第1章 異説 武田の残党狩り編 桃源郷に集う勇士
「俺と千里が居ることも忘れんじゃねーよ!!デカブツが!!」
声の主は球磨であった。後ろから毅然とした姿で千里もついてきてた。3人は声のする方を見た。
「く・・・クマちゃんと千里!!無事で良かったぜ!!」
桜龍は歓喜しながら2人に駆け寄った。すると球磨は桜龍の髪をくしゃくしゃと触りながら笑っていた。
「お前らもこんなバカでかいの相手に元気そうで何よりだぜ♪少し別行動をしている間に色々とあったって分かるぜ」
「ふん・・・相変わらず暑苦しくて騒がしいな・・・暴れ牛。千里も心配するまでも無かったな」
湘は球磨に対して少し皮肉めいた口調で言っていたが、内心は安心していた。
「湘おじも相変わらず素直じゃねーな。そこは普通、またお前らと戦えるな!!だろー」
湘と球磨が何日かぶりの口論をしていると、骸骨兵は苛立ち、2人に目掛け巨大な刀を振り下ろした。球磨は不敵に笑い、巨大な西洋槍で軽々と受け止めた。そして、牛のような凄まじい怪力で刀を押しのけた。さらに体勢を崩した骸骨兵の足元に湘は銃口から冷気を放ち、地面を凍らせ、ツルっと転倒させた。桜龍達は2人の息の合った技に感心をした。
「さすがだ、球磨と湘。お前たちの連携技中々だな」
モトスが笑いながら2人を褒めた。球磨はニッコリと笑い、湘は得意気で澄ました顔をした。
「今のうちにこの怪物を倒してしまいましょう」
やっと口を開いた千里は、大地の祝詞を唱え、地面から巨大なトゲを出現させた。骸骨兵の鎧は固い土のトゲによりボロボロに砕けた。4人は突然の千里の行動に刮目していた。そして、桜龍が刀を構えモトスに言った。
「千里は頭の回転も行動も早いなぁー。旦那、俺達も負けずに行きましょうぜ!!」
「ああ。俺もまだまだ若い者達には負けてはいられないからな。皆1人1人も強いが、5人集まれば5倍強くなる!!」
モトスは立ち上がった骸骨兵の関節を双曲刀で目にも留まらぬ速さで切り落とした。そして、桜龍はバラバラに崩れ落ちた頭蓋骨に渾身の雷撃を喰らわせた。骸骨兵は悲鳴を上げながら言葉を残し浄化された。
「う・・グ・・・ゴウツサマハ、キタノショウセンキョウデマッテイルゾ・・・オウリュウ・・ソノチガケッセンノバダ・・・」
桜龍は灰となり消えた骸骨兵を見つめながら江津の事を考えていた。千里はさりげなく桜龍に語り掛けた。
「桜龍さんは1人ではありません。皆で江津と戦いましょう」
千里は右の拳を桜龍の目の前にかざすと、桜龍はありがとうなと千里の拳に自身の拳を当てた。球磨と湘とモトスも笑顔で桜龍に頷いた。すると、桜龍は千里と球磨を見てふと思ったことを口にした。
「そういえば2人共、三つ峠や御坂峠まで行ってもらって苦労を掛けたぜ。結構大変だったか?」
桜龍は2人を気づかったが、球磨は楽し気に千里は丁寧にこれまでの経緯を話した。
敵であった白州とは、三つ峠の麓の村で老人たちを助け、分かり合えた。そして、忍びの棟梁でもあり、森精霊の長老、エンザンの協力もあり、白州は老人たちを吉田集落へ避難させた。球磨は白州を分かり合えて、カリーを作った事も話した。桜龍は少し舌をペロっと出しながら球磨に尋ねた。
「なぁ、くまちゃーん。カリーって何だい?西洋の料理?今度俺にも作ってー♬」
「尋ねるところはそこか!!白州が改心した方に関心をしたまえ・・・」
湘は食意地が張っている桜龍に呆れていた。一方、モトスは白州も護りたい者の為に戦っていたのだと、しみじみと心を打たれていた。
そして、千里が話を続けた。千里が成敗した宿敵、厳美は泥人形の傀儡(くぐつ)であった。4人は厳美に警戒心を燃やしていた。モトスは深く考え込んだ顔で言った。
「厳美か・・・千里の平安末期からの宿敵・・・。姿を見たことは無いが、何か深い闇と恐ろしさを感じるな・・・」
