前に・・・雪菜を連れ戻せれば・・・・」
エンザンは雪菜の事を悔やんでいた。