第1章 異説 武田の残党狩り編 桃源郷に集う勇士
夜も更けた頃、大月の西に位置する、笹子峠の空き家でモトス達は一夜を過ごしていた。眠りについたモトスは昔の夢を見た・・・。
それはまだ、モトスが少年忍者であった頃、初めて信康と出会った日。甲府の躑躅が崎館の梅雪の部屋に採れたての桃を持って行った日の事であった。
「梅雪殿と一緒に桃を食べて仲直り出来たら良いずら」
モトスと梅雪は数日前に喧嘩をしてしまった。原因は、モトスが梅雪の紅玉の耳飾りが黒く濁っているのを汚れだと思い、拭いてあげようとした時に、梅雪は「それに触るな!!!」といきなり立ち上がり、モトスを花壇に押し倒してしまった。花壇にはモトスが大切に育てていた芝桜が植えられていて、台無しになってしまった。
「な!?何をするずらー!!!!花になんてことを!!!!!」
モトスは普段温厚な性格だが、花を傷つけられ、怒りで、梅雪を睨みつけ、喧嘩になってしまった。そこを梅雪の父、信友が止め、梅雪を叱りモトスにも注意をした。
「梅雪!!!モトスが武田家の為に大切に育てた花を台無しにして、穴山家の息子として恥ずかしくないのか!!!!」
梅雪は父に叱られて悔しそうに涙を流しながらその場を去った。そして、信友はモトスにすまなそうな顔で言った。
「モトス・・・息子が迷惑をかけた。息子の代わりに私が謝る・・・すまなかった」
モトスは深く頭を下げている信友に戸惑って言った。
「い・・いいえ!!そんな・・・私が梅雪殿の気に障る事をしたので・・・私が悪いのです・・・・・」
モトスが深く頭を下げて謝った。すると信友は
「モトスよ・・・お前がそう思っておるなら・・・どうか、必要以上に息子に関わらないで欲しい・・・・」
「え!?なぜですか?私は梅雪殿の事をもっと知りたいし・・・親交も深めたいと・・・」
モトスが納得のいかない顔で言葉を続けようとしたが、信友の顔色が変わり、怒られてしまった。
「とにかく!!これは命令だ!!!梅雪とは深く関わるな!!」
モトスはこれ以上何も言わずに首を縦に振った。
しかし、モトスはどうしても梅雪と仲直りがしたくて、梅雪の部屋で一緒に桃を食べようとした。そして、部屋に入った時、1人の少年が書物に目を通していた。
「梅雪ど・・・の?・・・・あれ?」
(左耳に紅い耳飾りが・・・無いずら?それに・・・雰囲気と香りが梅雪殿と違う・・・?)
モトスはじっと少年を見て梅雪ではないと確認し言葉を止めた。梅雪と違い、身分の高いものが着る着物と袴姿ではなく、鶯色の地味な着物姿であり、まるで、梅雪の影のように見えた。すると、同世代の少年は優しく微笑みながら挨拶をした。
「僕が梅雪様ではないことが良く分かったね。確か、君は森精霊の忍びのモトスだね。僕は信康。穴山家の小姓で梅雪様の影にもなっているんだよ。梅雪様は今、家臣たちと連歌会の準備をしているみたいだよ」
「そ・・・そうなんだ。あ!!信康殿、桃食べる・・・ずら?」
モトスは信康に桃を1つ渡すと、信康は笑顔で受け取った。そして、美味しそうにほうばった。モトスは信康の容姿を見て、深く考えていた。
(信康殿って・・・梅雪殿に似ているというよりも・・・・)
赤茶色の髪に少し儚げで謎めいた風貌、梅雪様とは違う哀愁の香り
・・・この香りは・・・
(・・・信康殿って・・・信友様に・・・似ている?)
それはまだ、モトスが少年忍者であった頃、初めて信康と出会った日。甲府の躑躅が崎館の梅雪の部屋に採れたての桃を持って行った日の事であった。
「梅雪殿と一緒に桃を食べて仲直り出来たら良いずら」
モトスと梅雪は数日前に喧嘩をしてしまった。原因は、モトスが梅雪の紅玉の耳飾りが黒く濁っているのを汚れだと思い、拭いてあげようとした時に、梅雪は「それに触るな!!!」といきなり立ち上がり、モトスを花壇に押し倒してしまった。花壇にはモトスが大切に育てていた芝桜が植えられていて、台無しになってしまった。
「な!?何をするずらー!!!!花になんてことを!!!!!」
モトスは普段温厚な性格だが、花を傷つけられ、怒りで、梅雪を睨みつけ、喧嘩になってしまった。そこを梅雪の父、信友が止め、梅雪を叱りモトスにも注意をした。
「梅雪!!!モトスが武田家の為に大切に育てた花を台無しにして、穴山家の息子として恥ずかしくないのか!!!!」
梅雪は父に叱られて悔しそうに涙を流しながらその場を去った。そして、信友はモトスにすまなそうな顔で言った。
「モトス・・・息子が迷惑をかけた。息子の代わりに私が謝る・・・すまなかった」
モトスは深く頭を下げている信友に戸惑って言った。
「い・・いいえ!!そんな・・・私が梅雪殿の気に障る事をしたので・・・私が悪いのです・・・・・」
モトスが深く頭を下げて謝った。すると信友は
「モトスよ・・・お前がそう思っておるなら・・・どうか、必要以上に息子に関わらないで欲しい・・・・」
「え!?なぜですか?私は梅雪殿の事をもっと知りたいし・・・親交も深めたいと・・・」
モトスが納得のいかない顔で言葉を続けようとしたが、信友の顔色が変わり、怒られてしまった。
「とにかく!!これは命令だ!!!梅雪とは深く関わるな!!」
モトスはこれ以上何も言わずに首を縦に振った。
しかし、モトスはどうしても梅雪と仲直りがしたくて、梅雪の部屋で一緒に桃を食べようとした。そして、部屋に入った時、1人の少年が書物に目を通していた。
「梅雪ど・・・の?・・・・あれ?」
(左耳に紅い耳飾りが・・・無いずら?それに・・・雰囲気と香りが梅雪殿と違う・・・?)
モトスはじっと少年を見て梅雪ではないと確認し言葉を止めた。梅雪と違い、身分の高いものが着る着物と袴姿ではなく、鶯色の地味な着物姿であり、まるで、梅雪の影のように見えた。すると、同世代の少年は優しく微笑みながら挨拶をした。
「僕が梅雪様ではないことが良く分かったね。確か、君は森精霊の忍びのモトスだね。僕は信康。穴山家の小姓で梅雪様の影にもなっているんだよ。梅雪様は今、家臣たちと連歌会の準備をしているみたいだよ」
「そ・・・そうなんだ。あ!!信康殿、桃食べる・・・ずら?」
モトスは信康に桃を1つ渡すと、信康は笑顔で受け取った。そして、美味しそうにほうばった。モトスは信康の容姿を見て、深く考えていた。
(信康殿って・・・梅雪殿に似ているというよりも・・・・)
赤茶色の髪に少し儚げで謎めいた風貌、梅雪様とは違う哀愁の香り
・・・この香りは・・・
(・・・信康殿って・・・信友様に・・・似ている?)