千里以外の4人はまだ厳美の姿もどのような実力者なのかも分からない。なぜなら、梅雪と対峙した時、彼の姿が無かったからである。桜龍は静かに悟っていた。
「分かることは・・・いずれ俺達と戦う相手になるな。厳美っていう野郎は・・・」
続いて球磨は興奮した表情で腕を鳴らしていた。
「面白いじゃねーか。そいつは、白州の大切な村と村人達を土砂で埋めようとした不届き者だ!!九州男児の底力みせてやらあ!!」
「気持ちは十分分かるが、相手の力と策も知らないで挑むのは無謀だぞ・・・暴れ牛」
湘が球磨に注意をしたが、球磨は笑いながら湘の肩に腕を組んだ。
「そしたら、湘おじの頭脳と技で護ってもらおっかなー♪」
「な!?何を言うかね!!君と言う暴れ牛が!!!」
湘は照れながら否定した。千里は2人の戯れに言葉が出なかったが、モトスが千里の頭に手をポンと置いた。
「お前も1人ではないぞ、千里。俺もお前の仇とやらと一戦交えてみたいと思っている」
千里はモトスの言葉に静かに頷いた。そして小さく、ありがとうございますと呟いた。桜龍は仲間の強い意志を感じて、自分も覚悟を決めていた。江津や厳美、そして自分が戦うべき真の闇と。その時、桜龍の周りに黒い影が出現し彼を包んだ。皆で桜龍を助けようとしたが、影は4人を弾き飛ばした。
「江津に呼ばれたか・・・仕方ねーな。ちょっくら江津を成敗してくるわ。皆は先に梅雪の元に行っててくれ」
桜龍は気合を入れて、4人に先を急げと促した。
「桜龍・・・絶対に生きて戻ってくるのだぞ!!」
モトスは申し訳ない顔をしていたが、千里は悟っていた。
「彼なら心配いりません。聖なる龍は計り知れぬ程の力を感じさせます。彼の心の強さと優しさに聖龍は応えてくれるでしょう」
続いて、球磨と湘も桜龍の力を信じていた。
「俺らを邪魔者扱いした江津って奴は気に喰わねーが、あいつが打つべき相手だからな」
「ここでくたばられては、あの者を選んだ聖龍には適任を選ぶ素質が無かったということになるからな」
4人は桜龍の勝利を信じながら、甲府の躑躅が崎館を目指した。
声の主は球磨であった。後ろから毅然とした姿で千里もついてきてた。3人は声のする方を見た。
「く・・・クマちゃんと千里!!無事で良かったぜ!!」
桜龍は歓喜しながら2人に駆け寄った。すると球磨は桜龍の髪をくしゃくしゃと触りながら笑っていた。
「お前らもこんなバカでかいの相手に元気そうで何よりだぜ♪少し別行動をしている間に色々とあったって分かるぜ」
「ふん・・・相変わらず暑苦しくて騒がしいな・・・暴れ牛。千里も心配するまでも無かったな」
湘は球磨に対して少し皮肉めいた口調で言っていたが、内心は安心していた。
「湘おじも相変わらず素直じゃねーな。そこは普通、またお前らと戦えるな!!だろー」
湘と球磨が何日かぶりの口論をしていると、骸骨兵は苛立ち、2人に目掛け巨大な刀を振り下ろした。球磨は不敵に笑い、巨大な西洋槍で軽々と受け止めた。そして、牛のような凄まじい怪力で刀を押しのけた。さらに体勢を崩した骸骨兵の足元に湘は銃口から冷気を放ち、地面を凍らせ、ツルっと転倒させた。桜龍達は2人の息の合った技に感心をした。
「さすがだ、球磨と湘。お前たちの連携技中々だな」
モトスが笑いながら2人を褒めた。球磨はニッコリと笑い、湘は得意気で澄ました顔をした。
「今のうちにこの怪物を倒してしまいましょう」
やっと口を開いた千里は、大地の祝詞を唱え、地面から巨大なトゲを出現させた。骸骨兵の鎧は固い土のトゲによりボロボロに砕けた。4人は突然の千里の行動に刮目していた。そして、桜龍が刀を構えモトスに言った。
「千里は頭の回転も行動も早いなぁー。旦那、俺達も負けずに行きましょうぜ!!」
「ああ。俺もまだまだ若い者達には負けてはいられないからな。皆1人1人も強いが、5人集まれば5倍強くなる!!」
モトスは立ち上がった骸骨兵の関節を双曲刀で目にも留まらぬ速さで切り落とした。そして、桜龍はバラバラに崩れ落ちた頭蓋骨に渾身の雷撃を喰らわせた。骸骨兵は悲鳴を上げながら言葉を残し浄化された。
「う・・グ・・・ゴウツサマハ、キタノショウセンキョウデマッテイルゾ・・・オウリュウ・・ソノチガケッセンノバダ・・・」
桜龍は灰となり消えた骸骨兵を見つめながら江津の事を考えていた。千里はさりげなく桜龍に語り掛けた。
「桜龍さんは1人ではありません。皆で江津と戦いましょう」
千里は右の拳を桜龍の目の前にかざすと、桜龍はありがとうなと千里の拳に自身の拳を当てた。球磨と湘とモトスも笑顔で桜龍に頷いた。すると、桜龍は千里と球磨を見てふと思ったことを口にした。
「そういえば2人共、三つ峠や御坂峠まで行ってもらって苦労を掛けたぜ。結構大変だったか?」
桜龍は2人を気づかったが、球磨は楽し気に千里は丁寧にこれまでの経緯を話した。
敵であった白州とは、三つ峠の麓の村で老人たちを助け、分かり合えた。そして、忍びの棟梁でもあり、森精霊の長老、エンザンの協力もあり、白州は老人たちを吉田集落へ避難させた。球磨は白州を分かり合えて、カリーを作った事も話した。桜龍は少し舌をペロっと出しながら球磨に尋ねた。
「なぁ、くまちゃーん。カリーって何だい?西洋の料理?今度俺にも作ってー♬」
「尋ねるところはそこか!!白州が改心した方に関心をしたまえ・・・」
湘は食意地が張っている桜龍に呆れていた。一方、モトスは白州も護りたい者の為に戦っていたのだと、しみじみと心を打たれていた。
そして、千里が話を続けた。千里が成敗した宿敵、厳美は泥人形の傀儡(くぐつ)であった。4人は厳美に警戒心を燃やしていた。モトスは深く考え込んだ顔で言った。
「厳美か・・・千里の平安末期からの宿敵・・・。姿を見たことは無いが、何か深い闇と恐ろしさを感じるな・・・」
千里以外の4人はまだ厳美の姿もどのような実力者なのかも分からない。なぜなら、梅雪と対峙した時、彼の姿が無かったからである。桜龍は静かに悟っていた。
「分かることは・・・いずれ俺達と戦う相手になるな。厳美っていう野郎は・・・」
続いて球磨は興奮した表情で腕を鳴らしていた。
「面白いじゃねーか。そいつは、白州の大切な村と村人達を土砂で埋めようとした不届き者だ!!九州男児の底力みせてやらあ!!」
「気持ちは十分分かるが、相手の力と策も知らないで挑むのは無謀だぞ・・・暴れ牛」
湘が球磨に注意をしたが、球磨は笑いながら湘の肩に腕を組んだ。
「そしたら、湘おじの頭脳と技で護ってもらおっかなー♪」
「な!?何を言うかね!!君と言う暴れ牛が!!!」
湘は照れながら否定した。千里は2人の戯れに言葉が出なかったが、モトスが千里の頭に手をポンと置いた。
「お前も1人ではないぞ、千里。俺もお前の仇とやらと一戦交えてみたいと思っている」
千里はモトスの言葉に静かに頷いた。そして小さく、ありがとうございますと呟いた。桜龍は仲間の強い意志を感じて、自分も覚悟を決めていた。江津や厳美、そして自分が戦うべき真の闇と。その時、桜龍の周りに黒い影が出現し彼を包んだ。皆で桜龍を助けようとしたが、影は4人を弾き飛ばした。
「江津に呼ばれたか・・・仕方ねーな。ちょっくら江津を成敗してくるわ。皆は先に梅雪の元に行っててくれ」
桜龍は気合を入れて、4人に先を急げと促した。
「桜龍・・・絶対に生きて戻ってくるのだぞ!!」
モトスは申し訳ない顔をしていたが、千里は悟っていた。
「彼なら心配いりません。聖なる龍は計り知れぬ程の力を感じさせます。彼の心の強さと優しさに聖龍は応えてくれるでしょう」
続いて、球磨と湘も桜龍の力を信じていた。
「俺らを邪魔者扱いした江津って奴は気に喰わねーが、あいつが打つべき相手だからな」
「ここでくたばられては、あの者を選んだ聖龍には適任を選ぶ素質が無かったということになるからな」
4人は桜龍の勝利を信じながら、甲府の躑躅が崎館を目指した。